低ナトリウム血症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/03 06:43 UTC 版)
分類
臨床上は以下の4つのタイプが観測されている。
- 細胞外液不足(欠乏性低ナトリウム血症)
- 水欠乏を上回るナトリウム欠乏が起こっている病態である。腎性体液喪失として尿細管障害やアジソン病、利尿薬の投与などでおこる。腎外性体液喪失としては嘔吐、下痢、経管ドレナージなど消化管からの喪失や、熱傷、膵炎、腹膜炎といったサードスペースへの喪失などがあげられる。発汗などで水分塩分を大量に失い、塩分を補給せず水分のみ大量に補給することでも陥りやすい。細胞外液不足のため腎臓への血流が極度に低下し、腎前性腎不全となる。
- 水過剰(正常循環血液量性低ナトリウム血症)
- このカテゴリーで最も多いの高齢者の癌患者などでおこる抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、その他甲状腺機能低下症、副腎皮質刺激ホルモン単独欠損症、多飲症、reset osmostatなどがあげられる。尿中ナトリウム濃度が20 (mEq/L)を超えているのが特徴である。
- 細胞外液過剰(希釈性低ナトリウム血症)
- ナトリウム過剰を上回る水過剰がある場合である。多くは浮腫を伴っている。腎不全やその他の浮腫性病変として、鬱血性心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群などがあげられる。入院患者でよく見られる。
- 偽性
- 脂肪などの増加による見かけ上の水過剰。高脂血症や高血糖で起こることがある。
これらを鑑別するには身体診察やバイタルサインによることが多い。細胞外液量が低下しているときは皮膚、粘膜の乾燥、脈拍増加、血圧低下(特に起立性低血圧)などで判断する。逆に浮腫があれば細胞外液は増加していると考える。こういった所見がなく、明らかな病歴がなければ細胞外液量は正常とみなして考えていくのが一般的である。そして尿中のナトリウム濃度を調べる。細胞外液や有効循環血漿量や血圧が低下した時は、細胞外液を維持するため腎臓はナトリウムを再吸収しようとするので腎臓が適切に働いていれば、尿中ナトリウム濃度は10 (mEq/L)位と低値になっているはずである。
- ^ 低ナトリウム血症 メルクマニュアル18版
- ^ 齊藤寿一、「老年者の水電解質代謝異常」 日本老年医学会雑誌 1994年 31巻 5号 p.353-359, doi:10.3143/geriatrics.31.353
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