気筒休止エンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/09 22:52 UTC 版)
概要
可変バルブ機構を内蔵したロッカーアーム(またはバルブリフター)を用いカムからバルブへの伝達を遮断させるか、何らかの方法でゼロリフトのカムに切り替える事で、吸排気バルブの両方を全閉・密着、吸排気および燃料供給を停止させることによって、目的のシリンダーを休止させる。この「休止」は熱機関の稼働サイクルとしての休止であり、動部品の往復・回転運動までが停止するわけではない。そのため、休止したシリンダーは断熱圧縮・膨張に近いサイクルとなり作動気体による損失は小さくなるが、部品同士の摩擦損失はなお存在する。
気筒休止させることによって、見かけ上、より排気量の小さなエンジンとなる。特に低負荷時に気筒休止させた場合、同等の出力を出すためにスロットルバルブを相対的に大きく開けることになるため、ポンピングロスが低減され、燃料消費と排出ガス量を低減できる。運転者によるアクセルペダルの入力とは無関係にスロットル開度を変化させる必要があるため、スロットル制御には一般的にドライブ・バイ・ワイヤが用いられる。また、単純に稼働している気筒数が減ることで実質的な総排気量が減り、アイドリング時などは燃料消費量が減る。なお、気筒休止中も点火プラグは放電している。これは気筒復帰した際に点火プラグの汚れで失火するのを防ぐためである。
V型エンジンを持つ大型トラック等にあっては、アイドリング時に片バンクを休止させる機構を持つものが多かった。
また、F1カーなどにおいても気筒休止エンジンは存在するが、これは燃費向上を目的としたものではなく、コーナーで速度(エンジン出力)を落としつつも高い回転数を維持することで、コーナーを抜けた後の立ち上がりを確保するためである[注釈 1]。
注釈
- ^ 例えば単純に考えて、半分の気筒を休止させれば回転数を維持したまま出力を半分まで落とせる。
出典
- ^ “Dead-End Technologies: Cadillac Fleetwood V8-6-4”. CarBuzz. (2013年5月9日)
- ^ 『「シビック ハイブリッド」に採用予定の新IMAシステムを発表』(プレスリリース)本田技研工業、2001年9月4日 。
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- ^ 『FACT BOOK 製品情報 INSPIRE』(プレスリリース)本田技研工業、2003年6月18日 。
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- ^ "Production of DB11's new V12 begins at the Aston Martin Engine Plant" (Press release). Aston Martin. 21 June 2016.
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- ^ “CX-5に気筒休止エンジン登場”. ITmedia. (2018年4月9日)
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