アイ・ラヴ・パリ
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/16 19:00 UTC 版)
「アイ・ラヴ・パリ」(英語: I Love Paris)は、コール・ポーター作詞、作曲のジャズ・スタンダード[1]。
概要
1953年のミュージカル『CAN-CAN』で歌われたのが最初とされる。同年、レス・バクスターがシングルをリリースし、ヒットした[1]。
このミュージカルは1960年に『カンカン』として映画化されフランク・シナトラとモーリス・シュヴァリエが主演した[1]。
解説
構成は、ヴァース(前ふり)16小節とコーラス32小節[1]。コーラス32小節の前半16小説が短調で、後半16小節が長調となるのが特徴である[1]。
歌詞はシンプルに「春のパリが好き」、「秋のパリが好き」、「雨の降る冬のパリも熱い夏のパリも好き」と歌い上げ、最後に「なぜなら、パリには愛する恋人いるから」とオチを付けている[1]。
コール・ポーターはブロードウェイで活動を始めたが、ヒットに恵まれず、パリへ渡った[2]。パリで、当時「パリの社交界でもっとも美しい未亡人」と称されていたリンダ・リー・トーマスとポーターは1919年に結婚する[2]。この後、ポーターはアメリカ合衆国に戻り、大人気作詞作曲家となるのだが、それにはポーターの才能にほれ込んだリンダの献身的なサポートなしでは実現しなかったと言える[2]。このことは2004年の映画『五線譜のラブレター』や2013年のミュージカル『ラヴ・リンダ』の主要テーマともなっている[2]。
ミュージカル『CAN-CAN』は1955年の終演までに892回のロングラン・ヒットとなったが、リンダは公演期間中の1954年に死去し、本曲はポーターのリンダへの最後のメッセージとなった[2]。
代表的なカバー
- チャーリー・パーカー『プレイズ・コール・ポーター』(1954年)[2]
- エラ・フィッツジェラルド『Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Songbook』(1956年)[1] - ヴァースから歌われており、途中の転調から声のトーンも明るくなるというドラマチックな歌唱になっている[2]
- エロル・ガーナー『パリの印象』(1958年)[1][2]
- マーティ・ペイチ『ブロードウェイ・ビット』(1959年) - ペイチによる編曲はあっさりとした洒落た味わいが特徴であるが、本曲は例外的に陰影に富んでいる[1]。
- オスカー・ピーターソン『コール・ポーター・ソング・ブック』(1959年) - テーマ・メロディをほぼ全編をコード弾きによって2回くり返して終わりで、アドリブ・ソロは無い。ピーターソンらしからぬとも言えるが、それだけで完結できる良いメロディとも言える[2]。
- リー・コニッツ&レッド・ミッチェル『アイ・コンセントレイト・オン・ユー』(1974年)[1]
- スティーヴ・カーン『クロッシングス』(1994年) - ラテン・リズムのアレンジに乗せたマイケル・ブレッカーのソロが印象的[2]。
出典
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