不合理な形態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 09:22 UTC 版)
進化は既存の形態を徐々に変化させて進んでいくものであり、一から設計しなおすようなことは起こらない。その結果として機能的に不合理な形態に進化してしまうことがある。極端な例は反回神経である。これは喉頭と脳をつなぐ神経であり、サメではその間を最短に近い経路で結んでいる。しかし、脊椎動物の進化過程で胸や顎の構造が変化するなかで、哺乳類では、この神経は喉頭から心臓の辺りまで下り、その後また上昇して脳にいたるという明らかな遠回りをするようになった。その結果、直線で結べば数センチメートルでよいはずの神経が、ヒトでは10センチメートル程度、キリンでは数メートルに及ぶ長さになっている。同様に哺乳類の輸精管は、精巣とペニスを最短距離で結ぶのではなく、尿管の上まで迂回するように伸びている。これは、哺乳類の進化過程で体内にあった精巣が下に下りてきたときに生じた不合理であると考えられる。同様の不合理な形態は、人体にも数多く見られる。
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