恵比寿 (渋谷区) 歴史

恵比寿 (渋谷区)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/20 04:59 UTC 版)

歴史

江戸時代

この周辺は江戸時代には、下渋谷村・三田村と呼ばれており、渋谷川三田用水に挟まれる農村で、大名の下屋敷が点在していた。

明治以降

1887年明治20年)、日本麦酒醸造会社(サッポロビールの前身)がこの地に工場建設用地を取得し[6]、2年後の1890年(明治23年)に発売されたビールは、「ゑびすビール」と名づけられて人気を博した[8][6]。翌1891年(明治24年)には、ビールの運搬のために日本鉄道品川線(現在の山手線)に貨物駅が開設され、「恵比寿停留所」と命名された[6]

1906年(明治39年)には、貨物駅のそばに同名の旅客駅が開始された[6]。その頃から駅周辺地域が「恵比寿」と呼ばれ始め、それが定着していたこともあり、駅の東側から白金に向う現在のバス通りに沿って、「恵比寿通り1・2丁目」という町名がつけられたのが1928年昭和3年)のことである[9][8][6]。その後幾度かの地名改正を受け、他に隣接する町などを統合して現在の恵比寿という地名に至る。

恵比寿神社

戦後

1959年(昭和34年)、ヱビスビールの名にあやかって西宮神社(兵庫県)の恵比寿様の分霊を勧請され、恵比寿神社が作られた。恵比寿の地名の起源となったビール工場は1988年(昭和63年)、千葉県に移転、跡地は再開発されて恵比寿ガーデンプレイスとなった[注釈 2]1966年(昭和41年)7月1日住居表示が実施された[10]

現在の恵比寿一丁目は山下町、恵比寿二丁目は新橋町および豊沢(とよさわ)町、恵比寿三丁目が伊達(だて)町、恵比寿四丁目が景丘(かげおか)町であった[11][12]

伊達町の名称は宇和島藩伊達家の下屋敷があったことに由来する[13]。景丘は、近代以前は欠塚(かけづか)と呼ばれていた地域で、現在は同地域にある加計塚(かけづか)小学校にその名残がある。その他にも旧地名は町会名として残っており(豊沢町会、伊達町会)、また、恵比寿二丁目交差点を頂上とする坂を「伊達坂」と呼び、恵比寿二丁目交差点の別称は「伊達坂上」である。また、現在でも、児童遊園名、マンション名やビル名などに伊達町、豊沢町の名を散見することができる。

地名の変遷

実施後 実施年月日 実施前(いずれも渋谷町。特記なければ各字名ともその一部)
惠比壽通一丁目 1928年1月1日 大字下澁谷字伊達跡・伊達前・豐澤・廣尾耕地
惠比壽通二丁目 大字下澁谷字伊達跡・豐澤・町田
新橋 大字下澁谷字豐澤・町田
山下 大字下澁谷字廣尾向・町田
下通一丁目 大字下澁谷字廣尾耕地・廣尾、大字麻布廣尾町
下通二丁目 大字下澁谷字新地・町田、大字澁谷下廣尾町
下通三丁目 大字澁谷上廣尾町、大字澁谷下廣尾町、大字下澁谷字居村・町田・廣尾向・四反町
豐澤 大字澁谷神原町(全域)、大字下澁谷字豐澤・廣尾耕地
伊達 大字下澁谷字伊達跡・伊達前
景丘 大字下澁谷字欠塚・伊達跡・廣尾向・向山
実施後 実施年月日 実施前(特記なければ各字名ともその一部)
恵比寿一丁目 1966年7月1日 恵比寿通二丁目、新橋町、山下町、下通二丁目、下通三丁目、恵比寿東一丁目、恵比寿東二丁目
恵比寿二丁目 豊沢町(全域)、恵比寿通一丁目、恵比寿通二丁目、新橋町、下通一丁目、下通二丁目
恵比寿三丁目 伊達町(全域)、景丘町、恵比寿通一丁目、恵比寿通二丁目
恵比寿四丁目 景丘町、恵比寿通二丁目、山下町、恵比寿東一丁目、恵比寿東二丁目

注釈

  1. ^ 恵比寿橋。1901年明治34年)、当時の日本麦酒醸造会社が加計塚小学校前に製品搬出路を通し、赤煉瓦アーチ状の橋を築いたもの
  2. ^ サッポロビール本社もここにある

出典

  1. ^ a b 住民基本台帳による東京都の世帯と人口(町丁別・年齢別)  令和5年1月” (CSV). 東京都 (2023年4月6日). 2023年12月17日閲覧。 “(ファイル元のページ)(CC-BY-4.0)
  2. ^ 『国勢調査町丁・字等別境界データセット』(CODH作成)”. CODH. 2024年1月20日閲覧。(CC-BY-4.0)
  3. ^ a b 恵比寿の郵便番号”. 日本郵便. 2023年11月17日閲覧。
  4. ^ a b 渋谷区の郵便番号”. 日本郵便. 2023年11月17日閲覧。
  5. ^ 市外局番の一覧”. 総務省. 2019年6月24日閲覧。
  6. ^ a b c d e f 端田晶「第三講義 慶応元年のビール王子」『もっと美味しくビールが飲みたい! - 酒と酒場の耳学問』(第1刷)講談社〈講談社文庫〉、2008年7月15日、130-134頁。ISBN 978-4062761130 
  7. ^ 国土交通省地価公示・都道府県地価調査”. 国土交通省. 2023年12月29日閲覧。
  8. ^ a b 地名の由来 渋谷区ウェブサイト、平成23年4月16日閲覧
  9. ^ 1927年(昭和2年)9月29日議決渋谷町議会第110号「字名改稱及區域變更竝地番改正ノ件」
  10. ^ 1966年(昭和41年)11月30日自治省告示第176号「住居表示が実施された件」
  11. ^ 時代統合情報システム - 渋谷区詳細図
  12. ^ 東京都区分図渋谷区詳細図 - Stroly
  13. ^ 恵比寿3丁目、旧「伊達町」と宇和島藩の関わり 恵比寿新聞、2012.8.1
  14. ^ a b 平成7年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2014年3月28日). 2019年8月16日閲覧。
  15. ^ a b 平成12年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2014年5月30日). 2019年8月16日閲覧。
  16. ^ a b 平成17年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2014年6月27日). 2019年8月16日閲覧。
  17. ^ a b 平成22年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2012年1月20日). 2019年8月16日閲覧。
  18. ^ a b 平成27年国勢調査の調査結果(e-Stat) - 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 総務省統計局 (2017年1月27日). 2019年8月16日閲覧。
  19. ^ a b 令和2年国勢調査の調査結果(e-Stat) -男女別人口,外国人人口及び世帯数-町丁・字等”. 総務省統計局 (2022年2月10日). 2022年2月20日閲覧。
  20. ^ 住所別通学区域一覧”. 渋谷区. 2024年1月20日閲覧。
  21. ^ a b c 経済センサス‐活動調査 / 令和3年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 事業所数、従業者数(町丁・大字別結果)”. 総務省統計局 (2023年6月27日). 2023年9月15日閲覧。
  22. ^ a b 経済センサス‐活動調査 / 平成28年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 都道府県別結果”. 総務省統計局 (2018年6月28日). 2019年10月23日閲覧。
  23. ^ 郵便番号簿 2022年度版” (PDF). 日本郵便. 2023年10月28日閲覧。





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