地理教育
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理論および実践
地理教育論
地誌学習
地誌学習の方法には、静態地誌・動態地誌・比較地誌の3つがある[15]。静態地誌(せいたいちし)は、ある地域の地形・気候・産業・人口・交通などの各項目を学習することによって、地域の特色を発見する学習法である[15]。動態地誌(どうたいちし)は、ある地域のある地域的な特色(例えば、中華人民共和国の人口・フランスの農業など)を抽出し、それがどのようにして成立するかを多面的に考察する学習法である[15]。比較地誌(ひかくちし)は2つの類似あるいは対照的な地域を比較する学習法である[15]。静態地誌は項目羅列的で平板な内容になりやすく[注 2]、動態地誌は地域の特色の選択が難しく[注 3]、他地域との比較がしづらい、という難点がある[15]。
課題
教員養成に関する課題
原則的に、日本の学校で地理教育を行う場合、小学校・中学校「社会」・高等学校「地理歴史」の免許が必要となる。
小学校
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中学校
社会科教育を参照。
なお、中学校「社会」の免許取得のためには、地理教育が扱う分野以外に以下の分野の単位を各2単位ずつ履修する必要がある。
高等学校
中学校「社会」・高等学校「地理歴史」「公民」教員免許は教員養成系や社会科学系の多くの大学・学部(通信教育を含む)で取得可能である[17][18]。日本で高等学校「地理歴史」の教員免許を取得する際には、教育職員免許法施行規則第五条に基づき、以下の分野の単位を各2単位以上履修する必要がある[19]。
このほか、第六条第四欄に規定されている「各教科の指導法」として、「地理歴史」の指導法(地理歴史科教育法などと呼ばれる。基本的には、地理教育学・歴史教育学を含む)を履修する必要がある。
教育職員免許法施行規則の規定から、教員免許取得のためには地理教育が取り扱うべき分野以外に、歴史に関する分野も規定単位数以上履修しなくてはならない。免許取得のために地理教育で取り扱うべき学問領域以外の分野も学習することになる。
脚注
注釈
出典
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