マーク X 戦車
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マーク X 戦車(マーク 10 せんしゃ、Mark X tank)は、第一次世界大戦末期の1919年に、イギリス陸軍が計画した、試作中戦車である。
概要
マーク V 戦車の第3次改修型(マーク V***(トリプルスター) 戦車)として開発されたが、変更点の多さから、新設計として、新型式名を再指定された。
マーク VIII 戦車(インターナショナル戦車)の承認により、生産前に中止。雄型のみの計画で、モックアップ(実物大模型)1輌のみが完成し、後の戦車開発に影響を与えた。
開発経緯
- 背景: マーク V 戦車の改良を目的に、フランスの中央戦車工廠※で1919年初頭に着手。マーク VIII 戦車の生産合意が不確実だったため、「保険」として提案された。フィリップ・ジョンソン少佐の高速化実験(ワイヤーロープ式サスペンション)の成果を受け、機動性と生存性を強化。
※第一次世界大戦中のイギリス陸軍の中央戦車工廠(Central Tank Workshops)で、西部戦線(Western Front)のフランス北部、パ・ド・カレー県(Pas-de-Calais)のTeneur(テヌール)村近郊(またはÉtricourt(エトリクール)近辺)に位置する大規模な後方支援施設で、1917年に設立された。主な役割は、戦場から回収された戦車の修理、改造、実験で、マーク IVやマーク Vなどの主力戦車のオーバーホールや特殊改修(例: タッドポール・テールの装着)を担っていた。
- 設計変更: スポンソン(側面砲郭)の新設計、冷却システムの先進フィルターとファン、正圧気密室(毒ガス侵入防止)。これらの革新で、マーク V*** 戦車から「新戦車」に格上げ。
- 中止: マーク VIII 戦車の承認により、プロジェクトは即時放棄。モックアップは保存されず、計画書のみ残る。
諸元
- 仕様重量: 約30トン(推定)。
- 寸法: 全長約8.5 m、全幅約4.0 m、全高約2.6 m(モックアップ基準)。
- 乗員: 8 名(Mark V同様、車長、操縦手、砲手×2、装填手×2、機銃手×2)。
- 装甲: 6-16 mm(装甲鋼製、リベット接合)。
- 主武装: 23口径57 mm(6ポンド)砲 ×2(雄型のみ、合計207発)。
- 副武装: オチキス 7.7 mm(.303)機関銃 ×4(総計4,000発)。
- エンジン: リカード(Ricardo)水冷直列6気筒ガソリンエンジン(225 hp(Mark V**由来)または260 hp以上(推定))。
- 変速機: ウィルソン(Wilson)エピサイクリック式(前進4速、後退1速)。
- サスペンション: ワイヤーロープ式(フィリップ・ジョンソンの高速化実験の統合版、硬直フレーム改良)。
- 性能: 最高速度: 25 mph(約40 km/h、路上)。
- 航続距離: 約60 km。
- 登坂能力: 25°。
- 垂直障害: 1.5 m。
- 超壕能力: 3.7 m。
武装は限定旋回可能なスポンソン配置で、対歩兵/軽装甲に特化。気密室と冷却強化で生存性向上。
影響
J.F.C.フラーの「作戦計画1919」の高速中戦車コンセプトを体現したが、軍縮で幻に。技術(サスペンション、気密室)は、マーク D 中戦車に継承。
保存
モックアップは解体。関連資料はボービントン戦車博物館に。
関連項目
- マーク_X_戦車のページへのリンク