罪刑法定主義 国際法

罪刑法定主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/26 02:08 UTC 版)

国際法

国際法は成文化された条約だけでなく、成文化されていない慣習によって成り立つ慣習法を法源として認めている。現代の国際法の原則の多くは元々中世ヨーロッパにおける慣行に由来したものが多く、近代以降から国連の成立まで慣習国際法は長く不文の法として国際関係を規律してきた[15]。国連の成立以後は条約によって規律される分野が増えて慣習国際法の適用範囲は狭まったといえるが、しかし条約には基本的に当事国間に限り有効という制限があり、条約が規律しない国際関係については今なお慣習国際法が適用される[15]。1950年の欧州人権条約や、1966年の市民的及び政治的権利に関する国際規約の様に、国際法における法の不遡及を規定した国際条約でも罪刑法定主義や法の不遡及の原則の例外を認めている[16]

参考

マグナ・カルタ第39条
Nullus liber homo capiatur, vel imprisonetur, aut disseisiatur, aut utlagetur, aut exuletur, aut aliquo modo destruatur, nec super eum ibimus, nec super eum mittemus, nisi per legale judicium parium suorum vel per legem terre.
いずれの自由人も、同輩による適法の審判又は国法によるのでなければ、逮捕、収監、押収、追放他一切の侵害を受けることはなく、我々は、それを及ぼすこともない。
大日本帝国憲法第23条
日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコトナシ
日本国憲法第31条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
欧州人権条約 第七条(法律なくして処罰なし)
一項 何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を警戒しなかった作為又は不作為を理由として有罪とされることはない。何人も、犯罪が行われた時に刑罰よりも重い刑罰を科されない。
二項 この条は、文明諸国の認める法の一般原則より実行の時に犯罪とされていた作為又は不作為を理由として裁判しかつ処罰することを妨げるものではない。

脚注


注釈

  1. ^ これは、現行刑法制定時において、すでに明治憲法第23条が存在しており、自明のこととして規定されなかったと説明されるが、当時、刑法学会では牧野英一の指導の下、新派刑法学が有力であって、その思想の下、裁判官の裁量権限を強め、法規に対する拘束力を相対的に弱めた新刑法の基本的態度の反映とも見られている(町野朔他『刑法学の歩み』(有斐閣新書))

出典

  1. ^ 「国際刑法と罪刑法定主義」小寺初世子(広島平和科学1982)[1][2]PDF-P.3,P.9
  2. ^ 「国際刑法と罪刑法定主義」小寺初世子(広島平和科学1982)[3][4]PDF-P.9,10
  3. ^ 「国際刑法と罪刑法定主義」小寺初世子(広島平和科学1982)[5][6]PDF-P.10,P.11
  4. ^ 平野龍一『刑法 総論 Ⅰ』有斐閣、1972年、179-206頁。 
  5. ^ Boot, M. (2002). Genocide, Crimes Against Humanity, War Crimes: Nullum Crimen Sine Lege and the Subject Matter Jurisdiction of the International Criminal Court. Intersentia. p. 94. ISBN 9789050952163. https://books.google.com/books?id=6QjrSHfoEiAC&pg=PA94 
  6. ^ これはドイツ連邦共和国基本法103条2項およびドイツ刑法1条に関するドイツ憲法裁判所の意見による。Jescheck and Weigend, Lehrbuch Des Strafrechts: Allgemeiner Teilp. 128.
  7. ^ a b c 田中英夫『英米法総論』(下),東京大学出版会,1980,580頁。
  8. ^ 岩谷十郎『明治日本の法解釈と法律家』(慶應義塾大学法学研究会、2012年)P177・P187・203
  9. ^ 鵜飼信成福島正夫川島武宜・辻󠄀清明編『講座 日本近代法発達史11』(勁草書房、1958年)288頁、佐伯千仭「刑事法より見たる日本的伝統」(論叢第50巻5・6号)
  10. ^ 渋谷秀樹(2013) 『憲法(第2版)』 p196-7 有斐閣
  11. ^ Shaw v. Director of Public Prosecutions [1962] A.C. 220.
  12. ^ C. v. Mochan, 110 A.2d. 788 (Pa.Super.Ct.1955).
  13. ^ 田中英夫『英米法総論』(下),東京大学出版会,1980,580頁,Loewy, Arnold H. "Criminal Law". 4th Ed., West Groop, 2003, 300.
  14. ^ 萩原滋「《論説》実体的デュー・プロセスの理論の一考察(一)」『国士舘法学』第22巻、国士舘大学法学会、1990年3月、179-206頁。  など
  15. ^ a b 山本 2003, pp. 53–57。
  16. ^ 「国際刑法と罪刑法定主義」小寺初世子(広島平和科学1982)[7][8]PDF-P.12






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