ありふれた情景の理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 20:51 UTC 版)
「アイディア・表現二分論」の記事における「ありふれた情景の理論」の解説
(狭義の) マージ理論を発展させたものとして、「ありふれた情景の理論」(フランス語でScènes à faire、英語圏でもフランス語がそのまま使用される) がある。マージ理論はアイディアと表現が1対1 (ないしごく限られた数) で結合しているのに対し、ありふれた情景の理論は1対Nであり、かつNの中でもお決まりの表現が一つに定まるケースである。このような場合、お決まり、つまり平凡な表現は著作権保護されないという考え方である。ありふれた情景の理論に関するリーディング・ケースとしては、後述する1988年のアメリカ合衆国第9巡回区控訴裁判決「データイースト対エピックス裁判(英語版)」(862 F.2d 204) がある。本件は、空手対戦ゲームの雰囲気や設定が似ているとして日本と米国のゲーム会社間で争ったケースである。 ここで注意すべきは、単に平凡な表現だからと言って、それだけを理由に法的に保護されないわけではないことである。アイディア自由の原則がまず優先的にあり、表現の保護によって大元となるアイディアまで利用を制限されてはならないからこそ、(狭義の) マージ理論もありふれた情景の理論も導き出されている。 なお、ありふれた情景の理論は、文学や映像などの芸術性や物語性を主に対象とし、マージ理論はコンピュータ・プログラムなどの実用的な著作物を対象として使い分けるべきとの主張もあるが、両者は密接に関係し、法廷ではマージ理論のこともありふれた情景の理論と呼ばれることが多い。
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