エールステディヴィジとは? わかりやすく解説

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エールステ・ディヴィジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/26 16:52 UTC 版)

エールステ・ディヴィジ
加盟国 オランダ
大陸連盟 UEFA
創立 1956
参加クラブ 20
リーグレベル 第2部
上位リーグ エールディヴィジ
下位リーグ トゥヴェーデ・ディヴィジ
国内大会 KNVBカップ
最新優勝クラブ ヘラクレス・アルメロ (3回目) (2022-23)
最多優勝クラブ フォレンダム (6回)
テレビ局 ESPN英語版
Veronica TV英語版
公式サイト 公式サイト
2023-24

エールステ・ディヴィジオランダ語: Eerste Divisieオランダ語発音: [ˈeːrstə diˈvizi], 英語: First Division)は、オランダにおけるプロサッカーの2部リーグである[注釈 1]

リーグの名称は、スポンサーであるオランダの台所製造企業のブランド名を冠して「ケウケン・カンピウーン・ディヴィジ」と呼称される。以前はベルギーのビール醸造会社がスポンサーで「ジュピラーリーグ」と、職業別電話帳の会社がスポンサーで「ハウデン・ヒッズ・ディヴィジ」[1] と称していた。なお、ベルギーのサッカーリーグは現在もジュピラーがスポンサーであり、こちらの呼び名はジュピラー・プロ・リーグである。

概要

エールステ・ディヴィジは基本的には20クラブで構成されており、2回総当りのホーム・アンド・アウェー方式で行われる。優勝クラブは自動的に翌シーズンのエールディヴィジに昇格し、代わりにエールディヴィジの18位(最下位)クラブが自動的に降格してくる。その他のエールステ・ディヴィジ8クラブとエールディヴィジ16位・17位のクラブが入れ替え戦に進出し、翌シーズンのエールディヴィジの枠を争う。

エールステ・ディヴィジからの降格・下部リーグであるフーフトクラッセからの昇格は、原則として認められていなかった。これはエールディヴィジとエールステ・ディヴィジのみがプロリーグであり、これより下のリーグはアマチュアリーグだったためである。しかし、2010-11シーズンからアマチュアクラブにもプロリーグ挑戦の門戸を開放することを目指し、トップクラッセを設立。初回のシーズンはエールステの最下位(19位[注釈 2])・FCオスがトップクラッセに降格した[注釈 3]

2012-13シーズンの2クラブの財政破綻を受け、KNVBは2013年夏にリーグ改革に着手。トップクラッセからアヒレス'29、エールディヴィジのリザーブからヨング・アヤックス、ヨング・PSV、ヨング・トゥエンテを加えた20チームでのリーグ戦に変更[2]。2015-16シーズンはヨング・トゥエンテが財政難からエールステ・ディヴィジを撤退したため、一時的に19クラブでのリーグ戦となった。

王立オランダサッカー協会 (KNVB) は2014年12月2日、国内リーグでの競争を促すべく2016-17シーズンからエールステ・ディヴィジの下に新たにプロリーグとしてトゥヴェーデ・ディヴィジ(3部リーグ)を創設し、エールステ・ディヴィジとトゥヴェーデ・ディヴィジの間で昇降格を導入することを発表した[3]。これに伴って以前のトップクラッセはデルデ・ディヴィジ(4部リーグ)に改称し、さらにその下にフーフトクラッセ(5部リーグ)が位置するリーグ構成となった。

しかし、2019年12月16日に短期的に関係者間で合意に至る目処が付かないことを理由に今後3シーズンにわたってエールステ・ディヴィジとトゥヴェーデ・ディヴィジの間での昇降格を行わないことが決定され、早くも方針転換となった[4]。さらに2022年6月22日のKNVB総会において、エールステ・ディヴィジとトゥヴェーデ・ディヴィジの間での昇降格制度を少なくとも5年から10年の間は導入しないことが決定された。ただし、エールステ・ディヴィジへの昇格を可能にする制度を策定することで合意したとされている[5]

また、2019-20シーズンについては2020年4月24日にオランダ国内の新型コロナウイルス感染症の流行の影響を理由に、2部史上初のリーグ打ち切りが発表された[6]。これにより、打ち切り時点で自動昇格順位にいた2部首位のSCカンブール・レーワルデンと2位デ・フラーフスハップエールディヴィジ昇格が消滅し、翌2020-21シーズンもエールステ・ディヴィジで戦う事になった。

リザーブチームの参戦

2013-14シーズンから試験的に2年間、リザーブリーグからアヤックス、PSV、トゥエンテの各リザーブチーム(ヨング)がエールステ・ディヴィジに参加。2015-16シーズンからはトゥエンテが撤退し、アヤックスとPSVの両ヨングチームが参加している。リザーブチームはあくまで経験を積む場としての参加であり、昇格は争わないためプレーオフ参加資格もない。

現在の規定ではこれまでのリザーブチームのルールとは違い、同じ週にエールディヴィジとエールステ・ディヴィジの両方でプレーできる選手の数は、禁止規定が2015年夏に緩和されて2人まで。23歳以上でトップチームで10回以上スタメンまたは10回以上45分間以上プレーした選手は、それ以降エールステ・ディヴィジでの出場資格を失う。また、リザーブチームはこれまで同様にKNVBカップの出場資格は持たない[3]

大会形式

20クラブによる2回総当りで38試合を行う。基本的に8月に開幕して翌年5月に閉幕する。

エールディヴィジとの昇降格

エールディヴィジ(1部)との入れ替えは3クラブとなる。2020-21シーズン以降の規定ではレギュラーシーズン上位2クラブがに自動的に昇格し、エールディヴィジの下位2クラブが降格する。

昇降格プレーオフについてはエールディヴィジ16位のクラブとエールステ・ディヴィジの6クラブによって争われて、プレーオフ王者が翌シーズンにエールディヴィジに参加する。トーナメント方式で3回戦まで行い、全てホーム・アンド・アウェー形式となる。

エールステ・ディヴィジ側の6クラブは以下のように独特の方式で決定される:

  • シーズン38試合を4期間(1〜9節、11〜19節、20〜29節、30〜38節)に区切り、期間における首位のクラブにプレーオフ出場権を与える。期間王者が前の期間でも首位で出場権を獲得済みの場合には期間2位のクラブが繰り上げで王者となり出場権を得る。2位のクラブも出場権を獲得済みの場合には期間王者なしとなる。期間王者は最大で4クラブとなるが、複数期間で王者になったり、既に自動昇格を決めている場合にはその数が減少することがある。
  • 残りの参加クラブはレギュラーシーズンの順位によって決定する。

プレーオフ参加クラブはエールディヴィジ16位のクラブがシード1、エールステ・ディヴィジの6クラブがレギュラーシーズンの順位に従ってシード2〜シード7とする。

  • 1回戦
    • A - シード2 vs シード7
    • B - シード3 vs シード6
    • C - シード4 vs シード5
  • 準決勝
    • D - Aの勝者 vs Bの勝者
    • E - Cの勝者 vs シード1
  • 決勝
    • F - Dの勝者 vs Eの勝者

なお、リザーブチームについてはレギュラーシーズンで2位以内に入っても自動昇格の対象外となり、プレーオフ出場権も得られない。

トゥヴェーデ・ディヴィジとの昇降格

オランダではプロとアマの棲み分けが完全になされた伝統から、2009-10シーズンまではエールステ・ディヴィジとアマチュア1部(実質3部)のフーフトクラッセとの入れ替えは認められていなかったが、アマチュアクラブにも将来的なプロリーグ参入を目指せる環境づくりを提供することを念頭に、トップクラッセという新ディビジョンを発足。2009-10シーズンはエールステ・ディヴィジ最下位(19位)のFCオスが降格したのみだったが、2010-11シーズンからはエールステ・ディヴィジの最下位チームとトップクラッセの総合優勝チーム[注釈 4]とが自動的に入れ替わる。ただしトップクラッセの優勝チームには昇格の拒否権があり、その場合はプレーオフで敗退したクラブが昇格する。そのクラブも拒否した場合、入れ替えは行われない。

2016‐17シーズンからは3部リーグの「トゥヴェーデ・ディヴィジ」が発足したのに伴い、エールステ・ディヴィジの下位数クラブと、トゥヴェーデ・ディヴィジの上位数クラブが自動入れ替え、または入れ替え戦を行う。4部に格下げとなるトップクラッセ改めデルデ・ディヴィジとの入れ替えは、トゥヴェーデ・ディヴィジとの間が対象となる。

エールステ・ディヴィジとトゥヴェーデ・ディヴィジとの間での昇降格は2019-20シーズンから凍結されている。2025年4月にMVVマーストリヒトの共同オーナーとなった出島フットボール代表取締役の利重孝夫はエールステ・ディヴィジのクラブを経営するメリットとして、2部と3部の間で昇降格が事実上存在せず、降格回避のための予定外の出費に迫られる心配がないことを挙げている[7]

所属クラブ

2022-23シーズン
クラブ名 ホームタウン ホームスタジアム 収容人数 前年度順位
FCエメン エメン デ・アウデ・メールダイク 8,309 エールディヴィジ16位
SCカンブール レーワルデン カンブール・スタディオン 10,500 エールディヴィジ17位
FCフローニンゲン フローニンゲン エウロボルグ 22,550 エールディヴィジ18位
ヴィレムII ティルブルフ コニング・ヴィレムII・スタディオン 14,500 4位
MVVマーストリヒト マーストリヒト デ・ヘウセルト 10,000 5位
NACブレダ ブレダ ラット・フェルレフ・スタディオン 19,000 6位
VVVフェンロー フェンロー コフェボ=スタディオン 8,000 7位
アイントホーフェン アイントホーフェン ヤン・ルーヴェルス・スタディオン 4,600 8位
テルスター フェルセン BUKOスタディオン 3,060 9位
デ・フラーフスハップ ドゥーティンヘム デ・ファイフェルベルフ 12,600 10位
ヨングAZ アルクマール AFASトレーニング・コンプレックス 200 11位
ADOデン・ハーグ デン・ハーグ ビンゴール・スタディオン 15,000 12位
ヨング・アヤックス アムステルダム スポルトパルク・デ・トゥーコムスト 2,050 13位
ヨングPSV アイントホーフェン PSVキャンパス・デ・ヘルトガング 2,500 14位
ローダJC ケルクラーデ パルクスタット・リンブルフ・スタディオン 19,979 15位
ヘルモント・スポルト ヘルモント GSスタールヴェルケン・スタディオン 4,100 16位
TOPオス オス フランス・ヘーセン・スタディオン 4,560 17位
ドルトレヒト ドルトレヒト スタディオン・クロメダイク 4,235 18位
デン・ボス スヘルトーヘンボス デ・フリールト 8,713 19位
ヨング・ユトレヒト ユトレヒト スポルトコンプレックス・ズーデンバルヒ 550 20位

歴代優勝クラブ

シーズン 優勝 準優勝
1956-57 ADO
ブラウ・ウィット
アルクマール'54
ストルムフォーヘルス
1957-58 ヴィレムII
SHS
DFC
ストルムフォーヘルス
1958-59 FCフォレンダム
シッターディア
レーワルデン
ストルムフォーヘルス
1959-60 GVAV
アルクマール'54
フィテッセ
DFC
1960-61 FCフォレンダム
ブラウ・ウィット
デ・フォレワイカース
DHC
1961-62 ヘラクレス
フォルトゥナ・フラールディンゲン
SBVエクセルシオール
DHC
1962-63 DWS ゴー・アヘッド
1963-64 シッターディア テルスター
1964-65 ヴィレムII USVエリンクワイク
1965-66 シッターディア クセルクセス
1966-67 FCフォレンダム NEC
1967-68 ホラント・スポルト AZ'67
1968-69 SVV HFCハールレム
1969-70 FCフォレンダム SBVエクセルシオール
1970-71 FCデン・ボス GVAV
1971-72 HFCハールレム AZ'67
1972-73 ローダJCケルクラーデ PECズヴォレ
1973-74 SBVエクセルシオール フィテッセ
1974-75 NEC FCフローニンゲン
1975-76 HFCハールレム FC VVV
1976-77 フィテッセ PECズヴォレ
1977-78 PECズヴォレ MVVマーストリヒト
1978-79 SBVエクセルシオール FCフローニンゲン
1979-80 FCフローニンゲン FCフォレンダム
1980-81 HFCハールレム SCヘーレンフェーン
1981-82 ヘルモント・スポルト フォルトゥナ・シッタート
1982-83 DS'79 FCフォレンダム
1983-84 MVVマーストリヒト FCトゥウェンテ
1984-85 SCヘラクレス FC VVV
1985-86 FCデン・ハーグ PECズヴォレ
1986-87 FCフォレンダム ヴィレムII
1987-88 RKCヴァールヴァイク BVフェーンダム
1988-89 フィテッセ FCデン・ハーグ
1989-90 SVV NACブレダ
1990-91 デ・フラーフスハップ NACブレダ
1991-92 SCカンブール BVVデン・ボス
1992-93 VVVフェンロー SCヘーレンフェーン
1993-94 ドルトレヒト'90 NEC
1994-95 フォルトゥナ・シッタート デ・フラーフスハップ
1995-96 AZ FCエメン
1996-97 MVVマーストリヒト SCカンブール
1997-98 AZ SCカンブール
1998-99 FCデン・ボス FCフローニンゲン
1999-00 NACブレダ FCズヴォレ
2000-01 FCデン・ボス SBVエクセルシオール
2001-02 FCズヴォレ SBVエクセルシオール
2002-03 ADOデン・ハーグ FCエメン
2003-04 FCデン・ボス SBVエクセルシオール
2004-05 ヘラクレス・アルメロ スパルタ・ロッテルダム
2005-06 SBVエクセルシオール VVVフェンロー
2006-07 デ・フラーフスハップ VVVフェンロー
2007-08 FCフォレンダム RKCヴァールヴァイク
2008-09 VVVフェンロー RKCヴァールヴァイク
2009-10 デ・フラーフスハップ SCカンブール
2010-11 RKCヴァールヴァイク FCズヴォレ
2011-12 FCズヴォレ スパルタ・ロッテルダム
2012-13 SCカンブール FCフォレンダム
2013-14 ヴィレムII FCドルトレヒト
2014-15 NEC FCアイントホーフェン
2015-16 スパルタ・ロッテルダム VVVフェンロー
2016-17 VVVフェンロー ヨング・アヤックス
2017-18 ヨング・アヤックス フォルトゥナ・シッタート
2018-19 トゥウェンテ スパルタ・ロッテルダム
2019-20 新型コロナウイルス感染症で中止
2020-21 SCカンブール ゴー・アヘッド・イーグルス
2021-22 エメン フォレンダム
2022-23 ヘラクレス・アルメロ PECズヴォレ

脚注

注釈

  1. ^ 「エールステ (Eerste)」とはオランダ語で1番という意味であるが、2部リーグである。
  2. ^ 当初20チームだったがハールレムがシーズン途中で経営破綻し、参加を辞退。それとの試合も無効扱いとなったため、19チームでの開催となった。
  3. ^ 2010年10月放映「FIFAフットボール・ムンディアル」より。
  4. ^ 土曜日組・日曜日組の予選リーグそれぞれの優勝クラブでのプレーオフの勝利チーム。

出典

  1. ^ Gids in isolation: [ˈɣɪts].
  2. ^ 負のスパイラル脱却を狙うオランダ2部 成否分ける再編成後の新フォーマット 中田徹 - スポーツナビ(2013年6月8日)
  3. ^ a b オランダ語)『Vanaf seizoen 2016/17: promotie/degradatie tussen amateurvoetbal en betaald voetbal』(プレスリリース)王立オランダサッカー協会、2014年12月2日https://www.knvb.nl/nieuws/betaald-voetbal/competitiezaken/1908/vanaf-seizoen-201617-promotiedegradatie-tussen2025年6月26日閲覧 
  4. ^ オランダ語)『Bondsvergadering kiest voor nieuwe competitiestructuur in jeugdvoetbal』(プレスリリース)王立オランダサッカー協会、2019年12月16日https://www.knvb.nl/nieuws/organisatie/berichten/58541/bondsvergadering-kiest-voor-nieuwe-competitiestructuur2025年6月26日閲覧 
  5. ^ Agenda: VOORJAARSVERGADERING LEDENRAAD AMATEURVOETBAL” (PDF) (オランダ語). 王立オランダサッカー協会 (2023年6月16日). 2025年6月26日閲覧。 “Op de bondsvergadering d.d. 22 juni 2022 is besloten voor een periode van (in ieder geval) vijf tot tien jaar geen (verplichte) promotie/degradatieregeling in te voeren tussen de eerste en tweede divisie. Wel is afgesproken een regeling op te stellen ingevolge waarvan tot de eerste divisie kan worden toegetreden.”
  6. ^ エールディヴィジ、欧州主要リーグ初の今季打ち切りを正式発表…優勝や昇降格はなし”. サッカーキング (2020年4月25日). 2020年5月27日閲覧。
  7. ^ 中田徹 (2025年6月26日). “日本発、本格サッカーマネジメントグループ『出島フットボール』はなぜオランダ古豪クラブに経営参画するのか。明かされた壮大な青写真【現地取材】”. サッカーダイジェスト. 2025年6月26日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • KeukenKampioenDivisie.nl – エールステ・ディヴィジ公式サイト (オランダ語)
  • KNVB.nl – KNVB公式サイト (オランダ語)(英語)
  • League321.com – Dutch football league tables, records & statistics database (英語)



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