屋那覇島 歴史

屋那覇島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/27 16:33 UTC 版)

歴史

戦前、主に家屋の石材として利用されていた琉球石灰岩の石切り場跡が存在している[9]

ビーチの部分は村有地だが、原野の部分は私有地で、1960年代から1980年代にかけて、「リゾート地を小さく区分けして販売する」という商法、いわゆる「原野商法」の舞台となった。そのため、未開の原野が900区画ほどに、さも区画整理された立派な土地であるかのように綺麗に分筆されている[10]。そのうち約700区画が私有地で、その中に村有地などが虫食い状に点在している。そもそも電気も上下水道もないので、現実的にはリゾート地としての開発は難しい[10]

2004年頃、私有地部分の地主がエビの養殖池を作るために灌木・草原の7割ほどを伐採して悲惨な姿になったが、計画はとん挫し、すぐに元の原野に還った。

詐欺師がうごめく島

2004年頃、「企業組合屋那覇水産」の理事長であったM氏(伊是名島でマンゴー園を経営する地元の有力者)が、エビの養殖池を作るために島の私有地の部分約700筆を購入したが、「屋那覇水産」は企業実態が不明であったことから、2009年に県から解散命令が出され、計画はとん挫。「那覇水産」の役員をしていた奥茂治(政治活動家で、地元の有力者)曰く、理事長は「そういう類の人」で、出資金の1.2億円を私的に散財して計画は頓挫し、借金だけが残ったとのこと[11]。その後、「那覇水産」の役員であったO氏が奥茂治とともに、土地を売却して借金を返済するために後継会社「屋那覇」を設立し、3億5000万円の債権を引き継ぐ形で島の土地を引き取った。海外の大手リゾート開発企業のソネバから20億円で買いたいという話も来たが、話はまとまらず、2021年、借金を返済する必要から、任意売却により、東京の投資会社であるG社が3億5千万円で土地を購入した。実際は「屋那覇」の大株主であるM氏と役員のO氏は裏でつながっており、奥の知らないところでソネバへの売却益を独占するつもりだったらしく、ソネバから5000万円を受け取っていた[12]。このように詐欺師に利用され続けてきた土地であるため、奥はこの島を「詐欺師がうごめく島」[11]と表現している。

2023年2月11日、中華人民共和国山東省出身の女性が交流サイトで「日本の無人島を買った」と投稿し、これを各報道機関が報道して話題となった[13]。中国メディアに対し、親族の会社名義で島の土地を購入したと説明しており、登記上の所有権移転の記録と一致しているという。この登記では島の一部は2021年2月から東京都港区の中国ビジネスコンサルティング会社(義昌商事株式会社)が所有しているとされており[14]、島がある伊是名村役場によると島全体を占有したわけではなく、所有しているのは5割程度。島は私有地と村有地が混在し、砂浜の大部分は村有。島は一般客らの釣り場やキャンプ地となってきたという。[15][16]。13日、松野博一官房長官は記者会見で、この件について「領海基線を有する国境離島、有人国境離島などに該当するものではなく、法律の対象とならない」と発言し、安全保障上重要な施設や国境離島を対象とする土地利用規制法の対象外だとの認識を示した。ただし、土地購入に対し調査に乗り出すかどうかに関してはコメントを控えるとした上で「動向を注視する」とした[17]

2023年2月27日午後、屋那覇島で火災が発生し、キャンプで上陸していた30人前後の学生が伊是名島に避難し、伊是名村役場職員や消防団員ら約25人が消火活動を行ったが鎮圧できず午後9時頃までに退避した[18][19]。2023年2月28日午前9時から伊是名村役場職員や消防団員ら約20人が再度上陸して消火活動を行い、午後6時5分ごろに鎮火したが、テニスコート約3面分を焼失した[20]


  1. ^ 沖縄県島しょ別面積一覧 - ウェイバックマシン(2012年5月14日アーカイブ分)
  2. ^ a b c 屋那覇島 - ウェイバックマシン(2005年2月6日アーカイブ分)
  3. ^ 伊是名島・屋那覇島・野甫島・具志川島の植物相(FLORA) p.37、沖縄県立博物館・美術館、2019年
  4. ^ 北部管内事業位置図(伊平屋村及び伊是名村の付図参照)”. 沖縄県. 2023年2月27日閲覧。
  5. ^ 【原因不明】上陸に許可不要?“中国人女性購入の島”で火災 35人が避難 - テレビ朝日
  6. ^ 沖縄の無人島で「僕たちの楽園プロジェクト」 自然と共存しながら夢づくり - 那覇経済新聞
  7. ^ ヤバイ無人島貸し切りプラン - ヤンバルコビト
  8. ^ 【話題の島】ホリエモン、中国人女性が購入した無人島についてお話します - ライブドアニュース
  9. ^ 「伊是名 島の風景」『琉球新報』2019年4月20日付24面。
  10. ^ a b 渦中の無人島「詐欺師うごめく島」 過去に流行…手法が類似「中国人女性も被害者か」|テレ朝ニュース”. tv-asahi.co.jp. 2023年2月17日閲覧。
  11. ^ a b 【独自】沖縄の無人島“売り主” 「中国人に売ってない」困惑 政治家との2S写真を…|Yahoo!ニュース”. news.yahoo.co.jp. 2023年2月17日閲覧。
  12. ^ 中国系企業が無人島の土地取得 真相を知る人物が全て明かす 独占インタビュー HUB沖縄(つながる沖縄ニュースネット)
  13. ^ 沖縄の無人島・屋那覇島、中国系企業が半分購入…松野官房長官「注視していく」
  14. ^ 義昌商事株式会社|Yi-Chang Corporation.”. yanaha.co.jp. 2023年2月13日閲覧。
  15. ^ 琉球新報「中国人女性“沖縄の無人島購入” 島の5割程度を所有、SNS投稿で話題に 伊是名村・屋那覇島」
  16. ^ 産經新聞「中国女性「沖縄の島を購入」とSNS投稿 「領土増えた」反応」
  17. ^ 産經新聞「松野官房長官「土地利用規制法の対象外」 中国女性「購入」屋那覇島」
  18. ^ 屋那覇島で火災、浜辺に沿い100メートル燃え広がる 消火に当たった消防団らも退避 沖縄・伊是名”. 琉球新報. 2023年2月27日閲覧。
  19. ^ 屋那覇島で火災 伊是名 鎮圧できず”. 沖縄タイムス. 2023年2月27日閲覧。
  20. ^ 屋那覇島の火災、26時間後に鎮火 砂浜にたき火の跡も因果関係不明 沖縄県警が原因調査 沖縄・伊是名”. 琉球新報. 2023年3月4日閲覧。






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