オナ‐ペットとは? わかりやすく解説

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オナ‐ペット

《(和)Onanie(ドイツ)+petから》オナニーをするときの対象とする異性スターなどの人物


オナペット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 00:48 UTC 版)

オナペット和製英語:onapet[1])は、(主として)男性がオナニーを行う際に眺めたり思い浮かべたりして性的興奮を高めるために使用する女性[2]。恋人のほか、タレントなどもオナペットとしてよく利用される。今後は女性が同様の目的に使用する男性についてもこう呼ばれるかもしれないとすると記載する文献もある[3][注釈 1]

性的興奮を高めるため、アダルト雑誌、一般雑誌のグラビアやグラビアアイドルの写真集などの静止画、アダルトビデオなどの動画、官能小説アダルトゲームなどの各種媒体が利用される。これらの素材を、オナニーの快感を高める(=オナニーをより美味しくする)ための添え物であるとしておかずと呼ぶこともある[注釈 2]

類語としてズリネタ、オナニー・アイドル、オナニー・パートナー(オナパト)などがある[3]。なお、オナニー・クイーンという用語は意味が異なる。1980年、ストリッパーの清水ひとみが渋谷の劇場でデビューするが、迫真のオナニーシーンは好評を博した。ここから、オナニーで魅せる女性をオナニー・クイーンと呼ぶ[6][注釈 3]。その他、オナペットとして人気の高い女性アイドルを、「オナニー」(あるいは「オナペット」)と「アイドル」からなるかばん語オナドルと呼ぶことがある[7]壇蜜のように、オナペットにされることを意識してグラビアアイドルになった旨公言する者もいる[8]

英語には、日本語のオナペットに直接対応する単語はなく、研究社の和英辞典では「a person who is one's "idol", about whom one fantasizes, or whose picture one look at, during masturbation」と説明している[9][10]

沿革

この単語の用例は少なくとも1960年代まで遡れる。『平凡パンチ』1985年4月8日号が、1960年代にオナペットと目されていた約40人の女性を紹介している。その中で「60'sオナペットNo.1はこのヒト」との見出しが付けられているのが松岡きっこで、記事本文には「とにかく”目”。彼女の魅力はこれに尽きる。『眠れる美女』(大映)でデビュー後、悪女役もこなし、『11PM』のホステスで名を広めた。」とある。また中山麻理が冒頭に「いつも真っ黒がウリだった」の見出しとともに掲載され「エキゾチックなマスクとプロポーションで一時は男たちの目を独占したのが中山麻理。いつも真っ黒で、そのあたりからくる若々しさも大いに麻里人気に貢献した。」とある[11]

1970年頃、女優渥美マリオナペット女優と呼ばれ人気を博す[注釈 4]。1970年7月24日号の『週刊ポスト』に「米兵のオナペット--渥美マリ」という見出しの記事が載る[12]。同じ『週刊ポスト』1972年5月19日号にも渥美をオナペットと表現した記事がある[13]

週刊プレイボーイ』1972年9月5日号では、『ニッポン美女<オナペット>の系譜 八千草薫・吉永小百合から栗田ひろみまで」という特集が組まれている。書き出しの部分に「いまやシットリ調の「ONAPET」が大モテ。奥サマのオイロケたっぷりの”八千草薫”、お姉サマと頼れる”吉永小百合”、それに妹みたいにつきあえる”栗田ひろみ”がなんたってナウなONAPETビッグ3なんだってさ。」とある[14]

1974年1月1日発行の『現代用語の基礎知識』1974年版が、「オナペット」を見出し語として採録する[15]

1974年前後に、歌手の松尾和子オナペット歌手の称号を得ていた[16][注釈 5]。当時39歳だった松尾は『月刊POCKETパンチOh』誌で「オナペットの女王」として取り上げられ、インタビューで次のように答えている。

オナペットかしらねえ・・・。フーン、こんなおばさんをつかまえてどこがいいのかしら(笑)
(略)オナペットっていわれたって、全然ピンと来ないんですよ。わたしの歌を声を、それからボインですか。そんなものが若い男の子の処理に少しでも役立つのならそれはそれで結構だと思うんですヨ。 — 松尾和子、[17]

また、『スポーツニッポン』誌に

"オナペット"なる言葉は、男性週刊誌あたりが数年前にはやらせたものである。渥美マリ田中真理らが"オナペット女優"と呼ばれていたが、いまや時は移って松尾和子。「そのことば、最初は何のことか分からなかったんです…」 — 『スポーツニッポン』、[16]

という記事が掲載される。

また1980年にカティーサークCMに起用されて一躍人気を得た藤方佐和子は、『平凡パンチ』1980年6月30日号でのインタビューに答えて、「えッ、私がオナペット? うれしい。どうせなら日本一のオナペットになりたい」 と答えている[18]。このように『平凡パンチ』や『週刊プレイボーイ』等の雑誌では、80年前後くらいまではオナペットが一般的な用語として使われていた。オナペットという単語は明るい印象をもって堂々と使われていたとする文献もある[19]

『週刊プレイボーイ』1986年7月8日号は「憧れのオナペット決定!! 100万人の読者アンケート 想像力をカキたてる女は誰だ!?」という特集を組んでいるが、この中に「オナペットは(当時すでに)古い言葉」という趣旨の記述が見られる。ちなみに、1位には沢口靖子が上げられている。「清純なイメージがいい」「かわいい」「きれい」が理由だという[20]

2001年発行の『日本国語大辞典』が「オナペット」を見出し語として採録する[21][注釈 6]

上述の通り、1986年の時点で古い言葉であるとする文献もあるが、2015年以降もこの単語の用例はある。『週刊大衆』2017年11月15日号では『「わが青春のオナペット」ガチンコランキング!』という特集があった。回答者は534人で1位はアグネス・ラムであった[22]。その他、電車内の吊り広告では2013年現在NGワードに指定されている。「表現が卑猥、乗客に対して羞恥心を抱かせる可能性がある」という理由でオカズと言い換えることになっている[23]

脚注

注釈

  1. ^ 1991年に「女性から見た男性」をオナペットと呼ぶ用例がある[4]
  2. ^ この場合の主食に対応するものはナニか。ある者は射精であると言い、またある者はナマの性行為であると言う。また、そのようなものは存在しないと言う者もいる[5]。『いろの辞典』によると、おかずという俗語は短い流行の後廃れた[5]
  3. ^ 紛らわしいので注意が必要。もちろん、オナニー・クイーンをオナペットとして使用するのは個人の自由である
  4. ^ 映画『いそぎんちゃく』(1969年8月30日公開)などで知られる
  5. ^ 1970年頃、大学生を中心に熟女ブームのようなものが発生していた
  6. ^ 『広辞苑』第七版(2018年)には採録なし

出典

  1. ^ 株式会社綜合社 編『イミダス編集部編 imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典』(第1刷)集英社、2006年4月30日、108頁。ISBN 4-08-400502-9 
  2. ^ 新星出版社編集部 編『カタカナ語新辞典 改訂三版』(初版)新星出版社、2011年11月15日、103頁。 ISBN 978-4-405-01126-7 
  3. ^ a b いろの辞典 2000, p. 142.
  4. ^ 吉田司「まいったぁ 映画「ふたり」」『AERA』第4巻第24号、朝日新聞社、1991年6月11日、72頁、 ISSN 0914-8833 
  5. ^ a b いろの辞典 2000, p. 127-128.
  6. ^ 下川耿史 編『性風俗史年表 昭和[戦後]編』(初版)河出書房新社、2007年7月30日、337頁。 ISBN 978-4-309-22466-4 
  7. ^ 丸山孝男、山崎千秋、小林忠夫、寺内正典『例文中心カタカナ語を英語にする辞典―和製語から通じる英語へ―』大修館書店、1992年、106頁。 ISBN 978-4-46-904116-3 
  8. ^ 妖艶すぎるグラドル・壇蜜が告白! 「オナペットになりたくて、この世界に入りました」”. 週プレNEWS (2012年9月1日). 2014年6月27日閲覧。
  9. ^ 渡邊敏郎, E.R.Skrzypczak, P.Snoeden 編『研究社 新和英大辞典』(第5版第1刷)研究社、2003年、412頁。 ISBN 4-7674-2026-1 
  10. ^ 『いまどきのニホン語 和英辞典』デイヴィッド・P・ダッチャー(編著), 研究社辞書編集部(編)(初版)、研究社、2009年3月10日、42頁。 ISBN 978-4-7674-9104-2 
  11. ^ 「オナペット名鑑・復刻版・アノ時代の全開ギャル」『平凡パンチ』第22巻第13号、マガジンハウス、1985年4月8日、76頁。 
  12. ^ 「米兵のオナペット--渥美マリ」『週刊ポスト』第2巻第29号、小学館、1970年、25頁、doi:10.11501/3379197 
  13. ^ 「あの渥美マリのその後の"脱ぐ場所"--"オナペット"から脱皮できない女優に冷たい目を向ける人々の"打算"」『週刊ポスト』第4巻第20号、小学館、1972年、51頁、doi:10.11501/3379291 
  14. ^ 「ニッポン美女<オナペット>の系譜 八千草薫・吉永小百合から栗田ひろみまで」『週刊プレイボーイ』第7巻第35号、集英社、1972年9月5日、34頁。 
  15. ^ 『現代用語の基礎知識 1974年版』自由国民社、1974年1月1日、1332頁。 NCID AN10041974 
  16. ^ a b 「松尾和子人気に"再会" ヤングから電話やレター やはりうれしい 秋にはリサイタル…再婚も」『スポーツニッポン』スポーツニッポン新聞社、1974年1月31日、11面。
  17. ^ 「酔中放談 松尾和子「オナペットの女王だなんて…」」『月刊POCKETパンチOh!』第7巻第7号、平凡出版、1974年5月1日、136頁、全国書誌番号: 00000494 
  18. ^ 「「日本一のオナペットになりたい!」<カティーサークの女>藤方佐和子」『平凡パンチ』第17巻第27号、平凡出版、1980年6月30日、38頁、 NCID AA11427691全国書誌番号: 00021496 
  19. ^ 関忠文(編著)『青年心理学』(初版)福村出版、1980年4月20日、37頁。doi:10.11501/12039562 
  20. ^ 「憧れのオナペット決定!! 100万人の読者アンケート 想像力をカキたてる女は誰だ!?」『週刊プレイボーイ』第21巻第27号、集英社、1986年7月8日、58-59頁、全国書誌番号: 00021155 
  21. ^ 『日本国語大辞典 第二版』 第二巻、小学館、2001年2月20日、1294頁。 ISBN 4-09-521002-8 
  22. ^ 「わが青春のオナペット」ガチンコランキング!”. 風俗大衆JOINT STYLE (2017年11月15日). 2023年10月17日閲覧。
  23. ^ 週刊プレイボーイ電車吊り広告“エロワード”「こんなふうに修正してきました」10年史」『週刊プレイボーイ』第48巻第14号、集英社、2013年、2024年7月11日閲覧 

参考文献

  • 小松奎文(編著)『いろの辞典』(初版第1刷)文芸社、2000年7月3日。 ISBN 4-8355-0045-8 

関連項目



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