ローマの慈愛 (マンフレディ)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ローマの慈愛 (マンフレディ)の意味・解説 

ローマの慈愛 (マンフレディ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/02 03:48 UTC 版)

『ローマの慈愛』
イタリア語: Carità romana
英語: Roman Charity
作者 バルトロメオ・マンフレディ
製作年 1620年ごろ
種類 キャンバス油彩
寸法 130 cm × 97 cm (51 in × 38 in)
所蔵 ウフィツィ美術館フィレンツェ

ローマの慈愛』(ローマのじあい、: Carità romana: Roman Charity)は、17世紀イタリアバロック期の画家バルトロメオ・マンフレディが1620年ごろにキャンバス上に油彩で制作した絵画である。古代ローマの1世紀の著述家で歴史家のウァレリウス・マクシムスの『記憶すべき行為と言葉 (著名言行録)』 (第5部4章) にある「ローマの慈愛」の物語を主題としている[1][2]。作品は、フィレンツェウフィツィ美術館に所蔵されている[3]

作品

マンフレディに帰属されるこの主題の絵画が言及されている記録文書は3つ存在する[4]。最初の文書は1635年のもので、トリノサヴォイア家が所有していた作品について記しているが、その作品は現在ウフィツィ美術館にある本作とはサイズが一致しない。やはり1635年の2番目の文書も類似した作品について言及しているが、それは現在バッキンガム公爵のコレクションにある作品であり[4]、おそらく本来サヴォィア公のコレクションにあった作品と同じものである。実際、1625年の書簡によると、サヴォィア家は所蔵する絵画のうちの何点かをバッキンガム公爵に贈る意思があったようで、その中には『ローマの慈愛』もあった[4]。この主題の絵画に関する3番目の記録は1692年のもので、その作品はアムステルダムのアブラハム・ペロノー (Abraham Peronneau) のコレクションにあったものである[5]

現在ウフィツィ美術館にある本作は、委嘱や来歴を特定する詳細な情報を欠いている。美術館に入る前、作品はイギリスの骨董品競売ミラノの個人コレクションに取得されたものであった[4]。作品は、1993年のウフィツィ美術館で起きたテロ事件でマンフレディの『奏楽者たち』と『合奏』の絵画が損傷された後に「償い」として美術館に寄贈されたものである[4]

ウァレリウス・マクシムスの『記憶すべき行為と言葉 (著名言行録)』中のキモンというローマ人の物語によると、キモンは罪を犯したため元老院により餓死の刑を宣告され、投獄される。看守に見つからずにキモンに食べ物を与えることは不可能だったので、乳児がいたキモンの娘ペロは自身の乳をキモンに与え、救おうとした[1][2]。この主題は17世紀に流行することとなったが、それは1607年ごろにカラヴァッジョナポリピオ・モンテ・デッラ・ミゼリコルディア聖堂英語版のために『慈悲の七つの行い』で成功を収めたからであった。カラヴァッジョの絵画では、空腹の者に食べ物を与える慈悲を表すためにキモンとペロの物語が採りあげられている[5]ナポリに滞在したマンフレディはカラヴァッジョの作品を見、自身の作品に適用することが可能であった。本作には、ペロが横を向いている姿などのカラヴァッジョの作品との類似点が見られる[5]。一方、ピラミッド型の構図やキモンの身体像はより古典的な図案を示しており、グイド・レーニドメニキーノの作品を想起させる[5]

ギャラリー

脚注

  1. ^ a b 大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年、2012年、195頁。
  2. ^ a b Cimon and Pero (Roman Charity)”. Web Gallery of Artサイト (英語). 2024年8月27日閲覧。
  3. ^ Discovering the Uffizi: Bartolomeo Manfredi and the room 91”. Virtual Uffizi Galleryサイト (英語). 2025年3月19日閲覧。
  4. ^ a b c d e G. Papi, p. 169.
  5. ^ a b c d G. Papi, p. 170.

参考文献

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  ローマの慈愛 (マンフレディ)のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ローマの慈愛 (マンフレディ)」の関連用語

ローマの慈愛 (マンフレディ)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ローマの慈愛 (マンフレディ)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのローマの慈愛 (マンフレディ) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS