マンホール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/29 19:24 UTC 版)
専門的には「人孔」という[2][4]。また「潜孔」という訳語もある。
概要
マンホールは斜壁、直壁、副管、底版等から構成され、通常は縦孔である[3]。しかし、直上に出入口を設置できない場合に側方に歩道を開いて設置する側面人孔のような特殊なものもある[4]。
下水道の管路施設としては、円形と矩形があり、一般的な円形のものは最小で内径90cm、120cm、150cmとあり、それぞれ1号、2号、3号マンホールと名付けられている[1]。なお、マンホールの代用として設置された小型のものに燈孔(ランプホール)があり、灯火や反射鏡を垂らして検査を行ったり、洗浄用のホースを通したり、換気を行うための設備である[4][6]。なお、寒冷地では街路の雪を下水渠に排雪するため雪孔を設ける場合もある[4]。
通信分野では通信ケーブルの敷設や接続などのために地下に設けられる上床版を有する10メートル未満の構造物をいい、10メートル以上のものは「とう道」と呼び区別する[7]。マンホールと比較して小型で上床版がないものはハンドホールという[7]。
manholeという英単語は、man(人)とhole(穴)を組み合わせた語である。アメリカ合衆国カリフォルニア州サクラメントでは1990年以降、マンホールの公的な名称として「メンテナンス・ホール (maintenance hole)」を使用している[8](ポリティカル・コレクトネスを参照)。
用途
下水道施設
標準マンホール、組立マンホール、特殊マンホール、下水道用レジンコンクリート製マンホール、小型マンホールがある[5]。材質はレジンコンクリートや塩化ビニル製もあるが、多くはコンクリート製である[1]。
日本では災害時、下水道に通じるマンホールにトイレを設営し、断水・損壊した家屋内トイレを代用する「マンホールトイレ」が開設される[9]。
通信用施設
建設工法による分類では、現場で鉄筋コンクリートを打設する現場打ちマンホールと、分割したパーツを現場に運んで組み立てるブロックマンホールに分けられる[7]。材質では鉄筋コンクリートマンホールとレジンコンクリートマンホールに分けられる[7]。
蓋
マンホールは地表開口部を有するものであるが蓋の有無を問わない[3]。しかし、通常、マンホールの開口部には人が誤って落ちないように蓋がしてある。蓋は、風で飛ばされたり、盗難されたり、勝手に開けて中に入られたりするのを防ぐ目的、また、上に車両などの重量物が乗っても耐えるために鉄で作られている(鋳鉄製が多い)。形状は円形が多いが、これは蓋が穴の中に落ちないようにするためである[2]。
マンホールのふたの付加機能として、浮上防止、かぎ構造、転落防止などの機能が付けられる[10]。大量の雨水が管内に流れ込んできたときに空気の逃げ場がないと蓋が飛んでしまうため、予め蓋にはガス抜き用の穴が開いている[2]。
蓋の表面は、車などが通行する場合に滑ることを防止するため凸凹がある。単なる凸凹ではなく意匠としての紋様が描かれていることが多い。管理者が自治体の場合、その自治体の花や郷土芸能などの様子が描かれていたり、市章が入ったりしている。ペンキ等で彩色されている場合もある。
- ^ a b c d “下水道マンホールの改築工法の現状と課題”. 日本大学生産工学部第54回学術講演会講演概要. 2024年2月28日閲覧。
- ^ a b c d e マンホール(2013年1月19日時点のアーカイブ)水資源機構
- ^ a b c “意匠分類定義カード(L2:土木構造物及び土木用品)” (PDF). 特許庁. 2019年7月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年7月30日閲覧。
- ^ a b c d e 広瀬孝六郎『上下水道』山海堂出版部、1942年、204-206頁 。
- ^ a b c d “マンホールの改築及び修繕に関する設計の手引き(案)”. 日本下水道管路管理業協会. 2024年2月28日閲覧。
- ^ “なごやの下水道歴史探検 vol.6”. 名古屋市上下水道局. 2024年2月28日閲覧。
- ^ a b c d “8章 アクセスインフラ技術”. 電子情報通信学会. 2024年2月28日閲覧。
- ^ "Manholes by Another Name" The New York Times, June 24, 1990. Accessed December 19, 2008.
- ^ 「マンホールトイレ」とは 国土交通省(2021年9月5日閲覧)
- ^ “参考資料 III 管路施設のストックマネジメント”. 国土交通省. 2024年2月28日閲覧。
- ^ 厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長 (2006年6月8日). “酸素欠乏症等災害発生状況等の分析について”. 安全衛生情報センター. 中央労働災害防止協会. 2006年7月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年1月27日閲覧。
- ^ “マンホール蓋浮上・飛散現象”. 国土技術政策総合研究所. 2024年2月28日閲覧。
- ^ “「ドカンと音がした」マンホールの蓋、17メートル先に飛ぶ…ガス漏れで爆発か”. 読売新聞. 2024年2月29日閲覧。
- ^ “マンホールや側溝のふた、50カ所吹き飛ぶ 東京・品川”. 日本経済新聞. 2024年2月29日閲覧。
- ^ 128億円のF15Kがマンホールに落ちた日(2007年5月4日時点のアーカイブ)『朝鮮日報』2007年2月20日
- ^ 山岸 2018.
- ^ “冬道に魔のマンホール 車破損や人けが 札幌市、断熱まだ半数”. 北海道新聞どうしんweb (2017年3月3日). 2017年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月4日閲覧。
- ^ 清水哲朗「モンゴルを撮る 隅々まで◇豊かな自然や変化する人々の姿 写真で伝える◇」『日本経済新聞』朝刊2017年12月28日(文化面)
- 1 マンホールとは
- 2 マンホールの概要
- 3 保守管理
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