ホールデンのマップ関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 23:04 UTC 版)
「遺伝的組換え」の記事における「ホールデンのマップ関数」の解説
ここで組換え価をθとする。乗換えはまったくランダムに起きると考える。特定の二つの遺伝子座の間で乗換えが起こるというのはとても頻度の低い現象であると考えられるから、これがポアソン分布に従っているとする。この確率の期待値は上述の仮定によると、この遺伝子座の間の距離と相関していると考えられ、これをxとする。すなわち、c回の乗換えが起こる確率は以下のように表せる。 P ( C = c | x ) = x c e − x c ! {\displaystyle P(C=c|x)={\frac {x^{c}e^{-x}}{c!}}} 組換えが起こったということは、前述のように奇数回の乗換えが起こったことを示す。すなわち θ = P ( C = 1 | x ) + P ( C = 3 | x ) + P ( C = 5 | x ) + ⋯ = e − x ( x + x 3 3 ! + x 5 5 ! + ⋯ ) = e − x sinh ( x ) = ( 1 − e − 2 x ) / 2 {\displaystyle {\begin{aligned}\theta &=P(C=1|x)+P(C=3|x)+P(C=5|x)+\cdots \\&=e^{-x}(x+{\frac {x^{3}}{3!}}+{\frac {x^{5}}{5!}}+\cdots )\\&=e^{-x}\sinh(x)\\&=(1-e^{-2x})/2\end{aligned}}} ここでsinhは双曲線関数の一つ。つまり x = − ln 1 − 2 θ 2 {\displaystyle x=-\ln {\frac {1-2\theta }{2}}} これはホールデンのマップ関数として知られ、二つの遺伝子座の間の遺伝的距離を表している。xの単位はモルガンMorgans (M)で、1Mの距離にある遺伝子座の間では1回の伝達につき1回の乗換えが生じることが期待される。これはきわめて長い距離に相当し、通常は1/100M=1cM(センチモルガン)の単位が頻用される。これを利用して染色体上の遺伝子の配置位置の遺伝子地図が書ける。
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