キリストの受難の瞑想とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > キリストの受難の瞑想の意味・解説 

キリストの受難の瞑想

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/17 15:09 UTC 版)

『キリストの受難の瞑想』
イタリア語: Meditazione sulla Passione
英語: The Meditation on the Passion
作者 ヴィットーレ・カルパッチョ
製作年 1510年ごろ
種類 板上にテンペラ油彩
寸法 70.5 cm × 86.7 cm (27.8 in × 34.1 in)
所蔵 メトロポリタン美術館ニューヨーク

キリストの受難の瞑想』(キリストのじゅなんのめいそう、: Meditazione sulla Passione: The Meditation on the Passion)は、イタリアルネサンス期のヴェネツィア派の画家ヴィットーレ・カルパッチョが1510年ごろ、板上にテンペラ油彩で描いた絵画である。『旧約聖書』の登場人物であるヨブと隠者聖聖ヒエロニムスを死せるイエス・キリストの傍に表わしている[1][2][3][4]。ジョン・スチュアート・ケネディ (John Stuart Kennedy) 基金により1911年に購入されて以来[1]、作品はニューヨークメトロポリタン美術館に所蔵されている[1][2][3]

作品

カルパッチョは、ヴェネツィアの諸同心会のために描いた物語画連作で最も知られている。しかし、画家は個人収集家の祈祷用に数々の宗教的主題の作品も制作しており[1][2][3]、それらは憑依するような静けさや豊かな描写的アプローチにより際立っている[3]。本作はそうした作品中でも最良のものの1つである[1][2][3]

画面では、ヨブ (右側) と聖ヒエロニムス (左側) が破損した玉座にあるキリストの遺体の傍で瞑想に耽っている。ヨブが腰かけている大理石板には、ヘブライ語で「私は私の救い主が生きておられることを知る」 (「ヨブ記」、19:25) [4]という銘文が見られる[1][2][3][4]。銘文は、隠遁者として描かれている聖ヒエロニムスと向かい合っており[4]、彼はこの「ヨブ記」の1節をキリストの復活に言及するものだと解釈する[1][2]。聖ヒエロニムスは、ヨブを忍苦の範例とし、その苦難によりキリストと対比すべき信仰者とし、かつキリストの復活を予見した預言者とみなすキリスト教の解釈に影響を与えた人物でもある[4]

画中の数多くの要素が死と復活の主題を裏づけている。ヨブの足元にある骨[3]、キリストの壊れた玉座に立て掛けられた茨の冠[1][2][3]、キリストの身体上から飛び立つ鳥などは、死と復活の象徴である[3]。キリストは眠っているように見え、それも復活を示唆する[4]。風景も生と死を対比している。左側では荒涼としており、右側では緑豊かで、開けたものとなっている[1][2][3]

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i キリストの受難の瞑想”. メトロポリタン美術館公式サイト (日本語). 2024年6月27日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h メトロポリタン美術館ガイド 2012年、245頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j The Meditation on the Passion”. Web Gallery of Artサイト (英語). 2024年6月27日閲覧。
  4. ^ a b c d e f The Meditation on the Passion, by Vittore Carpaccio (ca. 1460–1525)”. The Christina Centuryサイト (英語). 2024年6月27日閲覧。

参考文献

  • マーク・ポリゾッティ発行人兼編集責任者『メトロポリタン美術館ガイド』、メトロポリタン美術館、2012年刊行 ISBN 978-4-904206-20-1

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  キリストの受難の瞑想のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「キリストの受難の瞑想」の関連用語

キリストの受難の瞑想のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



キリストの受難の瞑想のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのキリストの受難の瞑想 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS