パップスの六角形定理とは? わかりやすく解説

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パップスの六角形定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/03 14:23 UTC 版)

パップスの六角形定理:六角形AbCaBcに対して、点X,Y,Z共線である(パップス線)。
アフィン形式のパップスの定理

パップスの定理の証明

アフィン形式で、ある座標設定でのパップスの定理が証明されれば、それを適当に射影することで、一般のパップスの定理を証明できる。

アフィン平面英語版ではghghを区別する必要がある。また、単純な証明のためには、座標設定を巧く行わなければならない。

場合1: g, hが点S = ghで交わる場合。図の様に座標を設定する。

  • アフィン形式の小定理で得る点UGH上にある、つまり無限遠点である場合、トムセンの定理を得る。トムセンの図形は射影平面の公理の決定に大きな役割を果たす[7]。トムセンの図形の閉形の証明は"little theorem"の証明により行われる。しかし、次のように、より簡単で直接的な証明も存在する。トムセンの定理の主張には接続、交差、平行のみが用いられるためにアフィン写像によって不変である。三角形の頂点の座標をP = (0, 0), Q = (1, 0), R = (0, 1)と置く。また最初の点を(0, λ)とする。6回の操作を経て最後の点が(0, λ)に戻ることを証明すればよい。

    パップスの定理の他の主張

    XcC, △BbYA, a, Z配景

    パップスの定理とその双対の他の特徴づけに次の主張がある。

    • 六角形の6つの頂点が3点ずつ2本の直線上にあるとき、六角形の主対角線の交点は共線である[8]
    • 9つの点を行列に書き直して、パーマネントとして評価する。1,2行目と、その6つの"対角"が共線ならば3行目も共線である。

    3つの共点線AB, AG, ADがあって、JB, JEJで交わっている。またKLAZ平行である。このとき

    KJ : JL :: (KJ : AG & AG : JL) :: (JD : GD & BG : JB)

    である。これらは今日、等式として次の様に表される[注釈 4]

    KJ/JL = ( KJ/AG)( AG/JL) = ( JD/GD)( BG/JB)

    最右辺 (JD : GDBG : JBの積) は、共線点J, G, D, Bに対して複比として知られるもので、(J, G; D, B)とも書かれる。つまりAで交わる3線のうち、JDの取り方は複比と無関係であることが示された。

    (J, G; D, B) = (J, Z; H, E)

    直線JEAを通るどの辺(直線)にあたるかは重要ではない。特に図を変えれば、以下の様になることもある(補題X) 。

    先述のように(J, G; D, B) = (J, Z; H, E)である。パップスはこれを証明しなかったが、 補題Xはこの構図の逆「2つの複比が等しく図の様にBE, DHAで交わるとすれば、点G, A, Zは共線である」を表している。

    JK, AGが交わらない場合は複比を (J, ; K, L) = (J, G; D, B)の様に書くことができる。パップスはこれを補題XIで示している。

    当時の記法では DE.ZH : EZ.HD :: GB : BEとなるが、これは

    (D, Z; E, H) = (∞, B; E, G)

    という表現に等しい。

    次の図は補題XIIである。

    この図は補題XIIIと意味する所は同じだがBA, DGが辺の延長にある点Nで交わっている。どのような場合でも、Gを通る直線がAを通る直線と交わっているとすれば (そして複比の不変性を利用すれば)、補題IIIとXIを次のように得る。

    (G, J; E, H) = (G, D; ∞, Z)

    Dを通る直線がBを通る直線と交わっているとすれば、

    (L, D; E, K) = (G, D; ∞, Z)

    を得る。したがって(E, H; J, G) = (E, K; D, L)である。また補題Xより、H, M, K共線である。これは、六角形ADEGBZの主対角線の交点の共線を表している。

    補題XVとXVIIは、直線HK, BGの交点をMとして、A, M, Gの共線を示している。これは六角形BEKHZGの主対角線の交点の共線を示している。

    脚注

    注釈

    1. ^ ただし、ABCabc配景が起こる、つまりAa, Bb, Ccが共点ならば、パップス線とABCabcも共点である。
    2. ^ (Dembowski 1968, pg. 159, footnote 1)によれば, ヘッセンベルクHessenberg (1905)の元の証明は完全ではなかった。彼は デザルグ配置で起こるいくつかの問題を見逃した。完全な証明はCronheim 1953によって行われた。
    3. ^ Heath (Vol. II, p. 421)はこれらの性質を引用している。後の2つは前の二つの逆として知られる。 Kline (p. 128)は性質139のみを引用している。性質の番号付けはHultschによる。
    4. ^ 古代ギリシャでこのように記述された理由に、当時は比というものは、数論や幾何学の対象として見られていなかったことが挙げられる。また、現在の私たちの「等しい」と言う概念は幾何学的に比にも応用できるが、古代ギリシャ人は今日でいう合同として「等しい」という概念を扱っていた。このような意味で線分は等価ではなく、比は等しいとは考えなかった。

    出典

    1. ^ 細川藤右衛門『射影幾何学』岩波書店、1943年、89頁。NDLJP:1063403 
    2. ^ 『近世幾何学 (帝国百科全書 ; 第179編)』藤田外次郎、1908年、150頁。NDLJP:828609 
    3. ^ a b Coxeter 1969, pp. 236–7
    4. ^ Rolf Lingenberg: Grundlagen der Geometrie, BI-Taschenbuch, 1969, p. 93
    5. ^ a b 窪田忠彦『幾何学の基礎 第3版 (岩波全書 ; 第104)』岩波書店、1946年、52-60,101-102,127頁。NDLJP:1211294 
    6. ^ a b Coxeter 1969, p. 238
    7. ^ W. Blaschke: Projektive Geometrie, Springer-Verlag, 2013, ISBN 3034869320, S. 190
    8. ^ Coxeter 1969, p. 231
    9. ^ a b Coxeter 1969, p. 233
    10. ^ Whicher 1971, chapter 14

    参考文献

    関連項目

    外部リンク




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