タリウム中毒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/11 22:13 UTC 版)
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タリウム中毒(タリウムちゅうどく、英語: Thallium poisoning)は、主にタリウムの水溶性の塩類(例:硫酸タリウム)を摂取することにより発生する中毒症状である[1]。タリウムは無味無臭であり、体内への吸収率が高く、少量でも致死量に達する可能性があるため、非常に毒性の高い物質として知られている。
タリウム中毒は、事故による誤飲、職業的な暴露、または自殺や殺人の手段として意図的に使用された場合に発生する[1]。
原因と毒性
タリウムは元素周期表の第13族元素であり、主に一価イオン(Tl+)として体内に取り込まれる。
タリウムイオン(Tl+)は、生体内でカリウムイオン(K+)と化学的性質が類似しているため、ナトリウム-カリウムポンプ(Na+/K+-ATPase)などのイオンチャネルを介して細胞内に容易に取り込まれる。このため、カリウムが必要な細胞機能(特に神経系)を阻害し、広範な臓器障害を引き起こす。
症状
タリウム中毒の症状は、摂取した量と期間によって急性または慢性に分類される。
急性中毒
大量に摂取した場合、数時間から数日以内に激しい症状が現れる。
慢性中毒
低用量を長期間にわたって摂取した場合に発症する。
- 神経症状:徐々に進行する感覚・運動神経障害。
診断
診断は、特徴的な症状(特に原因不明の神経症状と脱毛の組み合わせ)、および血液検査や尿検査によるタリウム濃度の測定に基づいて行われる[2]。
治療
タリウム中毒には確立された治療法が存在するが、早期の治療開始が不可欠である。
- 排泄促進:プルシアンブルー(Prussian blue)の経口投与が最も重要な治療法とされる[2]。プルシアンブルーは、腸内でタリウムイオンを吸着し、体内への吸収を妨げるとともに、タリウムの腸肝循環を遮断し、体外への排泄を促進する。
歴史的な事例
タリウムは過去に殺鼠剤として使用されていたが、毒性の強さから多くの国で禁止された。
関連項目
脚注
- ^ a b c d “タリウム又はその化合物による疾病について” (PDF). 厚生労働省. 2025年11月11日閲覧。
- ^ a b “医師向け中毒情報【タリウム化合物 詳細版】 Ver.2.03_b” (PDF). 厚生労働省科学研究成果データベース. 2025年11月11日閲覧。
タリウム中毒
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タリウム中毒の際に同様に結合をつくり排泄を促すために用いられる。
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