コレクター (ジョン・ファウルズ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/28 02:06 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動『コレクター』(The Collector)は、ジョン・ファウルズの1963年発表の小説。
1965年に映画化されている(コレクター (1965年の映画) を参照)。
物語
この物語の主人公は、市役所に勤め、蝶の採集を趣味とする孤独な若い男フレデリック・クレッグ(Frederick Clegg)である。物語は、彼の主観から始まる。クレッグは、美人の美術学生のミランダ・グレイ(Miranda Grey)に惹かれているが、しかし社交的な性格ではなかったためアプローチができず、距離を置いたまま崇拝するだけだった。
ところがある日、彼は宝くじで大当たりをした。彼は仕事をやめ、田舎に一軒家を購入する。そこでの生活で、彼の孤独と、グレイへの思いが募っていく。普通に口説くことができなかったため、クレッグは彼のコレクションに彼女を加えて、彼女の自分への愛が十分に育つまで閉じ込めておくことにした。念入りな準備の末、彼はクロロホルムを使ってグレイを誘拐し、地下室に閉じ込めた。
クレッグは、それほど間を置かず彼女が自分を愛し始めることを信じていた。しかしグレイは、目覚めるとすぐに、クレッグがしたことは誘拐なのだということを突きつける。クレッグは当惑し、結局、1ヶ月したら解放すると約束させられてしまう。クレッグは、彼女に全ての敬意を捧げること、性的なふるまいには及ばないこと、プレゼントのシャワーと快適な生活を約束する。しかし彼女の即時解放には同意しなかった。
クレッグは、不気味で無表情な言葉で、彼の計画を合理化した。彼は人間関係に心底不器用で、親密な関係を構築できないできたように見えた。人によっては、彼を社会病質者であると考えるかも知れないが、彼は一見したところ正常に見え、そのギャップを深く気に病んでいた。また、彼の動機が合理的でも純粋でもないという指摘には強く苛立った。
第2章は、グレイが拘束されている間につけた日記の形式となっている。当初、グレイはクレッグを恐れており、また理解してもいなかったし、まずは性的な目的による誘拐ではないかと疑ってもいた。しかしそうではないことがわかってくる。クレッグの絶望的な情熱と屈折した振る舞いを通じて、グレイは、徐々に彼女の捕獲者を、シェイクスピアの「テンペスト」におけるキャリバンと重ねて、哀れみの情を抱くようになっていく。グレイは、数回の逃亡を企てるが失敗する。また、グレイは自分を解放するよう説得を重ねるが、クレッグがますます混乱し、苛立つという結果に終わる。グレイは、どうあっても解放されないのであれば、殺すしかないと思い始める。しかしその計画を実現する前に、彼女は重い肺炎にかかり、死んでしまう。
第3章は、再びクレッグの主観に戻る。グレイの死のあと、彼は自殺への誘惑に駆られもした。しかしグレイの日記を読み、結局最後まで彼は愛されなかったということを知ると、彼女の死に自分はなんら責任がなく、彼女でなくてもかまわなかったのだと思い込もうとする。そして、クレッグは、次の獲物を探しに出かけることに決めたのだった。
パロディ
テレビアニメ「ヤッターマン」に本作のパロディ「コレクター博士だコロン」(第105話、1979年1月6日放送)がある。
参考文献
「コレクター (ジョン・ファウルズ)」の例文・使い方・用例・文例
- ぜんまい仕掛けのおもちゃの自動車のコレクターだ。
- それはコレクターにとても人気があります。
- それはコレクターに絶大な人気があります。
- それはコレクターに絶大な人気を誇る。
- コレクター入門
- 今でもその値段でならオークションで買うというコレクターはいますよ。
- 他のコレクターとは比べものにならないほどの浮世絵を彼は持っている.
- アマチュアは、コレクターと密接に関係がある
- 彼女のコレクションを収納するために博物館をボストンに建設して、1903年にそれを市民に公開した米国の芸術品コレクターと後援者(1840年−1924年)
- コレクターという,トランジスターの電極
- コレクターの個性を打ち出した小美術館
- しかし,失われたイラクの古美術品の多くは,すでに世界中のコレクターや美術館の手にあるのではないかと懸(け)念(ねん)する人もいる。
- 彼は他にヒットスリラー「パトリオット・ゲーム」や「ボーン・コレクター」を監督した。
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