ヴォルガ川
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/22 19:49 UTC 版)
水運
古くから、ヴォルガ川はロシアの内陸水運や国内輸送の重要な幹線となっていて、船引きなども行われていた。現在も、ロシアの河川貨物の、じつに3分の2はヴォルガ川とその支流によって運送されている[15]。川沿いに建設された巨大ダムには閘門が設けられ、門を通ることのできる大きさの船はカスピ海からヴォルガ川最上流まで航行することができる。またヴォルガ・ドン運河によってヴォルガ川やカスピ海からドン川、およびアゾフ海・黒海まで航行することも可能である。ヴォルガ川から北にある湖(ラドガ湖、オネガ湖)を繋ぐヴォルガ・バルト水路によって、サンクトペテルブルクやバルト海へも航行でき、オネガ湖と白海を結ぶ白海・バルト海運河にもつながる。モスクワ運河はモスクワ川とヴォルガ川を繋ぎ、首都モスクワとこれら内陸水路との連絡路となっている。これらの内陸水路は比較的大きな船舶(閘門の規模はヴォルガ川の各ダムで 290m × 30m 、その他の支流や水路ではもう少し小規模になっている)が通ることができるよう設計されている。
ロシア内陸水路への外国船の航行は、ソビエト連邦の崩壊後も長らく制限があり、限られた船舶しか入ることができなかった。しかし欧州連合(EU)とロシアとの経済交流の増加により、ロシア内陸航路の航行制限を緩和する新政策が施行されようとしている。これにより、外国船のヴォルガ川水系の航行が大きく許可されることが期待されている[21]。
文化
ロシア人のヴォルガに対する感情には、深いものがあり、音楽、絵画、文学などにしばしば取り上げられている。歌では、古くは『ヴォルガの舟歌』、新しくは『ヴォルガ川は流れる』(Течёт река Волга、歌:リュドミラ・ズィキナ)などがある。絵画では、イリヤ・レーピンの『ヴォルガの船引き画』などがある。
脚注
- ^ 『大漢和辞典 [巻一] 』、p.848
- ^ “Great Volzhsko-Kamsky Biosphere Reserve, Russian Federation” (英語). UNESCO (2019年7月). 2023年3月11日閲覧。
- ^ a b ダリンスキー編『ロシア ソ連解体後の地誌』、p.87
- ^ ダリンスキー編『ロシア ソ連解体後の地誌』、p.96
- ^ “Middle Volga Integrated Biosphere Reserve, Russian Federation” (英語). UNESCO (2019年4月19日). 2023年3月11日閲覧。
- ^ ダリンスキー編『ロシア ソ連解体後の地誌』、p.102
- ^ 「思わず息をのむ、最近できたロシアの橋10選」 ロシアNOW 2015年12月21日 2016年6月22日閲覧
- ^ a b Brunet『ロシア・中央アジア』、p.110
- ^ “Volga-Akhtuba Floodplain Biosphere Reserve, Russian Federation” (英語). UNESCO (2019年4月18日). 2023年3月11日閲覧。
- ^ ダリンスキー編『ロシア ソ連解体後の地誌』、p.103
- ^ “Volga Delta | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年8月1日). 2023年2月20日閲覧。
- ^ “Astrakhan Biosphere Reserve, Russian Federation” (英語). UNESCO (2019年4月23日). 2023年2月20日閲覧。
- ^ 「ヴォルガ川」『ロシアを知る事典』新版
- ^ 加賀美、木村『東ヨーロッパ・ロシア』、pp.245-246
- ^ a b ダリンスキー編『ロシア ソ連解体後の地誌』、p88
- ^ 石坂、壽永、諸田、山下『商業史』、p34
- ^ 堀越『中世ヨーロッパの歴史』、pp.130-131
- ^ 栗生沢『図説 ロシアの歴史』、p.44
- ^ 栗生沢『図説 ロシアの歴史』、p57
- ^ Brunet『ロシア・中央アジア』、p118
- ^ http://www.noordersoft.com/indexen.html
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