コズミック・ブルースを歌うとは? わかりやすく解説

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コズミック・ブルースを歌う

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/11 00:06 UTC 版)

『コズミック・ブルースを歌う』
ジャニス・ジョプリンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1969年6月16日–26日
コロムビア・レコード・スタジオ(ニューヨーク州ニューヨーク市)
ジャンル
時間
レーベル コロムビア
プロデュース ガブリエル・メックラー英語版
ジャニス・ジョプリン アルバム 年表
チープ・スリル
1968年
コズミック・ブルースを歌う
1969年
パール
1971年
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コズミック・ブルースを歌う』(I Got Dem Ol' Kozmic Blues Again Mama!)は、コロムビア・レコードから1969年9月11日に発売されたアメリカのシンガー=ソングライター、ジャニス・ジョプリンの通算3枚目となる初のスタジオ録音のソロアルバム。本作はジョプリンが以前のバンド、ビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニー英語版離脱後初のアルバムであり[2]、生前発売された唯一のソロアルバムでもある。

レコーディング

レコーディングはニューヨーク市で1969年6月16日に開始され、6月26日に完了した[要出典]。このアルバムのために、ジョプリンはホールディング・カンパニーのギタリストだったサム・アンドリュー英語版を開発に参加させ、コズミック・ブルース・バンド英語版とともに取り組んだ。ジョプリンは以前のバンドでは認められなかったブラスとホーンセクションを楽曲に取り入れた。これは、ジョプリンの以前のサイケデリック・ロックとは全く対照的で、選ばれた楽曲はよりソウルブルース色が強かった[3]。2曲を除く全曲が、プロデューサーのガブリエル・メックラーとジョプリンが選択したカバー曲だった。残る2曲はジョプリン自身が書いた「ワン・グッド・マン」と「コズミック・ブルース」だった。全体としてこのアルバムはより洗練された仕上がりとなったが、『チープ・スリル』ほどの成功は収めなかった[4]

リリース

このLPは1969年9月11日に発売され、発売後2か月足らずでゴールドレコードの資格を得た[5]。コロムビアの作品番号は「#KCS 9913」となっている。ファーストプレスではタイトルがジャケットの背とディスクのラベルだけに記載されていた。その後、アルバムのタイトルはロバート・クラムによってデザインされたステッカーとしてシュリンクラップ英語版の上に貼られた。このアルバムはコロムビアからWKPC 9913およびPC 9913として、どちらもヴァイナルで再発売された。再発版では初版のステッカーではなく、タイトルがジャケットに印刷されており、シュリンクラップの上にはソニーの「Nice Price」ステッカーが貼られていた。新しい方のPC 9913ではバーコードが添付されていたものがあった。2010年には、180グラムの限定版クラシックLP高解像度ヴァージン・ヘヴィ・ヴァイナルがプレスされ販売された。技術的には、このアルバムはヴァイナルで合計6回再発売されている。多くのコレクターが、ロバート・クラムのステッカーが貼られているものは初版だと考えているが、そうではない。希少な初版のKCS 9913にはクラムのステッカーは貼られておらず、タイトルはジャケットの背にのみ記載されている。コロムビア・レコードは「コズミック・ブルース」と「リトル・ガール・ブルー」を収録したシングルを4-45023として発売した。このシングルは全米ビルボードチャートで最高41位に達した[4]

『コズミック・ブルースを歌う』には、このほかにもヒット曲の「トライ」("Try (Just A Little Bit Harder)")、「コズミック・ブルース英語版」("Kozmic Blues")、「トゥ・ラヴ・サムバディ」("To Love Somebody")も収録されている。1999年の再発CDには、ジョプリンによる新しい歌詞とアレンジが与えられたボブ・ディランの「ディア・ランドロード英語版」("Dear Landloar")と、ウッドストックでライブ録音された「サマータイム」("Summertime")および「心のカケラ」("Piece of My Heart")がボーナストラックとして収録された[6]

評価

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典 評価
AllMusic [7]
Robert Christgau A−[8]
MusicHound Rock [1]
Rolling Stone (favorable)[9]

ローリング・ストーン誌のジョン・バークスは、1969年11月1日付のインタビューで、ジョプリンのボーカルパフォーマンスを称賛した。しかし、彼はアルバムにおけるバックバンドの楽器演奏によって、彼女のボーカルが妨げられていると指摘している。バークスは全体として、ジョプリンの音楽的方向性の変化に満足していたものの、「バンドの演奏をシャットアウトできるところまで到達すること」を推奨している[10]

リッチー・アンターカーバー英語版によれば[2]、このアルバムは発売当初は酷評されたが、その理由の一つは、アルバムがソウル/R&Bへと傾き、彼女を『ビッグ・ブラザー・アンド・ザ・ホールディング・カンパニー』で有名にしたハードロック/サイケデリックなサウンドから離れてしまったことにある。アンターバーガーは、数十年を経てアルバムの評価は幾分改善し、アルバム自体の価値を考えれば長所もあると指摘する。しかし、それでもなお、バックミュージシャンの演奏が「少しぎこちない」と感じられたことなどから、このアルバムは「欠点のある」作品だと評している。

収録曲

# タイトル 作詞・作曲 原題 時間
1. 「トライ」 ジェリー・ラゴヴォイチップ・テイラー英語版 Try (Just a Little Bit Harder)
2. メイビー リチャード・バーレット英語版 Maybe
3. 「ワン・グッド・マン」 ジャニス・ジョプリン One Good Man
4. 「素晴らしい世界に」 ニック・グレイヴナイツ英語版 As Good as You've Been to This World
5. トゥ・ラヴ・サムバディ バリー・ギブロビン・ギブ To Love Somebody
6. コズミック・ブルース英語版 ジョプリン、ガブリエル・メックラー英語版 Kozmic Blues
7. リトル・ガール・ブルー ロレンツ・ハートリチャード・ロジャース Little Girl Blue
8. 「ワーク・ミー・ロード」 ニック・グレイヴナイツ Work Me, Lord
1999年再発CDのボーナストラック
# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
9. ディア・ランドロード英語版(1969年6月17日のセッション・アウトテイク) ボブ・ディラン、ジョプリン ボブ・ディラン、ジョプリン
10. サマータイム(1969年8月のウッドストックでのライブ) ジョージ・ガーシュウィン ジョージ・ガーシュウィン
11. 心のカケラ(1969年8月のウッドストックでのライブ) ラゴヴォイ、バート・バーンズ英語版 ラゴヴォイ、バート・バーンズ英語版

パーソネル

  • ジャニス・ジョプリン - リードボーカル、ギター
  • サム・アンドリュー英語版 - ギター、ボーカル
  • マイケル・モナーク英語版 - ギター(クレジットなし)
  • マイク・ブルームフィールド - ギター(2,3,8)
  • ブラッド・キャンベル - ベースギター、金管楽器
  • リチャード・カーモード英語版 - 電子オルガン、キーボード
  • ガブリエル・メックラー英語版 - 電子オルガン、キーボード
  • ゴルディ・マックジョン英語版 - 電子オルガン、キーボード(クレジットなし)
  • モーリー・ベイカー - ドラムス
  • ロニー・カスティーユ - ドラムス
  • ジェリー・エドモントン英語版 - ドラムス(クレジットなし)
  • テリー・クレメンツ - テナー・サクソフォーン
  • コーネリアス・"スヌーキー"・フラワーズ - バリトン・サクソフォーン、バックボーカル
  • ルイス・ガスカ - トランペット
技術
  • アレックス・カザネグラス、ジェリー・ホックマン、サイ・ミッチェル - エンジニア
  • ロバート・クラム - アートワーク、ジャケットレタリング
  • ブルース・スタインバーグ - ジャケット写真

販売と認証

国/地域 認定 認定/売上数
アメリカ合衆国 (RIAA)[11] Platinum 1,000,000^

^ 認定のみに基づく出荷枚数

脚注

  1. ^ a b Selvin, Joel; Orski, Allan (1998). “Janis Joplin/Big Brother & the Holding Company”. In Graff, Gary; Durchholz, Daniel. MusicHound Rock: The Essential Album Guide. Detroit: Visible Ink Press. pp. 615–616 
  2. ^ a b Unterberger, Richie. "Janis Joplin > Biography" - オールミュージック
  3. ^ Michael Gallucci. “45 Years Ago: Janis Joplin Releases Her Debut Solo Album”. ultimateclassicrock.com. 2015年3月1日閲覧。
  4. ^ a b Billboard Charts - Janis Joplin”. billboard.com. 2015年3月1日閲覧。
  5. ^ “American album certifications – Janis Joplin – Kozmic Blues”. Recording Industry Association of America. 2025年6月24日閲覧.
  6. ^ Kozmic Blues”. janisjoplin.net. 2018年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月10日閲覧。
  7. ^ Unterberger, Richie. "Janis Joplin: I Got Dem Ol' Kozmic Blues Again Mama! > Review" - オールミュージック
  8. ^ Christgau, Robert. “Janis Joplin”. robertchristgau.com. 2011年9月10日閲覧。
  9. ^ Leimbacher, Ed; Burks, John (1 November 1969). “Janis Joplin: I Got Dem Ol' Kozmic Blues Again Mama!. Rolling Stone (San Francisco: Straight Arrow Publishers, Inc.) (45): 40. オリジナルの16 June 2012時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120616102334/http://www.rollingstone.com/music/albumreviews/i-got-dem-ol-kozmic-blues-again-mama-19691101 2016年6月8日閲覧。. 
  10. ^ Burks, John (1969年11月1日). “I Got Dem Ol' Kozmic Blues Again Mama!”. Rolling Stone. 2012年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年3月1日閲覧。
  11. ^ “American album certifications – Janis Joplin – I Got Dem Ol' Kozmic Blues Again Mama!”. Recording Industry Association of America. 2025年6月24日閲覧.



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