Control-Alt-Delete Control-Alt-Deleteの概要

Control-Alt-Delete

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/06 08:36 UTC 版)

多くのPC/AT互換機のQWERTY配列キーボードにおける Control- Alt-Delete の位置

日本ではPC-9800シリーズの普及もあり、Alt を GRPH (グラフキー)に置き換えた、CTRL-GRPH-DEL という表現もされた。

起源

このキーストローク・コンビネーションは、オリジナルのIBM PCを設計したデビッド・ブラッドリーによって実装された。ブラッドリーは、コントロールキーとAltキーとEscキーの組み合わせでソフトリブートが実行されるように設計していた。 しかし、彼はキーボードの左側に手などをぶつけただけで簡単にこれらキーが同時に押されて、意図せずコンピュータが再起動してしまうことに気が付いた。そこで彼は、片手では同時に押せないよう、キーストローク・コンビネーションをコントロールキーとAltキーと削除キーに変更したのである(現在では102キーボードやマルトロンキーボードのような、片手でこれらキーを押すことができるものもある)。より進んだオペレーティングシステムでは、この状態を予約された組合せとして様々な目的に使用しているが、現在でも特定の環境や条件下ではソフトリブートが行われる。

ブラッドリーは、「私が Control-Alt-Delete を発明したかもしれない。しかし、ビル・ゲイツがそれを有名にした。」と語っている[1]。ゲイツ自身は、「あれは失敗だった」、「IBMのキーボード設計者がMicrosoftのためにそういう(セキュア・アテンション・キー用の)ボタンを付けたがらなかった」と2013年に語っている[2][3]

DOSやその他リアルモードで動作するシステム

パソコン上で動作するDOSやその他リアルモードで動作するシステムは、キーストローク・コンビネーションは、BIOS内のキーボード・ハンドリング・コードによって認識され、Intel 8086NMI(Non-Maskable Interrupt)シグナル(極一部の例外を除いてソフトリブートされる)として扱われる。

Windows

DOSベースのWindows

Windows 3.0以前(スタンダードモードで起動されたWindows 3.1も含む)では、Control- Alt-Delete をするとMS-DOSと同様、再起動が行われる。386拡張モードで起動しているWindows 3.1、Windows 95Windows 98Windows Meでは、このキーボードストローク・コンビネーションは、Windowsキーボードデバイスドライバによって認識される。このとき、system.ini[386Enh] の項の LocalReboot によって、Windowsは振る舞いを変える。

  • LocalReboot=Off - ソフトウェア処理による再起動(ソフトリブート)が実行される。
  • LocalReboot=On:
    • Windows 3.1は、ブルースクリーンを表示して、エンターキーを押して現在実行しているタスクを終了させるか、もう一度 Control- Alt-Delete を押してソフトリブートを実行するかを、ユーザーに選択させる。
    • Windows 95、Windows 98、Windows Meでは、現在実行中のプロセスの一覧を表示させ、これらプロセスを終了させ、応答がない場合は強制終了させることをユーザーに示す。もう一度 Control- Alt-Delete を押すと、ソフトリブートが実行される。

タスクやプロセスの強制終了は、例えばプログラムが無限ループに突入したときに役に立つ。理論的には、このキーストローク・コンビネーションを使用しても、ほかのプロセスは影響なく実行されなくてはならないが、Windows 3.1ではリソースやメモリのリークが発生する。そのようなバージョンのWindowsでは、プロセスの強制終了後、直ちに他のアプリケーションのデータを保存し、再起動を行うことが強く推奨されている。そのようなダメージは、リソーストラッキングによって、新しいDOSベースWindowsではほとんど発生しない。

DOSベースWindowsで Control- Alt-Delete を二回押すと、たとえWindowsがプロセスリストを表示していなくてもソフトリブートが行われる。これは、Control- Alt-Delete の組合せに対する応答を定義できるユーザーレベルのプログラムがないため、全てのスタックしたプロセスを飛び越えることをユーザーに許可するためである。

Windows NT

Windows NTやその後継のWindows 2000Windows XPWindows Server 2003Windows VistaWindows 7Windows Server 2008Windows 8Windows Server 2012Windows 10では、このキーストローク・コンビネーションは、Winlogonプロセスによって認識され、以下のうちいずれかの振る舞いをする。

  • 誰もログインしていない場合、ログイン画面を表示する。コンピュータのロックを解除する場合にも使う。
  • NTドメインまたはActive Directoryのドメインに参加ないしは構成していたり、Windows 2000が起動している場合、「Windowsのセキュリティ」のダイアログが表示され、ユーザーはコンピュータをロックしたり、パスワードを変更したり、ログアウトしたり、コンピュータをシャットダウンしたり、タスクマネージャを起動することができる。Windows VistaやWindows Server 2008では、それらのドメインを起動しているいないに関わらず、デフォルトの振る舞いである。提示されるオプションは、グループポリシーを使用することによって制限できる。
  • Windows XPで、ドメインに接続していない場合、
    • ようこその画面で高速ユーザー切り替えが有効の場合、タスクマネージャを起動する。
    • ようこその画面で高速ユーザー切り替えが無効の場合、Windowsのセキュリティのダイアログが起動する。
  • Windows Vista以降の場合、
    • セキュリティオプションを起動する。

Windows NTのような構成では、何らかの方法でセキュリティを弱めない限り、Winlogonプロセスしかこのキーストローク・コンビネーションの通知を受け取ることができない。これは、カーネルがWinlogonプロセスのプロセスIDを覚えていて、このプロセスにしか情報を通知しないからである。このように、このキーストローク・コンビネーションはセキュア・アテンション・キーとなっている。Windows NTでは、これをセキュア・アテンション・シーケンスと呼ぶ。ユーザーは Control- Alt-Delete を押すことで、これが第三者のプログラムではなく、本当にオペレーティングシステムが表示しているものだと判断でき、安心してパスワードを入力することができる。Windowsでこの組合せがセキュア・アテンション・キーに選ばれたのは、PCプラットフォームでこの目的のためにキーストロークの組合せを変更する合理的理由がなかったためである[4]

また、このキーストローク・コンビネーションは、Windows Server 2003以降でタスクマネージャを呼び出す信頼できる方法でもある。その他全てのキーストローク・コンビネーションはスタックしたプロセスに縛られる可能性があったが、ユーザープロセスが Control- Alt-Delete のシーケンスを妨害することはできない。しかし、これはWindowsグループポリシーで無効化できる。Windows NT 4.0以降の全てのNT系OSでは、Control- Alt-Delete の組合せがWindowsのセキュリティダイアログに割り当てられているときでも、Ctrl- Shift-Esc のキーストローク・コンビネーションでタスクマネージャが起動できる。

副作用として、ユーザーが電源や電源スイッチ、リセットスイッチに触れる手段がない場合、以前は Control- Alt-Delete を使うことで再起動することができたが、現在は、グループポリシーの設定を行うことで、一般ユーザーが勝手にコンピュータを再起動することができなくなった。

OS/2

OS/2では、このキーボードストローク・コンビネーションは、OS/2のキーボードデバイスドライバによって認識され、セッションマネージャプロセスに通知される。OS/2バージョン2以降の通常のセッションマネージャプロセスでは、親ワークプレイス・シェル・プロセスが "The system is rebooting" とウィンドウに表示して、ソフトリブートが行われる。このとき、もう一度 Control- Alt-Delete を押すと、セッションマネージャプロセスを待たずに直ちにソフトリブートが実行される。

いずれのケースでも、システムはページキャッシュをフラッシュし、全てのディスクを綺麗にアンマウントする。しかし、全ての実行中のプロセスが綺麗に終了されるわけではない(ドキュメントは保存されない)。


  1. ^ David Bradley - Ctrl Alt Del - YouTube
  2. ^ ビル・ゲイツ氏、「Ctrl+Alt+Del」は失敗だったと認める(2013年09月27日 11時29分 UPDATE) - ITmedia NEWS
  3. ^ ビル・ゲイツ氏、「Ctrl+Alt+Deleteは失敗だった」(2013.09.27 ) - CNN.co.jp
  4. ^ Osterman, Larry (2005年1月24日). “Why is Control-Alt-Delete the secure attention sequence (SAS)?”. Larry Osterman's WebLog. MSDN Blogs. 2007年3月15日閲覧。
  5. ^ Wordspy はこの用法の最初期の例として Chris Miksanek による Computerworld 誌の1995年12月18日付のコラム "Ctrl-Alt-Delete those holiday trinkets." を引用している


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