C4型光合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/01 00:23 UTC 版)
C4植物の出現と進化
C4植物は、白亜紀(およそ1億3500万年前から6500万年前)に初めて出現したといわれている。しばらくは細々と生育していたと見られるが、700万年前に著しく増加した。この時期は、大気中のCO2濃度が著しく減少した時期と重なる。低CO2濃度条件においては、C3植物よりも光呼吸が少ないC4植物のほうが生育に有利である場合が多い。こうした事情を踏まえて、C4植物は低CO2に適応して進化したという説もある。また、前述のようにC4植物は水利用効率がよいので、乾燥に対する適応で進化したと考える説もある。ところで、C4植物は多元的に進化していることが知られている。すなわち、進化の起源が複数ある。単子葉植物と双子葉植物の両方にC4植物が見られることから、両者が分かれる前に、被子植物にはC4植物に特異的な一連の遺伝子群が備わっていたと考えられる。つまり、C3植物ではその遺伝子群の発現のスイッチがオフになっており、C4植物ではオンになっていると考えることができる。実際にC3植物のイネなどでは、C4経路では働くがC3植物の光合成には関与しないPEPC、PPDKなどの遺伝子の存在が確認されている。
C4植物の例
脚注
関連文献
- 吉村泰幸「日本国内に分布するC4植物のフロラの再検討」『日本作物学会紀事』第84巻第4号、日本作物学会、2015年、386-407頁、doi:10.1626/jcs.84.386。
関連項目
- ^ Nickell, Louis G. (1993-02-01). “A tribute to Hugo P. Kortschak: The man, the scientist and the discoverer of C4 photosynthesis”. Photosynthesis Research 35 (2): 201-204. doi:10.1007/BF00014751. ISSN 1573-5079 . p.201
- ^ Hatch, Marshall D. (2002-07-01). “C4 photosynthesis: discovery and resolution”. Photosynthesis Research 73 (1): 251-256. doi:10.1023/A:1020471718805. ISSN 1573-5079 .
- ^ Slack, Charles R; Hatch, Marshall D (1967). “Comparative studies on the activity of carboxylases and other enzymes in relation to the new pathway of photosynthetic carbon dioxide fixation in tropical grasses”. Biochemical Journal (Portland Press Ltd) 103 (3): 660-665. doi:10.1042/bj1030660. PMC 1270465. PMID 4292834 .
- ^ “C4 Rice Project”. IRRI(国際稲研究所). 2015年1月20日閲覧。
- 1 C4型光合成とは
- 2 C4型光合成の概要
- 3 概要
- 4 C4植物の出現と進化
- 5 外部リンク
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