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ライフ・カイサ

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/04 04:09 UTC 版)

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ライフ・カイサ(またはレイフ・カイサライフ・カイサー、Leif Kayser、1919年6月13日 - 2001年6月15日 )は、デンマーク作曲家オルガニストカトリック司祭。カトリック教会のためのオルガン声楽作品などをはじめ、管弦楽や室内楽など幅広い分野にわたって作品を残した。

生涯

コペンハーゲンで国会速記者の父のもとに生まれ[1]、カトリック系の聖クヌーズ学校で学ぶ[2]。幼いころから音楽に興味を示し、実家で音楽教育を受けるとともに[3]、少年合唱団に所属してグレゴリオ聖歌に習熟した[4]。また、カイサは司祭のA.メンシンガにオルガニストのクアト・トムセンを紹介され、オルガンを習った[5]。1936年にコペンハーゲンのデンマーク音楽アカデミーに入学し、1941年まで在学した[6]。アカデミーでは、ポール・ロング=ケラー(オルガンと音楽理論)、ポール・シーアベック(管弦楽法)、ハラルドゥル・シグルソン(ピアノ)、クリスチャン・サンビュー(室内楽)、ルドルフ・シモンセン音楽史)に師事した[7]。1938年にオルガンの、1939年にピアノの試験に合格したあと[8]ストックホルムに留学し、ヒルディング・ルーセンベリ(作曲)とトゥール・マン(指揮)に師事した[9]

カイサはアカデミー在学中に作曲を始めた。はやくも1939年2月に、交響曲第1番がヨーテボリでマンの指揮によって初演されて評判を呼び、翌年の夏には交響曲第2番が披露された[10]。指揮者のエリク・トゥクセンに勧められ、カイサはクリスチャン10世の70歳の誕生日(1940年9月26日)のために、デンマーク国歌による序曲『クリスチャン王は高き帆柱の傍に立ちて』を作曲し[11]、同月に初めての出版譜として『ヴァイオリン独奏のための7つの小品』を上梓した[12]1941年にはピアニストとして初舞台を踏み[13]、同年の12月にはヨーテボリで指揮者としてもデビューした[14]

しかし1942年にとつぜん、カイサは音楽活動を中断してカトリック司祭になることを志し、ローマに留学して神学と哲学を学んだ[15]。1949年に司祭に叙階されてデンマークに戻り、コペンハーゲンの聖アンスガー教会に就いた[16]

作曲活動はローマ滞在中から再開しており、1955年にはパリに留学してナディア・ブーランジェに師事した[17]。1964年に司祭の職を辞し、デンマーク音楽アカデミーで管弦楽法と楽曲分析の教員となって1982年まで勤めた[18]。教え子には作曲家のニルス・ラ・クールがいる[19]

様式

残された教会音楽の数々や交響曲第2番の冒頭、オルガン協奏曲の最終楽章コーダなどに示されるように、カイサはグレゴリオ聖歌から霊感を得ている。カイサは、この世代のデンマークのほとんどの作曲家がそうであったようにカール・ニールセンの影響下にあり、ほかにも、20世紀前半の代表的作曲家であったイーゴリ・ストラヴィンスキーパウル・ヒンデミットバルトーク・ベーラの影響が見られる。とくにヒンデミットについては、カイサが彼の『作曲の手引き』を講義に使っていたことからもその影響が示唆される[20]

主な作品

管弦楽

  • 交響曲第1番(1937-38、1940改訂)
  • 交響曲第2番(1939)
  • 交響曲第3番(1943-53)
  • 交響曲第4番(1945-63)
  • 序曲『クリスチャン王は高き帆柱の傍に立ちて』(1940、1945-46改訂、吹奏楽版あり)
  • 管弦楽のためのディヴェルティメント(1946-48)

室内楽

  • ヴァイオリン独奏のための7つの小品(1941)
  • リコーダー四重奏のためのディヴェルティメント第1番(1968)、第2番(1969-73)
  • フルートとオルガンのためのカレイドスコープ(1974-76)
  • チェンバロ五重奏曲(1990)

オルガン

  • 復活祭のグレゴリオ聖歌の動機によるパラフレーズ(1946)
  • 『もろびと声あげ』による変奏曲(1947-48、1984改訂)
  • ソナチネ(1956)
  • レクイエム ― 11の瞑想曲(1955-58)
  • オルガンのための協奏曲(1965)
  • 4つの組曲(1956-73)
  • 幻想曲と賛歌(1969)
  • 教会の窓(1975)
  • アヴェ・マリア』によるトッカータ(1980)
  • クヌーズ公爵への賛歌(1986)

アコーディオン

  • 10のアラベスク(1974-75)
  • 即興曲(1991)
  • コンフェッティ(1974-92)

合唱

  • クリスマス・オラトリオ(1943-47)
  • テ・デウム(1946-53)
  • マリアの賛歌(1986)

脚注

文献




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