新潟中国総領事館の万代小学校跡地移転問題 これまでの経緯

新潟中国総領事館の万代小学校跡地移転問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/19 14:13 UTC 版)

これまでの経緯

総領事館の誘致

新潟県は1998年に「中国総領事館新潟誘致促進協議会」(会長:平山征夫新潟県知事(当時))を設置するなど、長年に渡り中国総領事館の誘致活動を行ってきた。新潟県選出の田中眞紀子田中直紀衆議院議員なども積極的に誘致活動を行ってきた[5]。その結果、2010年6月24日に本州日本海側初の総領事館として開設した。新潟県への設置決定の際、「王毅駐日中国大使閣下のお取り計らいにより、当時外交部副部長でいらした、戴秉国閣下に前向きにご検討いただけたこと、また、多くの方々から誘致等にご支援いただいた成果の賜物であり、駐日中国大使崔天凱閣下、日本政府代表谷内正太郎様、外務省を始めとする関係者の皆様のご尽力のお陰であると、心より感謝申し上げます。」との声明が県から出ている[14]。新潟市も協議会に参加するなど、誘致に肯定的な立場を取っていた。

古町への誘致と中華街構想

新潟市の中心市街地である古町は、郊外型商業施設の台頭や不況の影響などにより近年空洞化が進み、大和新潟店などのキーテナントの撤退が相次いでいる。そのため2009年11月に官民協働による「まちなか再生本部」を設置(本部長:篠田昭新潟市長)するなど、商店街の活性化を模索していた。

当時、誘致については地元では特に大きな反対運動は起きていなかった。2010年5月には古町地区の定期イベント「古町どんどん」にて、総領事館開設記念として中華街を模したイベントを開催している。ちなみに中華街構想については2010年7月に中国側から大和新潟店跡地へ設置する提案があり、2010年10月には古町地域の商店主から中華街実現に向けての要望書が新潟市に提出された。

万代小学校跡地への移転計画と反対運動

朱鷺メッセに開設された総領事館であったが、中国は「単独の建物を」との希望から総領事館の移転を計画。その第1候補地として新潟市立万代小学校跡地を選定、2010年8月に敷地取得について新潟市に打診した(2010年10月25日には、移転を見越した一時的措置としNSGビル(新潟市中央区西大畑町)に移転。この移転を巡っては、7月にはNSGが同ビルの改装工事着工、8月に賃貸契約をしていたが住民に知らされたのは10月半ば。10月15日に開催された移転説明会において「11月1日からの契約」との説明があったにもかかわらず、実際にはそれよりも前に移転が実行され、説明会での住民の反対を押し切る形となった)。新潟市は地域の活性化に繋がるとし、市有地である学校跡地の売却に前向きであった。

2010年9月に尖閣諸島中国漁船衝突事件が発生し、日中関係が悪化すると、次第に移転反対の声が多く聞かれるようになる。特に、移転先である学校跡地周辺の住民からは、元々学校跡地に公民館などの地域密着型施設設置を希望していたこともあり、強い反対の声が挙がった。

そのため新潟市は、現時点で地域住民の理解が得られないとして2010年11月18日に敷地売却の一時凍結を決定した。今後、日中関係をめぐる世論が好転すれば再び検討するとしている。

2010年11月29日、市民団体「中国領事館問題を考える市民の会」が、市内外14,227名の反対署名(市内8,639名、市外5,588名)と共に以下の内容を新潟市議会に請願した。

件名「在新潟中国総領事館への市有地売却について」 第1項 反対する周辺住民や市民の不安を放置したまま,土地売却を強行しないこと。 第2項 外国への土地売却に関しては,国益の損失につながるおそれがないか,細心の注意を払い,慎重に検討して,対応すること。

翌12月15日、新潟市議会の文教経済常任委員会にてこの請願を採択すべきかどうか審議された[6]


  1. ^ a b 櫻井よしこ (2010年12月16日). “「今度は国有地、名古屋に中国の魔手」”. 週刊新潮』 2010年12月16日号. 櫻井よしこ. 2010年12月18日閲覧。
  2. ^ a b c d e 櫻井よしこ (2010年11月11日). “「中国の狙う新潟での大中華街構想」”. 週刊新潮』 2010年11月11日号. 櫻井よしこ. 2010年11月13日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 中国への土地売却計画が“座礁” 総領事館移転に市民が反発 (1/3ページ)”. 産経新聞 (2010年11月18日). 2010年11月20日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2010年11月18日閲覧。
  4. ^ 総領事館移転のお知らせ(中華人民共和国駐新潟総領事館 2010年10月24日)
  5. ^ a b c d 櫻井よしこ (2010年12月2日). “「中国の狙う新潟での大中華街構想」”. 『週刊新潮』 2010年12月2日号. 櫻井よしこ. 2010年12月18日閲覧。
  6. ^ a b 請願第49号「在新潟中国総領事館への市有地売却について」”. 新潟市議会 (2010年11月29日). 2010年11月閲覧。
  7. ^ 中国への市有地売却、反対請願が継続審査に”. 読売新聞 (2010年12月16日). 2010年12月16日閲覧。
  8. ^ 市長記者会見 質疑応答(平成22年12月21日開催分)”. 新潟市 (2010年12月21日). 2010年12月閲覧。
  9. ^ a b 新潟市 - 市議会 - 会議の結果(平成23年2月定例会)”. web.archive.org (2012年4月2日). 2021年3月27日閲覧。
  10. ^ 公募型プロポーザル方式による市有地売却について(旧万代小学校跡地)”. 新潟市. 2019年8月12日閲覧。
  11. ^ 4.万代小学校跡地の売却問題について 新潟市”. web.archive.org (2019年8月12日). 2021年3月27日閲覧。
  12. ^ 新潟市「旧新潟市立万代小学校跡地活用事業」の事業者に選定されました”. cnet. 2019年8月12日閲覧。
  13. ^ ■防災医療拠点としての機能を持たせた新潟県最大級の複合高級賃貸マンション「ロイヤルパークスER万代(ばんだい)」竣工”. 大和ハウス. 2019年8月12日閲覧。
  14. ^ 新潟県:在新潟中国総領事館の設置について”. web.archive.org (2015年4月23日). 2021年3月27日閲覧。
  15. ^ 2010-12 新潟市議会質疑応答(高橋三義議員
  16. ^ 2010-12 新潟市議会質疑応答(山田洋子議員1)
  17. ^ 2010-12新潟市議会質疑応答(山田洋子議員2)
  18. ^ 20101026参議院外交防衛委員会
  19. ^ 湯浅博 (2012年2月3日). “気がつけば土地セールス 東京特派員・湯浅博”. 産経新聞. 2012年3月7日閲覧。
  20. ^ 中国総領事館移転「ぜひ進めて」 国会質問の自民議員、新潟の不動産会社から献金(1/2ページ) - 産経ニュース”. web.archive.org (2014年12月10日). 2021年3月27日閲覧。






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