モチヴィック・コホモロジーとは? わかりやすく解説

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モチヴィック・コホモロジー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/23 07:11 UTC 版)

モチヴィック・コホモロジー(英: motivic cohomology)とは、代数多様体などのスキームの不変量のひとつである。モチーフに関係する一種のコホモロジーであり、代数的サイクルのチャウ環英語版を特別な場合として含んでいる。代数幾何学数論における最も深い問題のいくつかはモチヴィック・コホモロジーを理解しようとする試みである。

モチヴィック・ホモロジーとコホモロジー

X k 上の有限型なスキームとする。代数幾何学の重要な目標の一つは、 X の全ての部分多様体について多くの情報を持っている Xチャウ群英語版を計算することである。X のチャウ群は、位相幾何学におけるボレル・ムーア・ホモロジー英語版が持っているような形式的な性質をいくつか持っているが、いくつかの性質が欠けている。例えば、X の閉部分スキーム Z に対して、局所化系列と呼ばれるチャウ群の完全系列

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2021年1月

代数多様体のチャウ群をより一般的なモチヴィック・コホモロジー理論に一般化できるという可能性の最初の明確な兆候は、キレンによるベクトル束のグロタンディーク群 K0 の一般化である代数的K理論の定義と研究(1973)であった。1980年代前半、ベイリンソンとスレはアダムズ作用素英語版を用いると代数的 K 理論(群)に有理数をテンソルしたものが分解できることを観察した。直和因子は(有理数係数の)モチヴィック・コホモロジーと呼ばれている。ベイリンソンとリヒテンバウムによるモチヴィック・コホモロジーの存在と性質についての予想は影響が大きかった。彼らの予想はいくつかを除いてほとんどが証明された。

ブロックによる高次チャウ群(1986)は、体 k 上のスキームの整数係数 (有理数係数ではなく)での最初のモチヴィック・ホモロジーの定義であった(滑らかなスキームの場合には、これによりモチヴィック・コホモロジーも定義される)。X の高次チャウ群の定義はチャウ群の定義の自然な一般化であり、X とアフィン空間の積における代数的サイクルで超平面(単体の面として扱われる)と期待される次元で交叉するものを用いて定義される。

最終的には、ヴォエヴォドスキーによって(ススリンとの共同研究を基礎として)モチーフの導来圏とともに4種類のモチヴィック・ホモロジーとモチヴィック・コホモロジーが2000年に定義された。関連する圏は花村とレヴァイン(Levine)によっても定義されている。

脚注

  1. ^ Bloch, Algebraic cycles and higher K-groups; Voevodsky, Triangulated categories of motives over a field, section 2.2 and Proposition 4.2.9.
  2. ^ Voevodsky, Triangulated categories of motives over a field, section 2.2.
  3. ^ Mazza, Voevodsky, Weibel, Lecture Notes on Motivic Cohomology, Example 13.11.
  4. ^ Mazza, Voevodsky, Weibel, Lecture Notes on Motivic Cohomology, Theorem 4.1.
  5. ^ Levine, K-theory and motivic cohomology of schemes I, eq. (2.9) and Theorem 14.7.
  6. ^ Mazza, Voevodsky, Weibel, Lecture Notes on Motivic Cohomology, Theorem 5.1.
  7. ^ Voevodsky, On motivic cohomology with Z/l coefficients, Theorem 6.17.
  8. ^ Jannsen, Motivic sheaves and filtrations on Chow groups, Conjecture 4.1.
  9. ^ 柳田 2020, p. 29.
  10. ^ Hanamura, Mixed motives and algebraic cycles III, Theorem 3.4.
  11. ^ Nori, Lectures at TIFR; Huber and Müller-Stach, On the relation between Nori motives and Kontsevich periods.

参考文献

関連項目

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