わたるがぴゅん!とは? わかりやすく解説

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わたるがぴゅん!

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/27 00:41 UTC 版)

わたるがぴゅん!
ジャンル 少年漫画
野球漫画
漫画
作者 なかいま強
出版社 集英社
掲載誌 月刊少年ジャンプ
レーベル ジャンプ・コミックス
発表号 1984年8月号 - 2004年10月号
巻数 全58巻
テンプレート - ノート

わたるがぴゅん!』は、なかいま強による日本野球漫画作品。

概要

中学野球大会を舞台にした野球ギャグマンガ。野球とギャグとをコミカルに混ぜ合わせ、オリジナル魔球と登場キャラクターの個性とが光る、他とは違った味のある野球マンガである[1]

月刊少年ジャンプ』において1984年8月号から連載開始し、2004年10月号で連載終了。全58巻。20年にわたる長期連載で、単行本は58巻まであるが、作中での経過時間はたったのひと夏だった。

作者の故郷沖縄の方言が対訳付きでよく使われる事が特徴的。

ストーリー

ごく普通の弱小校であった東和台中学校に、沖縄から転校生がやってくる。その転校生・与那覇わたるは、スポーツ万能児でありながら、沖縄で問題を起こしては転校を繰り返す問題児でもあった。最初は遊びで練習に勝手に混ざっていたわたるだったが、田中や丸山からの勧誘を受ける。最初は断っていたがマネージャーの関若葉に一目惚れし、野球部に入部する。

登場人物

東和台中学校(東京都)

東京都の端にある平凡な中学校。野球部も強豪ではなかったが、わたると宮城の転校・入部により大会で活躍し、周囲の注目を浴びることになる。西東京地区にあるようで、学校の周りは自然豊かな田舎。

与那覇 わたる(よなは わたる)1番 投手
右投右打。沖縄から転校してきたスポーツの天才児である1年生。マネージャーの若葉に一目惚れして野球部へ入部したが、あまり熱心に野球をやっているようには見えない。しかし、いざというときは人一倍の根性を見せる。サッカーやボクシングなど、どんなスポーツも人並み以上にこなすものの実はチームプレーが嫌い。体は小さいが負けず嫌いで自由奔放。とにかく悪知恵を働かせる発想力、手段を選ばず「やられたらやり返す」を地で行く執念深さが特徴的。転校前には沖縄の学校で様々な事件を引き起こしており、全ての学校が手に負えなくなったとのこと[注釈 1]。東京では親と同居せず、預けられる形で親代わりとなるおじい・おばあと共に暮らす。
投手としては中学生離れの球速があり、物語序盤は直球だけで抑えていた場面もある。一般的な変化球は殆ど投げないが、数々の試合を通してハブボールを始めとする4種類の魔球を編み出している(詳細後述)。
攻撃面ではパンチ力と高い走力があり、普通に打つ事は少なくトリッキーな面で相手のペースを乱す事が得意。特に走塁では反則スレスレの行為が多数見られる[注釈 2]。転校生で中途入部のためか背番号は10。帽子はツバを後ろに向けて被っている。周りは先輩ばかりで敬語を使う事はないが、名前は「さん」付けで呼んでおり敬意は彼なりに払っている様子(ただし1学年上である宮城だけは「がっぱい」呼ばわりで通している)。
  • ハブボール…最初は地を這うように低い弾道を行くが、手前で急激に上昇(ホップ)するボール。初投球時は一段ホップだったが、その後青城中戦で二段ホップ、紀ノ川中戦で三段ホップに進化する。肩に強い負担が掛かるため、わたるの体力でも15球が限界とされていた(実際に肩を痛めてしまい、おじいの鍼治療で回復した)。しかしストーリー後半では特に制限が見られなくなった。
  • シーサーボール…わたるの球速が生み出した、ナックルの変化版。通常のナックル(佐田の投げていたもの)はブレてから真下に落ちるが、わたるの球は速いため、空気抵抗に少し変化が生じ、シーサーボールはカーブ方向かシュート方向にランダムで落ちる(保志曰く、落ちる方向の割合はカーブ6:シュート4らしい)。ちなみに東京都大会の決勝・三島北中戦の対上原では真下に落ちる変化(フォークボール型)も見せたが、明確にその軌道が描写されているのはこれ一度だけである。わたるが主力としている変化球で、各校の強打者によって様々な攻略法が編み出された。
  • スコールボール…応援団が雨乞い音頭により降らせた雨からヒントを得た魔球で、アンダースローから投げるハブボール。上方向にボールを放り投げ、しばらくすると急激に下方向へ変化し、ストライクゾーンギリギリをかすめる球[注釈 3]。しかし「バウンド後のボールは簡単に打てる」という弱点が発覚し、以降は滅多に投げられなくなった。
  • アベック台風ボール…滞空中にボールの速度が変化する魔球。原理は二つの回転をかけるというもの。タイミングを外されるため非常に打ちにくい代わりに盗塁されやすいという欠点がある。前3つの魔球と比べて若干地味である。
宮城 正(みやぎ ただし)/5番(一塁手
右投右打。腕っ節は強いが非常に優しい沖縄出身の母と、本島に根深く残る欧米人差別にめげず大学教授として教鞭を取る明るいイギリス出身の父の間に生まれたハーフ(日本国籍)の2年生。小学校就学直後こそ素直で聡明な男子だったものの、父親の遺伝による身体的特徴『がっぱいちぶる』(「がっぱい=後頭部が大きい」「ちぶる=頭」の意で医学的に言う長頭)を理由にいじめられて萎縮していたが、息子に惜しみない愛情を注ぐ両親のアドバイスから(自分なりに解釈した「スキンシップ」という名の腕力で)友だち作りに励み、壮大な勘違いも相まって「人を惹き付ける男になる=沖縄番長を目指す」という大きな目標に向かって邁進する。第二次性徴によって劇的に体格が大きくなって中年のような老け顔になった小学4年生以降、それまでの優しさや聡明さの欠片も感じさせない豪傑振りが板に付き、父譲りの恵まれた体格と母譲りの喧嘩センスで南部番長を名乗った中学2年生の時に北部および中部番長を倒して本島総番となった直後、その場に居合わせたわたるとの邂逅と喧嘩が今に続く腐れ縁となり、勝ち逃げのまま転校したわたるを追って東和台中学校に転入。以後はわたるの家の裏庭を勝手に借りて寝泊まりし、生活費である毎月の仕送りをわたるのおばあに一括管理される不自由な生活を送るようになったが、一宿一飯の礼儀として薪割りなどの雑用は進んで行う。東和台転校時も2年生であり、気性の荒さから主将の田中や神山までも呼び捨てにする上、その他の部員は名前すら覚えていない。
鬼頭の計らいで野球部に籍を置く。転校生のため背番号は11。そもそも転入の目的はわたると喧嘩して勝つためであり、野球のルールを進んで覚えようとする努力や周囲に合わせて標準語に改めようとする姿勢を全く見せず、気の向くままに振る舞いウチナーグチ(沖縄方言)を使い続ける独立独歩を一貫する。本島に相思相愛の恋人「花子」(はなこ)がおり、周囲の目にはその顔貌と肥満体から豚を彷彿とさせる醜女にしか映らない花子の純粋な想いを心から大事にしているが、花子を想うあまり世に言う「恋は盲目」に陥り、全国大会決勝戦中に本島から単身駆け付けた花子の手弁当(沖縄の自宅で作って保冷処理せず札幌会場まで持ってきた)を平らげて食中りをおこした末、バックスクリーン直撃の超弩級ホームランを花子へ捧げた代わりに盛大に脱糞してしまった。
マスコットバットを普通のバットの如く軽々と扱うだけでなく、それをホームランゾーンへ放り込む桁外れの腕力と筋骨の強さ、そして14歳とは思えない体格(推定身長190-200cm前後)から繰り出される豪快の一言に尽きる打撃は良くも悪くも試合の流れを一変させる。仕方なく一時的に投手を務めた際には同方向の手足が出る滅茶苦茶なピッチングフォームで神山のキャッチャーミットを吹き飛ばす剛速球を披露し、体格の割にスピードとスタミナを併せ持つなど打・投・走に関して恐るべき地力を持つ。また、右投右打ではあるが実際には「その時々に応じて都合の良いほうを使う」という無自覚極まりないスイッチプレイヤー。肩を脱臼、指を骨折、後頭部を強打して失神など、結構な重症を負っても平気で動き回る驚異的な体力と回復力、野生の熊と対峙しても何だかんだで引き分けに持ち込む度胸と強運まで兼ね備える。その反面、連載が進むに連れて基本ルールすら知らない様子が散見されるほど野球知識の欠落に拍車が掛かり、ファールはスタンドを超えてもホームランにならないという基本的なルールすらも連載最終盤を除いて理解していなかったほど。変化球には滅法弱く守備力も壊滅的という極端なパワーヒッター(ただし宮城の思考を逆手に取ったわたるの悪知恵次第で変化球にも対応し、守備力も格段に上がる)。
ただでさえ中学生規格外の体格に加え、後方に長く突き出た頭のために着用できる既成品キャップが無く、野球帽は後ろ半分を切り取ってゴムバンドを縫い付けたもの、バッターヘルメットは後ろ半分を叩き割ったものを専用している。小さな頃から苦労の絶えない頭の形でありながら、それでもそんな自身の頭を誇りに思っているらしく、特徴的な頭を持つ者(『たっちゅーちぶる』=とんがり頭=三島北中の上原、『たっぺーちぶる』=絶壁頭=宮古島中の金城)が現れるとそれを笑いつつも対抗意識を燃やしてしまう癖がある。
田中 将(たなか まさし)3番 遊撃手
右投右打。東和台中のキャプテンであるが、人の意見に流されやすく動揺しやすい。マネージャーの若葉とは恋人同士として噂されているが、実際はそれほど進展していない。若葉のこととなると異様なまでのガッツマンと化し、それにより結果を出す事も。子供のころから熱血野球少年に憧れており、野球に対して熱い情熱を持って取り組む。過去に足を骨折した経験からスライディング恐怖症になっていたが、和泉中との練習試合で三塁打を放った際に(海老反り・顔面スライディングと不格好ながら)克服している。東和台の複雑かつユニークなブロックサインは彼の発案で、細かい指示も出せるため重宝している。
神山 武(かみやま たけし)4番 捕手
右投左打。野球部では田中に次ぐポストにいる。4番に据えられるが、パワーは物足りないものの大事な場面でヒットを打っている。バントが上手くカーブ打ちが得意で、柔軟性のある思考力や機転が利く面など野球センスは高い。他にもシーサーボールを捕る特訓をしたり、小学生からバッテリーを組んでいた石井と共に特訓をしたりと、試合外でも見せ場の多い選手である。わたるや宮城を勧誘したのも彼で、チーム力アップや勝つためなら手段を選ばない、ある意味捕手の鑑。全国大会決勝では金城からサヨナラホームランを打った。
丸山 ひろあき(まるやま ひろあき)補欠
右投右打。わたるのクラスメートで、席が隣であるため、わたるの最初の友人となる人物。坊主頭でめがねをかけており、わたるにはカンパチ(沖縄方言で「10円ハゲ」という意味)と呼ばれている。気が弱くビビりな面が目立つ。わたるに憧れており、日々わたるのような選手になれるように努力している。その努力が実り、たびたび代打として結果を残した。途中出場で守備に就いた際は二塁を守ったがゴロを頭で受け失策を犯している。また、神山が試合中の自打球で足首を負傷した際には緊急事態という事もあり捕手の代役も視野に投球練習の相手を務めたが、ぶっつけ本番ながら悲鳴をあげつつ何故かシーサーボールを完璧に捕球できた模様(試合は結局神山が強行出場、丸山も神山を後押ししたため出場機会を譲っている)。
名前に関しては全国大会決勝で「丸山 心平(まるやま:しんぺい)」と書かれたこともある。
宇野 孝太郎(うの こうたろう)2番 二塁手
右投右打。上位打者でありながら安打に恵まれず、地区大会・全国大会を合わせても宮古島中戦の最終打席で打った1本しかない。実はその前の打席にも安打を放っているが、宮城のせいでフイになった。
石井(いしい)補欠
右投右打。野球部の元エースで、神山とは小学校の頃からバッテリーを組んでいた。転校生のわたるに投手のポジションを奪われ補欠に追いやられる。予選での登板があり、勝利したものの滅多打ちに遭って退部も考えたが神山に説得され野球熱を取り戻していた。その後は全国大会の準決勝で宮城の代走で出場、サヨナラヒットを放った。投手のため強肩ではある。
京井(きょうい)6番 左翼手
左投左打。東和台下位打線トリッキーズの一員。トリッキーズができた当初は下位打線なのに仲間外れにされていた。和泉中との練習試合では佐田のフォークに圧倒されるが、ヤケクソで目を瞑りながらのスイングながら痛烈なセンター前ヒットを放ち、動揺させている。全国大会では森井から二塁打を打ったことでトリッキーズリーダーとして任命。地区大会の全試合と宮古島中戦では、瀬戸と打順が入れ替わっている。
瀬戸(せと)7番 右翼手
右投右打。東和台下位打線トリッキーズの一員。紀ノ川中戦では、大福が落ちていると嘘をつく手法でまんまと出塁した。
石田(いしだ)8番 三塁手
右投右打。東和台下位打線トリッキーズの一員。わたるの入部当初は守備にケチをつけられた事をきっかけにわたると勝負、三塁手のポジションを明け渡した。後にわたるが投手に収まった事で三塁手レギュラーに復帰した。紀ノ川中戦では、森井に「アホ」と言ったことで出塁を果たす。
島津(しまづ)9番 中堅手
右投右打。東和台下位打線トリッキーズの一員。東京都予選の決勝でプッシュバントを失敗、顔面に球を当て負傷してしまい交代している。紀ノ川中戦では、わたる達に何か食べているふりをさせることで出塁、1点をもぎ取った。
橋口(はしぐち)補欠
右投右打。宮城が入部する前の正一塁手。和泉中との練習試合では7番・一塁手として出場しているが、地区大会以降は出番がなくなってしまった。
鬼頭(おにがしら)
野球部の顧問で、若葉と宮城のクラスの担任でもある。愛煙家。北海道の南長万部中出身であり、サッカー・ラグビーなどのスポーツで地区大会決勝へ進出した際には必ず優勝の邪魔をすることから「鬼頭伝説」という不名誉な伝説まで作られ、南長万部村の村民には嫌われていた、全国大会では母校・南長万部中との対戦となりベンチの裏で身を隠していたが、試合後には村民たちと和解を果たしている。
関 若葉(せき わかば)
2年生。野球部のマネージャーで、主将である田中の彼女と噂されている。気の強い性格で、序盤ではわたるを殴る、学校で暴れる宮城を気絶させるなどの場面も見られた。公式戦ではスタンドでの応援に回る。また、応援団長の土門に惚れられ告白された事も。
吉田 栄作(よしだ えいさく)
わたるの友人で、応援団員。転校してきたわたるをからかったことから始まり、以降は様々な接点を持つ。応援団には強制入団させられ、野球部応援の際には毎回と言っていいほど逃げ出し、その腕前は「逃げる大会があったら絶対金メダル取れる」と言われたほど。宮城と共に、試合の有無に関係なくギャグシーンの主要担当である。東京から北海道へ自転車で行く際には一人だけ一輪車を使用し(行きたくないため一輪車を持ってきたが土門に「そそそれでいい」と言われ一輪車で行く羽目になった)尻が切れながらも何とか北海道へ到着した。普段は不真面目だが、宮古島中戦で「ここまで来たからには絶対優勝しろよな」という男気のある一面も見せた。
土門(どもん)
東和台中の応援団長。若葉に惚れており、告白したこともある。緊張して話すときは噛んでしまい、言葉の最初の文字を繰り返す[注釈 4]。彼女から離れたくないあまり、野球部が北海道での全国大会に出場を決めた際は、応援団を引き連れて自転車で東京から北海道まで横断したこともある[注釈 5]。試合会場にボロボロで到達した時は、アナウンサーによって球場に広められ、球場をあげた称賛を受け感涙していた。
宮城相手に喧嘩を挑むことも多いが、その度に完膚なきまでに叩きのめされ返り討ちに遭っている。

和泉中学校(東京都)

ここ数年間地区大会で連続優勝している、東京都を代表する強豪校。チームの勢いづけのため、本番前に東和台中へ練習試合を申し込むが、思わぬ苦戦を強いられた。後に地区大会の準決勝で対戦する。

佐田(さだ) 投手 7番
左投左打。和泉中の左腕エース。得意球はフォークで、その落差は30センチ(わたる談)。習得途中で未完成だが、ナックルを投げることもできる。神経質で動揺を隠せないなど、玉置監督にも指摘される精神面の脆さが弱点。緊張したりイラついたりすると耳が立つという特異体質をわたるに突かれ、大量失点を許すこともあった。その一方、予選準決勝での再戦ではわたるからホームランを放っている。敗戦後はわたるにシーサーボールのヒントを与えたり神山の特訓に協力するなど、東和台中ナインの実力を認めたからか協力的だった。
剛田(ごうだ) 左翼手 4番
右投右打。和泉中の4番を務める、東京都きってのスラッガー。練習熱心な性格で、ハブボールを打つために専用のマシンを使った結果、二段ホップのハブボールに初めてバットを当てた選手となった。しかし意外と短気で、じらし戦法には弱い。強肩。
長谷(はせ) 中堅手 1番
野球部と陸上部を掛け持つ、俊足の外野手。練習試合には出場できず、予選準決勝で初登場した。東京都100m走の記録保持者で、足では誰にも負けないと自負している。出塁率は6割であり、その殆どがバントヒットという徹底ぶり。
玉置(たまき)
和泉中の監督。わたるには初対面で「タマキン監督、略してキンカン」呼ばわりされてしまう。話術に長けており、言葉ひとつで和泉中の士気を上げている。ただし怒りの沸点は低く、煽り耐性もないのが欠点。怒るともみ上げが立つ特異体質。

石岡中学校(東京都)

野球部は弱小で、わたる転校前の東和台中にすらコールド負けを喫していた。だが伊藤が入学・入部を果たすと、ワンマンチームとして力は大きく上がっている。東和台中とは、地区大会1回戦で対戦した。

伊藤(いとう) 投手 5番
左投左打。1年生。入部時に「自分以外の守備をなくし、レギュラー相手に完全試合を達成したらエース」という条件で賭け、最後は一塁で打者走者と交錯しスパイクで顔から出血しながら闘争心と執念でアウトにしてエースの座を勝ち取った。得意球はカーブで、暴投としか思えない所から大きく曲がってくるため左打者のボックスを横切ってしまうという弱点を突かれる。しかし大崩れする事なく東和台中と接戦を演じている。最後はわたるに力勝負を挑むもホームランを打たれ1-2で敗れた。傲慢で素直ではない典型的な俺様キャラの性格からチームメイトにも見放されそうになったが、それを見かねた監督から試合終盤に窘められている。地区大会で優勝したわたるに対し「俺に勝ったんだから優勝は当然」と言い放っていた。

青城中学校(東京都)

毎年予選でベスト4には残ってくる強豪だが、和泉中には勝った事がない模様。東和台中とは地区予選3回戦で対戦した。

友国(ともくに) 一塁手 4番
右投右打。青城中の4番でキャプテン。相当な老け顔で、田中には監督と間違われた。何かと人と勝負したがる暑苦しい性格。打力は相当高く、それまで剛田でも打てなかったわたるのハブボールを一段ホップまで打った。剛田には嫌われており、宮城も顔を見るや「気持ち悪い」と言って逃げ出すほど。
堀(ほり) 投手 9番
青城中のエース右腕。少しだけ曲がる変化球(現代で言うカットボールやツーシームなど)を何球種も操り、バットの芯を外して凡打の山を築く技巧派投手。首の後ろにある大きいホクロを気にしており、毛が生えていないか毎日チェックしている。

三島北中学校(東京都)

和泉中の土屋が、出場機会を得るために転校した中学校。それまで毎回初戦で敗退する弱小校だったがエースの土屋・主軸の上原という投打の活躍により地区予選決勝に進出、東和台中と対戦する事になる。神山からは「和泉中より強い」という評価を受けていた。

土屋(つちや) 投手 6番
三島北中のエース。和泉中との練習試合で2番手投手として登場したが攻略され早々と降板、チームでもエースになれなかったため転校するほど野球に情熱を懸けている。驚異的な握力から繰り出される重いストレートが武器。変化球は苦手で、上原からは「ちょっとズレただけ」というレベル。過去に3tボールを編み出すために過酷な鍛錬を重ねており、その苦労を思い出すことで精神的なダメージを回復する。敗戦後に神山のシーサーボール捕球の特訓に協力、東和台が日本一になった事を誰よりも喜んでいた。
  • 1tボール…上原以外の捕手では3tボールを取れないため、手加減していた球。これでもホームラン性の飛球を平凡なフライアウトにしていた。
  • 3tボール…土屋の全力投球から繰り出される恐ろしく重い球で、並みのバッターは手も足も出ない。わたるが「ダッシュ打法」によって攻略。
  • 5tボール…宮城に対して投げた、究極の重い球。
  • 3gボール…3tボールを攻略しようとしたわたるに対し投げた全くのスローボール。1度目はタイミングをずらされ空振りしたわたるだったが、2度目はバッターボックス内を一周することでタイミングを合わせ、バックスクリーンをはるかに超える特大アーチとなった。
上原 三男(うえはら みつお)捕手 4番
右投右打。三島北中の主砲で、準決勝の梅星中戦ではホームランを3本打っている。明らかに縦に長い頭の形(宮城曰く『たっちゅーちぶる』)をバカにされたためか、宮城をライバル意識している。試合中には上原が頭でレンガを割ると、宮城は対抗心を燃やして薪を後頭部で叩き折るという「頭合戦」が行われた。
遅刻癖があり、スタメン出場は一度もない。打撃は二段ホップのハブボールを1打席目で軽々と弾き返すなど、剛田以上の実力を見せた。また、試合の最中にバックネット方向を向いてポーズをとり、ボールを見るために首を180度回すというバッティングフォームを生み出した。守備は土屋の3tボールを捕れるチーム唯一の捕手で、座ったままノールックで一塁へ弾丸のような牽制球を投げる超強肩。走塁は苦手で少し走ると息が切れる描写があり、二盗を試みても二塁手が送球を収めたグラブを二塁ベースに構えている時点で5mほど手前にいるなど壊滅的な鈍足(しかし特徴的な頭を利用したタックルのようなヘッドスライディングにより落球を誘っている)。趣味は塗り絵で、連載当時に放送されていた特撮シリーズファイブマンの塗り絵がお気に入り。試合後、宮城に自分と同様異様な頭の形であることの共感もあって、意地の張り合いで気絶したが「喧嘩ではお前の勝ち」と言われたことから、喧嘩の実力もかなり高いことが分かる。ただし、わたる相手では宮城と二人がかりでボコボコにされていた。

神谷中学校(東京都)

地区大会二回戦の相手。この試合では、わたるが先発出場せず。

南長万部中学校(北海道)

北海道の南長万部村にある中学校。実は鬼頭監督の母校で、村の発展をことごとく邪魔してきた鬼頭を描いた「鬼頭伝説」が伝わり、村内では有名。東和台中とは全国大会の1回戦で対戦。

保志(ほし) 投手 4番
右投左打。南長万部村のニューヒーロー。南長万部中を投打で引っ張る中心選手。後述する「魔球ブーメラン」が得意球。投球フォームのアンダースローを見た宮城が「気持ち悪い」と嫌がっている。打撃面では、地区大会でも8割8分[注釈 6]という驚異的な打率を残しており、わたるのシーサーボールを「ヤマカン打法」で見事に打ち返した。打撃フォームは近藤和彦を思わせるような構えで打席に立つ。眉毛を大事にしていて、宮城に眉毛をそられ、わたるに落書きをされたときは、鬼のような形相で怒った。監督の秋元を慕っている。
  • 魔球ブーメラン…滞空中にボールが戻るという魔球。タイミングを外されるため打ちにくい。その原理は、初速(投手の手からボールが離れた瞬間の球速)と終速(捕手が捕球する瞬間の球速)の差を大きくし、バッターに錯覚を起こさせるというもの。
秋元(あきもと)
南長万部中の監督で、元祖ヒーロー。中学・高校時代にはスポーツ大会で鬼頭が絡んだプレーにより全国出場の邪魔をされた事から、鬼頭を村ぐるみで恨んでいる。
最終的には「過去のことは鬼頭のせいにしていただけで自分に本当の実力が足りなかったから」と思い直し、鬼頭とは和解している。
校長
南長万部中の校長。さらに南長万部村の村長を務めており、秋元の父でもある。自作の「赤フンの舞」という赤いふんどし一丁で踊るのが十八番。後頭部以外は総ハゲであるが、後ろ髪を前方に持ってきて「前髪」と言い張っている。

紀ノ川第二中学校(和歌山県)

全国大会2回戦の相手。守備は弱い(鎌田によると打撃さえ良ければキャッチボールすらできない部員もレギュラーに据えるとのこと)が圧倒的な打力を誇り、1回戦の瀬戸内中戦では48得点をマーク。下位打線ですらハブボール・シーサーボールに対応し、クリーンナップに至っては新魔球のスコールボールを攻略している。試合の裏では、両校の監督である田尻と鬼頭により「負けた方が50万円を払う」という賭けを行っている。

鎌田(かまだ) 捕手 3番
左投左打。小柄だがリストは超人的に強く、超高速スイングが特徴の選手。その打球はフェンス間で跳ね回ったり、マンガ表現を抜きにしても会話が可能なほど滞空するフライになる、理不尽な強烈さを持つ。普段は計算高く立ち回る策士だが、わたるの反則ギリギリのプレーに腹を立てて「赤目」と呼ばれる凶暴化を起こし、故意の危険球や周囲への暴行で試合を壊していった。それでも、沈静化後は9回二死満塁から走者一掃の3点タイムリーを打ち、リーダーとしての仕事を果たした。捕手では珍しく左投げ。投手としてもかなりの速球と目にも止まらぬ牽制球を手首のスナップだけで投げるが、球質が致命的に軽いという弱点をわたるに見破られた。
森井(もりい) 投手 4番
右投右打。巨漢投手で医者の息子。カニ大食い競争で宮城には勝ったものの、わたるに負ける。普段は三島北中の土屋並の重く速い球(一日八食ボール)を投げるが空腹になると信じられないような軽く遅い球になり、トリッキーズにすら打ちこまれてしまい一旦は鎌田とポジションを交替している。打者としても非凡な能力を見せ、ハブボールを初見でバックスクリーンに打ち込んだり、シーサーボールを特に何の工夫もなしに打って、わざとキャッチャーフライにしたりした(売店に行くため)。基本的に食べることしか頭になく、1イニングごとに2個の弁当を食べ、試合中に補欠に弁当を買いに行かせるほどの大食漢。「アホ」と言われると、相手が誰であろうと泣きじゃくりながら殴る。
西出(にしで) 中堅手 5番
右投左打。攻走守に優れ、陸上では100・200mと110mハードルの近畿記録を持っている。背が高く(ノッポ)、歯が出ている(出っ歯)ことからわたるに「デッポ」というアダ名をつけられる。長いバットとリーチを生かした独自の打法でシーサーボールを打っている。守備が苦手な選手が多い中で孤軍奮闘し、ホームラン性の打球を捕ったり、センター前のヒット性の当たりを前進守備でセンターゴロに仕留めるなど貢献している。
田尻(たじり)
紀ノ川第二中の監督。恫喝スレスレの言動が絶えないチンピラのような男だが、数学教師。独身。何事においても攻めることが一番と考えており、選手が少しでも消極的なプレイをしようものなら、その選手のおでこに黒板用コンパスの芯をつきたて、火花が出るほどの勢いで回転をさせて容赦なく円を描く(このときのかけ声は「中心取ったる〜!」)。守備にはほぼ関心がなく、味方選手が凡エラーを犯しても「攻めた上でのエラーなら仕方がない」と放任している。飲酒癖があり、午後4時にならないと前日に飲んだ酒が抜けない。大会中には「赤目」と化した鎌田に叩きのめされたり、鬼頭に50万円の借用書を作られたりと、あちこちで報いも受けている。

山笠中学校(福岡県)

全国大会準決勝の相手で、エースで4番の藤が率いる中学校。この試合では、わたるがストレートのみで投げ抜いている。また、神山がサヨナラのホームで生還した際、手にケガを負ってしまう。元エースの石井が外野守備とバットで勝利に貢献。宮城が記憶喪失に陥るというハプニングにも見舞われた。

藤 綱道(とう つなみち) 投手 4番
右投右打。「スピンボール」の使い手で、投打の中心。アフロ風の天然パーマが目を引く陽気な偉丈夫だが熱くなりやすい面もあり、宮城の行動に怒り危険球を投げることもあった(結局はホームランを打たれてしまった)。サーカス団である両親ゆずりの足腰バランスで、人を足で回すという芸もできる。
  • スピンボール…正体は回転数の多いスローカーブ。しかし異常に多い回転数のためジャストミートしても打球がスピンして内野フライになってしまい東和台打線も苦しめられた。また、スピンボールは藤と対馬小路の二人が必死に積んだ特訓[注釈 7]の末に完成したボールでもある。
  • スピンボールヨコヨコ…わたるにスピンボール対策で打たれ始めたときに、監督の考案で編み出したボール。スピンボールをただサイドスローで投げるという単純なものだがスピンボールとは違って打ち込まれることは無い。他にもアンダースローでのスピンボールはあるが神山に対して投げた1球のみで、しかも簡単に打たれてしまった。
対馬小路 些(つましょうじ いささか)
山笠中学校野球部の監督。巧みな話術と奇妙な道具を使うマジックで選手に自信と意欲を持たせる。野球部入部に迷う藤を誘い、素質を見抜く。黒いマントを着ており、内側にはマジック用の小道具を忍ばせている。試合中、彼のマジックがインチキであることが(わたるの悪知恵によって)暴露されナインが失望しかけてしまう。
しかし全てが選手に自信を持たせるための手品だったのだと白状したところ、選手たちは「自分達のためにこんなにしてくれたよい先生を疑ったことが恥ずかしい」と逆に選手と監督との絆を深めた。試合中に一度心臓が止まっている。

宮古島中学校(沖縄県)

全国大会決勝の相手で、選手全員が陸上選手クラスの俊足を誇る中学校。夫婦(守備監督:母ちゃん先生、攻撃監督:父ちゃん先生)でチームの指揮を執る。チームリーダーの東風平が足だけで勝ってきたことを自慢するだけあって、攻守でその実力を発揮している。試合途中から、宮城の彼女である花子が応援に駆けつけた。

東風平 光(こちんだ ひかる/ひかり?) 捕手 4番
右投右打。独特なスイングをするバッター。人一倍負けん気が強く、わたるにも劣らぬ巧妙なプレーをする。チーム内でも一番の俊足で、一回のバントで一塁からホームまで進んだこともある。実は女の子で、これまで宮古島中学校長と監督しか知らなかった秘密なのだが、最後には自ら秘密を明かした。
金城 堅栄(きんじょう けんえい) 投手 9番
右投右打。宮城も倒す怪力投手。試合前に若葉に一目惚れして東風平と痴話ゲンカになり、試合中もこれがきっかけで田中と土門を刺激してしまう。彼の投げる球は、球威球速ともにこれまでの対戦相手の中でも群を抜いており、その威力はバットを弾き、捕球した東風平を宙に浮かせるほど。守備で、プロの試合でも滅多に見られない記録をマークする。
  • ヌメットボール…異常な汗かきであるという金城の体質を利用した魔球。汗でボールを濡らすことでバットと衝突したときの摩擦を減らし、回転を与えさせないというボール。簡単に言うと、「打者にフォークボールを打たせる魔球」。滞空中にボールが落ちてしまうので、宮城クラスのパワーを持っていてもホームランは打てない。

その他

おじい
わたると同じ家に住むわたるの祖父。素潜りが得意で、一度吉田を驚かせて失神させたことがある。和泉中戦の前日練習で飛び入りでピッチャーとして参加し、佐田と同レベルのフォークボールを披露した。この際、沖縄戦を思わせる具体的な記述は無いものの、若い頃手榴弾投げで鳴らした経験を持つ為という説明がなされていた。しかし年齢には勝てず、翌日は筋肉痛と戦うハメになった。鍼治療が出来る。
おばあ
おじいと同じくわたると一緒に住むわたるの祖母。極度の近眼であるが、あいさつのできない子と大人の言うことを聞かない子は嫌いであり、一度校内で宮城がおばあとすれ違ったにも関わらずそのまま走り去ろうとした際、宮城の首を傘の取っ手で捕え、そのまま渡り廊下を崩壊させるという事態を招いた。また、わたるが試合中に審判と口論となった時も、おばあが怒り出したためわたるは事態をすぐさま収拾させた。わたると宮城がともに恐れる唯一の人物である。ちなみに宮城の仕送りはすべておばあが取るという。
サッカー部顧問
東和台中では都内でも屈指の強豪校だと自慢していた顧問。現に毎年都大会ではベスト4に入っており、2回戦に初めて進んだ野球部をすごくからかっていた。鬼頭は「ハゲジジイ」と呼んでいた。ちなみにこの年サッカー部は予選早々で姿を消した。
校長
白く長いひげが特徴。おとなしい性格の持ち主で、野球部が優勝した翌朝にはすでに横断幕を用意していた。校長室には一本指を上に向けた形のチャッカマンが置かれてある。
教頭
大抵は校長と行動を共にする。当初は数々の問題を起こして当校に転入してきたわたると宮城の受け入れに否定的だった。
保健室の先生
わたるとひょんなことで言い争いになり、からかわれた末、わたるにガラス製の灰皿を投げ付けた。

書誌情報

ジャンプ・コミックスより全58巻が刊行。

脚注

注釈(登場人物)

  1. ^ 職員室にハブを30匹ばら撒く、校舎の一部をクレーンで破壊など
  2. ^ スパイク置き、ヘルメット飛ばし、砂かけによる煙幕などが代表的
  3. ^ ただし現実の野球では、ワンバウンドした投球がストライク判定されることはまずない
  4. ^ 例:わわ私は、どどど土門です
  5. ^ なお、津軽海峡は手製のイカダで渡っていた模様。
  6. ^ 25打数22安打。なお、凡退した3本は捉えながらも運悪く野手の正面を突いてしまった模様。
  7. ^ 3本の指で番傘を回しその上でボールを転がす。最終的には重いボウリングの球にテグスを結び、もう一端にガムテープをつけて対馬小路の前髪に貼った状態で転がす。失敗すると対馬小路の前髪に貼ったガムテープがはがれて前髪が抜けてしまう。この特訓で対馬小路の前髪が大量に抜け4本になってしまった。

出典・その他の注釈

  1. ^ 劇中、野球のルールを無視した事もしばしば起きる。たとえば紀ノ川第二中戦で鎌田がファールを連発していた時、野手を投球前からファールグラウンドで守らせる描写があるがこれはルール違反である。




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