一般半線型群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 09:27 UTC 版)
与えられたベクトル空間 V に対し、その可逆な半線型写像の(体自己同型全てに亘る)全体の成す集合は、一般半線型群 ΓL(V) を成す。 V が K 上のベクトル空間で、K の素体を k とするとき、一般半線型群 ΓL(V) は半直積 Γ L ( V ) = GL ( V ) ⋊ Gal ( K / k ) {\displaystyle \operatorname {\Gamma L} (V)=\operatorname {GL} (V)\rtimes \operatorname {Gal} (K/k)} に分解される。ここで Gal(K/k) は体の拡大 K/k のガロワ群である。同様に、半線型写像の成す他の線型群もガロワ群のと半直積として、あるいはより内在的にベクトル空間の間のある性質を保存する半線型写像全体の成す群として、定義することができる。 V の基底 B を一つ固定して、ガロワ群 Gal(K/k) を、任意の σ ∈ Gal(K/k) に対して ∑ b ∈ B l b b ↦ ∑ b ∈ B l b σ b {\displaystyle \sum _{b\in B}l_{b}b\mapsto \sum _{b\in B}l_{b}^{\sigma }b} で定義される半線型写像全体の成す ΓL(V) の部分群と同一視する。同一視した部分群を Gal(K/k)B と書くとき、これらの成分は ΓL(V) において GL(V) に対して、V の基底変換としての GL(V) として正則に作用する。 上記のことを確かめよう。任意の線型写像は半線型ゆえ GL(V) ≤ ΓL(V) である。V の基底 B を固定して、体の自己同型 σ ∈ Gal(K/k) に関する任意の半線型写像 f に対して、g: V → V を g ( ∑ b ∈ B l b b ) := ∑ b ∈ B f ( l b σ − 1 b ) = ∑ b ∈ B l b f ( b ) {\displaystyle g{\Bigl (}\sum _{b\in B}l_{b}b{\Bigr )}:=\sum _{b\in B}f(l_{b}^{\sigma ^{-1}}b)=\sum _{b\in B}l_{b}f(b)} で定義する。f(B) も V の基底を成すから、これは g が単に V の基底変換となることを意味し、従って線型かつ可逆的、すなわち g ∈ GL(V)。 ここで h := fg−1 と置くと、V の任意の元 v = ∑b∈B lbb に対し h v = f g − 1 v = ∑ b ∈ B l b σ b {\displaystyle hv=fg^{-1}v=\sum _{b\in B}l_{b}^{\sigma }b} となるから、h は固定された基底 B に関する部分群としての Gal(K/k) (= Gal(K/k)B) に属する。この分解 f = hg は固定された基底 B に対して一意的である。さらに GL(V) は Gal(K/k)B の作用によって正規化されるから、 Γ L ( V ) = GL ( V ) ⋊ Gal ( K / k ) {\displaystyle \operatorname {\Gamma L} (V)=\operatorname {GL} (V)\rtimes \operatorname {Gal} (K/k)} となることが言える。
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