出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/02 14:49 UTC 版)
フロベニウス内積・ノルム
複素 m × n 行列 A に対し、∗ は共軛転置とすれば、
が成り立つ。なお、等号成立⇔ A = 0 である。これにより、対応
は m × n 行列全体の成す空間における内積の性質を満たす。特に実行列の場合には、
はベクトルの点乗積に類似の形であることが確認できる(行列の一列化を通じて実際にベクトルの点乗積として
と記述できる)。アダマール積を使って書くこともできる。しばしばベクトルの演算を行列に対して一般化する際に積のトレースが現れるのはこのような事情による。
この内積に対応するノルムをフロベニウスノルムと呼ぶ。これは実際、行列を単に長さ m × n のベクトルと見做したときのユークリッドノルムである。
したがって時に A, B が同じサイズの半正定値行列ならば
が成り立つ[注釈 3]。