LNGタンカー 歴史

LNGタンカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/27 10:06 UTC 版)

歴史

クリーブランドの陸上タンク事故

1944年10月20日米国クリーブランドの陸上LNG貯蔵タンクが漏洩により爆発炎上し、死者128人、火傷は200-400人という大事故が起きた。 この頃の米国の一次エネルギーの12%が天然ガスで賄われていた。

ミシシッピ・バージ計画

1950年頃、米国シカゴのユニオンストックヤード&トランシェット社という精肉会社の肉用牛の一時保管場用エネルギー源としてミシシッピー川河口の海底天然ガスをプラント船で液化してLNGバージでミシシッピー川をさかのぼり、シカゴの自社施設まで運ぶことを計画した。 運搬用バージはそのまま施設に接続されてLNG貯蔵タンクとなり、燃料としての用途と共に、LNGを気化させる時の冷熱を自社の冷凍設備に利用する計画で、1954年には世界最初のLNG船と呼べる5,500m3積載の「メタン」型LNG船 8隻が建造された。 その後に発覚した内部防熱方式に起因した技術的問題により計画は失敗したが、開発過程では多くの知見を残した。

1950年代後半

1950年代産油国では毎日概算で25,000m3もの天然ガスが「ガスフレア」と呼ばれて燃焼排気処分されていた。 一方、1955年には米国での一次エネルギーの25%が国内産の油田随伴の天然ガスで賄われていて、そのためのパイプラインが広がっていた。 その当時の英国では国内で採掘された石炭ガスを長年使ってきたが産業の隆盛や生活の向上と共に不足してきた。世界銀行は英国に対して、「中東のガスフレア処分されている天然ガスを液化して運搬する」計画を提案するなど、LNG輸送の必要性は日増しに強まっていた。

1955年、まず英国政府は当時豊富だった米国の天然ガスを英国まで輸送する現実性について研究を行い、その結果、「LNGの海上輸送さえ可能であれば、石炭ガスより安価でカロリーも2倍、将来も有望な天然ガスを米国の海岸に近くの産出地から英国に運び、都市ガスとして利用することは極めて魅力的である。」とされた。

1957年シェル石油野党の反対を押し切って、英ガスカウンシルと米コンストック・リキッドメタン社の共同開発計画が承認された。この米コンストックはシカゴのユニオンストックヤード&トランシェット社とコンチネンタル・オイル社、J.J.ヘンリー社(船舶設計会社)の3社の合弁企業であった。

1959年、自立角型タンクのコンチ(Conch)方式で「メタン・パイオニア」が実験船として建造された。

1960年代とそれ以降

1960年代、「メタン・プリンセス」が建造された。

技術的ハードルが低いLPG船(-45℃)から開発されたのではなく、いきなり高度な技術が要求されるLNG船(-160℃)から開発がはじまった。

この頃から世界各地でガス田が発見され、天然ガスの可採埋蔵量は増加の一途をたどっていった。

20世紀末まで

コンチ(Conch)方形タンク方式に対して、金属材料を削減できるメンブレン方式が優位となったが、その後、モス社のモス方式の球形タンクが登場すると主流は徐々にモス方式に移っていった。

20世紀末から

日本独自の方形タンクの「IHI-SPB方式」が既存の方式に挑んでいるが、21世紀初頭現在、「モス方式」と「メンブレン方式」が二分している。またLNG船自体の大型化も進み、「メンブレン方式」では2007年にQ-Flex型(216,000m3、全長315m)が、2008年にはQ-Max型(266,000m3、全長345m)が建造された。

日本国内での都市ガス等への天然ガス利用の拡大に伴い、国内二次輸送用に蓄圧式円筒形タンクを備えた内航LNGタンカーの建造が始められた。




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