アートの終焉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 16:24 UTC 版)
「アート」という言葉の基本的な意味は、数世紀の時の中で何度も変化してきた。そして20世紀においてもまた、その意味は進化し続けている。ダントーは美術史を記述する際、ヘーゲルの弁証法的な美術史観を、現代版にアレンジして採用している。「ダントーは、今や誰もアートを制作していない、と述べているわけでもなければ、良質のアートがもはや作られなくなった、とも言っていない。ダントーの主張とは、ある種の西洋美術史は、ヘーゲルが予測したような仕方で終焉を迎えた、ということなのである」。「アートの終焉」が意味するもの、それは、アートにとっての近代が幕を開けたということだ。芸術は模倣であるというかつての制約が取り払われ、アートは新しい目的を得たのである。「アートは最初、模倣の時代から始まり、その次にイデオロギーの時代、そして最後に「何でもあり」のポスト歴史時代が到来した。我々の物語では、最初はミメーシス(模倣)だけがアートであった。次の時代では、アートの種類は増えたが、それぞれのアートが競争相手を打ち負かそうとするようになった。最後の時代では、もはや様式的・哲学的な制約が何もなくなってしまったように思われる。アート作品がこうあらねばならない、という特別な型は、何もないのである。これが現在であり、これは強調すべき点だが、現在こそが、西洋美術史を支配する大きな物語の最後の瞬間なのだ。この物語は終わりを迎えたのである」。
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