ロシア正教会文明とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ロシア正教会文明の意味・解説 

東方正教会文明

(ロシア正教会文明 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/01 09:54 UTC 版)

東方正教会文明(とうほうせいきょうかいぶんめい)または、東方正教会世界とは、サミュエル・P・ハンティントンによる文化圏の分類の一つ。正教会(東方正教会)を主要な宗教としている国を指す。ハンティントンら比較文化論の研究者はロシアを国際社会の主要プレイヤーと位置づけており、ロシア正教会文明ロシア文明とも呼んでいる。

概要

正教会(ギリシャ正教・東方正教会)の教会機構図解

そもそも、「ロシア正教会」は組織名であり、教派全体としての名は正教会もしくは東方正教会が正しい。ブルガリア正教会ロシア正教会ギリシャ正教会ルーマニア正教会などの各国・各地域の正教会は、それぞれが独立した教会組織を構成しつつ、正教会としての連帯を保っている。

主な国はロシアギリシャウクライナルーマニアセルビアなど東欧バルカン半島の国に多い。東ローマ帝国395年 - 1453年)から発生し、東ローマ帝国の滅亡後は、ロシアが東方正教会文明の中心国になったと考えられている。なお正教会はキリスト教の一派なのでシュペングラーやブライジヒなどは西洋文明の一部と考察する研究者も存在する。文化圏というニュアンスの「文明」の区分は一定していない。

比較文化論

文明史論の中の東方正教会文明

「文明」の比較研究(比較文化論)として、サミュエル・P・ハンティントンは東方正教会を独自の文化圏とした。トインビーは、ロシアを東ローマ文明の後継国と述べている。東ローマ文明と東方正教会文明を一つにまとめるか別けて考えるかは学者により見解は違う。この二つの違いはギリシア文明とローマ文明の違いに似ており同じカテゴリーに分類されることは多い。

ハンティントンの文明衝突論

東方正教会文明、あるいは東方正教会世界を一つの文化圏とするサミュエル・P・ハンティントンが1996年に『文明の衝突』を著した。ハンティントンによれば、冷戦による東西の衝突が終わった現代は、西欧文明、中華文明ヒンドゥー文明、イスラム文明、日本文明、東方正教会文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明の8つの文化圏が衝突する時代になるのではないかと述べている。

ハンティントンにより東方正教会文明に分類されている国は、ロシア、ギリシャ、ウクライナ、ルーマニア、セルビア、グルジアアルメニアカザフスタンベラルーシモルドバブルガリアマケドニア共和国モンテネグロボスニア・ヘルツェゴビナキプロス

参考文献

  • アーノルド・J・トインビー『現代が受けている挑戦』(新潮社, 1971年/新潮文庫, 2001年)
  • 伊東俊太郎『比較文明』(東大出版会、1985年)
  • サミュエル・P・ハンティントン『文明の衝突』 集英社、1998年
  • オリヴィエ・クレマン『東方正教会』(クセジュ文庫)、冷牟田修二、白石治朗訳、白水社、1977年。ISBN 978-4-560-05607-3 (4-560-05607-2)
  • 外村直彦『八大文明』朝日出版社,2008年

関連項目

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ロシア正教会文明」の関連用語

ロシア正教会文明のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ロシア正教会文明のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの東方正教会文明 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS