来世
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 21:18 UTC 版)
インドの宗教
ヒンドゥー教
ヒンドゥー教では、自我の本質としてアートマンの概念を持つ。ウパニシャッドの時代には梵我一如の考えが説かれた[1]。それは、宇宙の全てを司るブラフマンは不滅のものであり、それとアートマンが同一であるのなら、当然にアートマンも不滅のものであるという考えであった[1]。
これに従うならば、個人の肉体が死を迎えても、自我意識は永遠に存続するということであり[1]、またアートマンが死後に新しい肉体を得るという輪廻の根拠でもあった[1]。
仏教
仏教もインド哲学の思想を引き継ぎ、輪廻の立場に立つ。釈迦は「死んだら無になる」として来世を否定した唯物論(順世派)を、悪見、六師外道として位置付け否定している[2]。
下記は転生を前提とした考え方である。現世を中心に考える宗派では、六道を自分の心の状態として捉える。たとえば、心の状態が天道のような状態にあれば天道界に、地獄のような状態であれば地獄界に趣いていると解釈する。その場合の六道は来世の事象ではない。
浄土教では、一切の迷いが無くなる境地に達した魂は浄土に行き、そうでない魂は生前の行いにより六道にそれぞれ行くと説く宗派がある。
日蓮の教えでは、(転生があるにしても)、今の自分(小我)に執着するあまり、いたずらに死を恐れ、死後の世界ばかりを意識し期待するより、むしろ自分の小我を越えた正しい事(大我)のために今の自分の生命を精一杯活かし切ることで最高の幸福が得られるのだ、とされている(『一生成仏抄』)。
また真言宗などの密教でも、大我を重要視して即身成仏を説き、天台宗も本覚思想から、「ここがこの世のお浄土」と捉え、来世について日蓮と同様の捉え方がなされる場合がある。
- ^ a b c d 吹田隆道 『ブッダとは誰か』、2013年、41-44頁。ISBN 978-4393135686。
- ^ パーリ仏典, 中部大四十経, Sri Lanka Tripitaka Project
- ^ “葬儀の後、初七日、五七日(三十五日)、七七日(四十九日)などの法要を行う理由を教えてください。また「三月がかりになるから、四十九日を繰り上げなさい」と言われましたが、それはどういうことでしょうか?”. 天台宗. 2021年9月19日閲覧。
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