オーディンによる奪取
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/07 08:52 UTC 版)
オーディンは、大鎌で干し草を刈っていた9人の奴隷に会うと、彼らの大鎌を研ぐと申し出た。彼の砥石は、奴隷達が皆砥石を買いたいと望むほどよく仕上げた。オーディンが砥石を空中に投げ上げると、奴隷達は死ぬまで乱闘し合い、お互いの喉を切り合った。 それからオーディンはバウギの元で夜を過ごした。バウギはスットゥングの弟だった。彼は、自分の奴隷が互いに殺し合ったため仕事がうまくいかなかったと不平をこぼした。そして彼は、奴隷達の代わりになる人を見つけることができなかった。自分の名前がベルヴェルクだと言っていたオーディンは、スットゥングの蜜酒の一飲みと引き換えに奴隷達の仕事をすると申し出た。バウギは承知し、自分が兄を説得してみると言った。夏の間中、ベルヴェルクは決められた仕事をし、冬に、自分への対価をバウギに要求した。ベルヴェルクとバウギが一緒にスットゥングの家へ行くと、彼は飲物の一しずくも与えることを拒否した。 ベルヴェルクは次に策略を用いるとバウギに提案した。ベルヴェルクはバウギに錐のラティ(en)を貸し、フニトビョルグの山に穴を開けてくれるよう頼んだ。バウギはベルヴェルクを騙そうとしたが、最終的に穴は掘られ、ベルヴェルクは蛇の姿をとるとそこに滑り込んだ。バウギは錐でベルヴェルクを突こうとしたが無駄だった。 ベルヴェルクはグンロズの元にたどり着き、そして彼女と3夜を過ごした。それによって彼は蜜酒の3口分を得ることがゆるされた。しかしその1口ごとに、蜜酒の容器は空になっていった。 彼はそれから鷲に変身して飛び去った。スットゥングがこの盗みを見つけると、彼も鷲の姿になって、オーディン(ベルヴェルク)を追いかけた。アース神族がオーディンを見つけたとき、彼らは、オーディンが奪ってきた物を吐き出せるように容器を移動した。しかしスットゥングはオーディンの間近に迫り、オーディンは後方にいくらかのしずくをこぼしてしまった。このこぼれた分は誰でも飲むことができたので「へぼ詩人の分け前」("skáldfífla hlutr")として知られることになった。しかし詩の蜜酒は、神々と、詩の才能のある人間に対し、オーディンによって与えられたという。
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