綾瀬車両基地 沿革

綾瀬車両基地

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/07 08:02 UTC 版)

沿革

  • 1967年(昭和42年)2月27日 - 綾瀬検車区の土木工事着手[15]
  • 1969年(昭和44年)9月18日 - 綾瀬検車区準備事務所発足[1]
  • 1969年(昭和44年)10月31日 - 綾瀬検車区の土木工事完成[15]
  • 1969年(昭和44年)12月20日 - 綾瀬検車区発足[1]
  • 1970年(昭和45年)7月 - 綾瀬工場建屋の建設を開始[16]
  • 1971年(昭和46年)7月20日 - 綾瀬工場完成・発足
  • 1979年(昭和54年)
    • 3月 - 綾瀬車両基地(検車区・工場)全体の建築計画が完了[16]
    • 12月20日 - 車庫への引き込み線を旅客線化、綾瀬 - 北綾瀬間として開業する

車両基地内

車両基地構内

なお、本項では北綾瀬駅方面から入庫する列車から見て左側を山側、右側を海側と呼称する。

  • 綾瀬検車区では1 - 38番線の収容番線(一部は欠番)と39 - 44番線(引き上げ線)の番線が付番されている。太字は建屋構造の収容線

北綾瀬駅を直進すると、35 ‰ の下り勾配で車両基地に至る。この引き込み線は40・42番線と呼称され、その両側に引き上げ線39・44番が合流する[8]。そのまま直進すると山側に綾瀬工場への引き込み線が分岐する[8]

左右に1番目の留置線群が分岐する。山側では1 - 4番線(10両編成分)、5 - 8番線(10両編成×2本分)、9番 - 15番線(10両編成分)の各留置線を敷設する計画であった[8]。現在は6 - 8番線は1本分だけが敷設され、1 - 5番線は未敷設で欠番とされ、一部は保線機材線として使用している。

反対に海側では16 - 24番留置線(10両編成分)と車輪転削線(25番線・車輪転削盤設置)が分岐する[8]。転削線の近くには保線機材線があり、千代田線工務区の保線車両の留置や保線資材置き場がある[8]

40番・42番線を直進すると41・42番線(車両洗浄機あり)となり、そのまま直進すると山側より26 - 28番留置線、29番線(気吹室)30・31番線(月検査庫)32 - 34番線(列車検査庫)、35番留置線、36 - 38番線は車両洗浄線で洗浄台が設置されている[8]。41・42番線は、奥にある検査庫や洗浄線からの引き上げ線の機能もある[1]。気吹室(きぶきしつ)には、新造車両の搬入や臨時修繕に対応できるよう、奥にはリフティングジャッキやホイスト(簡易クレーン)が設置されている[1]。ただし、検車区における気吹作業は廃止しており、車両の小修理や修繕場として使用している[1]

  • 綾瀬工場では50 - 60番線の番号が付番されている。

前述の工場引き込み線は51・52番線となり(反対に50番線・引き上げ線)、1番線留置線用地の隣から53番線、54番線(気吹室・5両編成用)55番線(整備室・10両編成用)があり、56・57番線(5両編成用)、一番山側には58番線(約500 m 長の試運転線)を設置する[8]。試運転線は5両編成で 40 km/h までの走行試験が可能である[12]

検査車両は5両 + 5両編成に分割後、54番線において床下洗浄を行い[12]、54番線の反対にある59番線(工場入出場線)に転線、手前のホロシート置き場でと座席を下ろした後、入場する[12]。ほかに60番線(入換機庫・工場入換用のアント留置線)がある[8]。入場車両の床下清掃は、気吹き作業に代わって床下自動洗浄装置を使用しており[17]、全自動で温水による床下洗浄とブロワー乾燥を行っている[17]

文献[8]によれば、将来の受け持ち車両の増加時に、工場建屋の南側にトラバーサーを設置し、車体職場を設置することが計画されていた[12][18]。また、53 - 55番の奥には車体検査場(将来の更新修繕場)を設置することが計画されていた[18]

しかし、車両の大幅な増備により綾瀬工場の施設では施工能力不足が予想されたため、有楽町線新木場駅近くの新木場車両基地内に更新修繕場(新木場CR)を建設することに変更された[19]

代々木公園の留置線

綾瀬車両基地とは別に、反対側の終端駅である代々木上原駅側の出庫本数を確保するため[20]代々木公園駅に隣接して、10両編成8本が留置可能な留置線がある[20]

東京都の許可を得ることで、代々木公園内に小規模な留置線を設けた[20]。建設にあたっては、交通の往来がある道路とは異なり、地上部の覆工は不要であることから、大規模掘削を行った[21][20][22]。東京都の厚意により、地下鉄建設施工後に代々木公園の造成工事を行うこととされたが[20]、東京都から公園の開園時期のため、地下鉄施設の完成期限が設けられた[20]。このため、埋め戻しを含めて1968年(昭和43年)12月から1970年(昭和45年)6月まで18か月の期間で施工した[20][22]

掘削面積は幅41 m ・全長約360 m ・掘削深さ 15 - 18 m にわたって掘削した[22]。留置線は代々木公園駅に並行したプールピット構造の引き上げ線1線 [23]と、反対側に留置線8本を持つ構造である[24]。地上部の代々木公園には、非常用出入口が設けられている[25]

かつての検査周期では毎日検査があったことから[26]、当引き上げ線に検査ピットを設けたが[26]、列車検査(10日以内に実施)に変更となってからは、車両故障時の応急対応用となっている[26]。現在は、日中や夜間の車両留置に使用している。


出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.1027 - 1044。
  2. ^ a b c d 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.514 - 515。
  3. ^ a b c d e 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.428 - 429。
  4. ^ a b 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.472 - 475。
  5. ^ あだち広報 2014年(平成26年)2月25日(第1679号)
  6. ^ 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)「車両基地直下でのパイプルーフ工法による道路トンネルの施工」 (PDF) (インターネットアーカイブ・2021年時点の版)
  7. ^ 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』p.1022 。
  8. ^ a b c d e f g h i j k 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.1062・1063 間「図92 綾瀬車庫平面図」(ただし、Web版はやや不鮮明)。
  9. ^ 車籍登録抹消されている。(日付は不明)
  10. ^ 【東京地下鉄】06系、新木場へ - 鉄道ホビダス RMニュース、2015年8月13日
  11. ^ 東京メトロ06系の解体が始まる - 交友社「鉄道ファン」 railf.jp鉄道ニュース 2015年9月25日
  12. ^ a b c d e f g h i j k l 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.1044 - 1070。
  13. ^ 日本鉄道車両機械技術協会「R&m」2005年7月号国内情報「千住検修場(旧千住工場)改修工事完了」pp.55 - 58。
  14. ^ 事業所案内(千住事業所) - メトロ車両。
  15. ^ a b 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.46 - 47。
  16. ^ a b 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.690 - 698。
  17. ^ a b 東京地下鉄『東京地下鉄道副都心線建設史』p.838。
  18. ^ a b 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.1062・1063 間「図92 綾瀬車庫平面図」には、綾瀬工場南側に「将来トラバーサーピット」および「将来車体職場」と記載されている。56番線奥には「台車抜き場(リフティングジャッキ)と平面トラバーサーおよび車体検査場1・2」が記載されている。
  19. ^ 帝都高速度交通営団「東京地下鉄道有楽町線建設史」pp.1037 - 1062。
  20. ^ a b c d e f g 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』p.435 - 436 。
  21. ^ 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』p.41。
  22. ^ a b c 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』p.607 - 608 。
  23. ^ 帝都高速度交通営団「東京地下鉄道千代田線建設史」p.452の「図20 代々木公園駅」の平面図には、同駅地下1階部(線路およびホームは地下2階・代々木上原方面行線路の南側)にピット構造を有する引き上げ線が記載されている。
  24. ^ pp.436 - 437 間の「別図 千代田線線路平面図及び縦断面図(明治神宮前・代々木上原間)には10両編成8本の留置線と、代々木公園駅手前まで引き上げ線が記載されている。
  25. ^ 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.691。
  26. ^ a b c 帝都高速度交通営団『東京地下鉄道千代田線建設史』pp.1019- 1021。

注釈

  1. ^ 3両編成は1次試作車、10両編成は1次量産車第02編成


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