1904年、雪のクリスマスを迎えたダブリン。大学教授のガブリエル・コンロイと妻のグレタは年老いたジュリアとケイトというモーカン叔母姉妹と姪メアリーが毎年主催している舞踏会に遅れてくる。大勢集まり、メアリーのピアノ演奏、グレイ氏の詩の朗読、ダンスや談話などの活気で温かくなごやかな雰囲気だった。ガブリエルが3人のもてなしに対してスピーチをしてお開きとなる。帰り際に客の一人で歌手のバーテル・ダーシーが歌うアイルランドのバラード(List of Irish ballads)「オクリムの乙女」(The Lass of Aughrim)という歌を聴いた時から、グレタの様子が日頃とは別人のようにおかしくなる。ホテルに戻ったガブリエルは、グレタから彼女がゴールウェイの祖母の田舎に住んでいた娘時代に出会った、この歌をよく口ずさんだ少年マイケル・フューリーの悲しい思い出話を聞かされる。結核になり、会うことが許されず、グレタがダブリンに発つ日に病床を抜け出し、冷たい雨の中、庭先に立っていた。そしてまもなく亡くなったという。ガブリエルは嫉妬が妻の憐れみ、それが愛に変化していき、今夜起こった様々な光景を思い出す。生きとし生けるものが遅かれ早かれ、移り住むおびただしい死者たちの世界を想う。外に降りしきる雪はマイケルの墓も、アイルランド全土を優しく包み込むかのようである。
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