ツユクサと文学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 03:03 UTC 版)
『万葉集』には月草・鴨頭草(つきくさ)を詠ったものが9首存在し、古くから日本人に親しまれていた花の一つであると言える。朝咲いた花が昼しぼむことから、儚さの象徴として詠まれたものも多い。 つき草のうつろいやすく思へかも我(あ)が思(も)ふ人の言(こと)も告げ来(こ)ぬ(巻4 583)月草之 徒安久 念可母 我念人之 事毛告不来 つき草に衣(ころも)ぞ染(し)むる君がためしみ色(或 まだらの)ごろもすらむと思(も)ひて(巻7 1255)月草尓 衣曽染流 君之為 綵色衣 将摺跡念而 つき草に衣(ころも)色どりすらめどもうつろふ色と言うが苦しさ(巻7 1339)鴨頭草丹 服色取 摺目伴 移變色登 稱之苦沙 つき草に衣(ころも)はすらむ朝露にぬれての後はうつろひぬとも(巻7 1351)月草尓 衣者将摺 朝露尓 所沾而後者 徒去友 朝露に咲きすさびたるつき草の日くたつ(或 日たくる)なへに消(け)ぬべく思ほゆ(巻10 2281)朝露尓 咲酢左乾垂 鴨頭草之 日斜共 可消所念 朝(あした)咲き夕(ゆうべ)は消(け)ぬるつき草の消(け)ぬべき戀(こひ)も吾(あれ)はするかも(巻10 2291)朝開 夕者消流 鴨頭草之 可消戀毛 吾者為鴨 つき草の假(か)れる命にある人を(或 假なる命なる人を)いかに知りてか後もあはむといふ(或 あはむとふ)(巻11 2756)月草之 借有命 在人乎 何知而鹿 後毛将相云 うち日さす宮にはあれどつき草の移ろふ心わが思はなくに(巻12 3058)内日刺 宮庭有跡 鴨頭草乃 移情 吾思名國 百(もも)に千(ち)に人はいふともつき草の移ろふこころ吾(われ)持ためやも(巻12 3059)百尓千尓 人者雖言 月草之 移情 吾将持八方 また、俳句においては、露草、月草、蛍草などの名で、秋の季語とされる。
※この「ツユクサと文学」の解説は、「ツユクサ」の解説の一部です。
「ツユクサと文学」を含む「ツユクサ」の記事については、「ツユクサ」の概要を参照ください。
- ツユクサと文学のページへのリンク