上界、最大、極大、上限、上方集合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:16 UTC 版)
「順序集合」の記事における「上界、最大、極大、上限、上方集合」の解説
P を半順序集合とし、A をその部分集合とし、x を P の元とする。このとき上界、上限、最大、極大の概念、およびこれらの双対概念である下界(かかい)、下限、最小、極小は以下のように定義される: x が A の上界 (upper bound) であるとは、A の任意の元 y に対して y ≤ x となること。 x が A の上限 (supremum) あるいは最小上界 (least upper bound) であるとは、x が A の上界全体の集合の最小元となること。これは存在すれば一意的に決まり、sup A あるいは lub A と表される。 x が A の最大元 (maximum element) であるとは、x は A の元であり、かつ x は A の上界であること。これは存在すれば一意的に決まり、max A で表される。 x が A の極大元 (maximal element) であるとは、x は A の元であり、かつ y > x を満たす y ∈ A が存在しないこと。 x が A の下界 (lower bound) であるとは、A の任意の元 y に対して y ≥ x となること。 x が A の下限 (infimum) あるいは最大下界 (greatest lower bound) であるとは、x が A の下界全体の集合の最大元となること。これは存在すれば一意的に決まり、inf A あるいは glb A と表される。 x が A の最小元 (minimum element) であるとは、x は A の元であり、かつ x は A の下界であること。これは存在すれば一意的に決まり、min A で表される。 x が A の極小元 (minimal element) であるとは、x は A の元であり、かつ y < x を満たす y ∈ A が存在しないこと。 上界および上限の定義において、 x が必ずしも A の元であるとは限らない、ことには注意が必要である。左閉右開の半開区間 [ a , b ) {\displaystyle [a,b)} には最大元は存在しないが上界および上限は存在する(つまり、 b)。 極大元の概念と最大元の概念は以下の点で異なる。まず x が A の極大元であるとは、A の元は「x 以下である」か、もしくは「x とは大小が比較不能である」かのいずれかである事を意味する。一方 x が A の最大元であるとは A の元は常に x 以下である事を意味する(このとき x は A の任意の元と比較が可能である)。したがって最大元は必ず極大元であるが、極大元は必ずしも最大元であるとは限らない(下の具体例参照)。全順序集合においては必ず極大元は最大元に一致する。 さらに A が P の上方集合(英語版)(resp. 下方集合)であるとは、任意の a ∈ A と x > a (resp. x < a) を満たす任意の P の元に対しx ∈ A となることをいう。
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