マドリード地下鉄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/20 13:59 UTC 版)
路線
マドリードの地下鉄には12の路線と1つの支線、282 キロメートルの路線に231の駅がある。地上を走行するのは、5号線のカンパメント駅(Campamento) - エウヘニア・デ・モンティホ駅(Eugenia de Montijo)、10号線のラゴ駅(Lago) - カサ・デ・カンポ駅(Casa de Campo)、9号線のプエルタ・デ・アルガンダ駅(Puerta de Arganda) - アルガンダ・デル・レイ駅(Arganda del Rey)である。これに加えて、メトロ・リヘーロ(Metro Ligero)と呼ばれる30 キロメートルほどのライトレールが、非常に費用のかかる地下鉄新線を建設するほど人口が多くないと思われる多くの地域で営業している。ほとんどのメトロ・リヘロの路線は地上を走行しており、道路交通から分離された専用軌道を走行する。しかしながらmL1には地下の区間と地下駅が存在する。もともとは、マドリード地下鉄は市域内に制限されていたが、現代ではおよそ3分の1の区間はマドリード市域の外側で運行されている。今日、地下鉄網は以下の6地域に分割されている。
- メトロマドリード(MetroMadrid、ゾーンA)、マドリード市域内を走行する地下鉄網の核心部分で、全体の3分の2の距離を占める。ライトレールの1号線を含む。この区間だけ有効の乗車券が発売されている。
- メトロスール(MetroSur、ゾーンB1、B2)、12号線と10号線の最後の2駅、ホアキン・ビルムブラーレス駅(Joaquín Vilumbrales)とプエルタ・デル・スール駅(Puerta del Sur)。南部のアルコルコン、レガネス、ヘタフェ、フエンラブラーダ、モストレスの町を走行する。
- メトロエステ(MetroEste、ゾーンB1)、7号線のエスタディオ・オリンピコ駅(Estadio Olímpico)からホスピタル・デ・エナーレス駅(Hospital de Henares)の間で、コスラダ、サン・フェルナンド・デ・エナレス(San Fernando de Henares)の町を走行する。
- メトロノルテ(MetroNorte、ゾーンB1)、2007年に開業した、10号線のラ・グランハ駅(La Granja)からホスピタル・デル・ノルテ駅(Hospital del Norte)の区間。マドリード北部郊外とアルコベンダス、サン・セバスティアン・デ・ロス・レージェスの町を走行する。トレス・オリーボス駅(Tres Olivos)で都心側の路線と乗り換える。
- メトロオエステ(MetroOeste、ゾーンB1、B2)、メトロリヘーロの2号線、3号線で構成される。ポスエロ・デ・アラルコン(Pozuelo de Alarcón)とボアディージャ・デル・モンテ(Boadilla del Monte)の町を10号線との乗換駅、コロニア・ハルディン駅(Colonia Jardín)まで結ぶ。
- TFM(ゾーンB1、B2、B3)、9号線のプエルタ・デ・アルガンダ駅(Puerta de Arganda)以遠の、マドリード市域を最初に越えて営業した区間。リバス=バシアマドリード(Rivas-Vacíamadrid)とアルガンダ・デル・レイ(Arganda del Rey)の町を結ぶ。
路線図から見れば終点まで直行運転されているようにも思えるが、地域境界の多くの駅では同じ路線を利用し続ける場合であっても列車を乗り換えなければならない。これは、メトロマドリードの路線区間は郊外区間に比べて列車頻度が高く設定されていることと、途中駅で折り返すことが多いからである。
マドリードにはセルカニアスと呼ばれる広範囲の通勤列車もレンフェ(スペイン国鉄)によって営業されており、セルカニアス マドリードと呼ばれている。22のセルカニアスの駅が地下鉄と接続しており、地下鉄の公式路線図にセルカニアスのロゴで示されている。1999年以降の多くの新線は、セルカニアスの駅と接続するかそこで終点となるように建設されている。たとえばメトロ・リヘロの2号線は、アラバカ駅が終点でマドリード中心部へ速く移動できる通勤路線C-7やC-10を利用でき、6号線、10号線、R号線に乗り換えられる地下鉄のハブでバスにも乗り換えられるプリンシペ・ピオ駅(Príncipe Pío)へ到達できる。
路線 | 区間 | 延長 | 駅数 | 断面 | プラットホーム長 | 主な使用車両 | 編成構成 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ピナール・デ・チャマルティン(Pinar de Chamartín) – バルデカーロス(Valdecarros) | 23.8 km | 33 | 狭 | 90 m | CAF製2000-A系 | M.R-M.R-R.M | |
ラ・エリーパ(La Elipa) – クアトロ・カミーノス(Cuatro Caminos) | 9.5 km | 16 | 60 m | CAF製3000系 | MRRM | ||
ビジャベルデ・アルト(Villaverde Alto) – モンクロア(Moncloa) | 16.4 km | 18 | 90 m | CAF製3000系 | MRSSRM | ||
アルグエージェス(Argüelles) – ピナール・デ・チャマルティン(Pinar de Chamartín) | 16.0 km | 23 | 60 m | CAF製3000系 | MRRM | ||
アラメダ・デ・オスーナ(Alameda de Osuna) – カサ・デ・カンポ(Casa de Campo) | 23.2 km | 32 | 90 m | CAF製2000-B系 | M.R-M.R-R.M | ||
環状線 | 23.5 km | 28 | 広 | 115 m | CAF製5000系、アンサルドブレーダ製7000系 | M.M-M.M-M.M | |
ピティス(Pitis) – エスタディオ・オリンピコ(Estadio Olímpico) – オスピタル・デル・エナーレス(Hospital del Henares) | 31.2 km | 29 | アンサルドブレーダ製9000系 | MRSSRM | |||
ヌエボス・ミニステリオス(Nuevos Ministerios) – アエロプエルトT4(Aeropuerto T4) | 16.4 km | 8 | CAF製8000系 | MRSM | |||
エレーラ・オリア(Herrera Oria) – プエルタ・デ・アルガンダ(Puerta de Arganda) – アルガンダ・デル・レイ(Arganda del Rey) | 38.0 km | 26 | CAF製6000系、8000系、アンサルドブレーダ製9000系 | MRM-MRM | |||
オスピタル・デル・ノルテ(Hospital del Norte) – トレス・オリーボス(Tres Olivos) – プエルタ・デル・スール(Puerta del Sur) | 39.9 km | 31 | アンサルドブレーダ製7000系、9000系 | MRSSRM | |||
プラサ・エリプティカ(Plaza Elíptica) – ラ・ペセータ(La Peseta) | 5.3 km | 6 | CAF製3000系 | MRSSRM | |||
メトロスール(MetroSur) | 40.7 km | 28 | CAF製8000系 | MRM-MRM | |||
オペラ(Ópera) – プリンシペ・ピオ(Príncipe Pío) | 1.1 km | 2 | 狭 | 60 m | CAF製3000系 | M.R-R.M | |
ML | ピナール・デ・チャマルティン(Pinar de Chamartín) – ラス・タブラス(Las Tablas) | 5.4 km | 9 | ライトレール | 32 m | アルストム Citadis 302 | MRRRM |
ML | コロニア・ハルディン(Colonia Jardín) – エスタション・デ・アラバーカ(Estación de Aravaca) | 8.7 km | 13 | ||||
ML | コロニア・ハルディン(Colonia Jardín) – プエルタ・デ・ボアディージャ(Puerta de Boadilla) | 13.7 km | 16 |
電圧 | 使用路線 |
---|---|
600 ボルト(Vcc) | * * |
750 ボルト(Vcc) | ML ML ML |
1500 ボルト(Vcc) |
- 脚注
- はRamalのことで、支線(branch)という意味である。
- 古い駅はバリアフリーになっていないが、1995年以降の全ての新駅は法律でバリアフリーが義務付けられている。これにより、新しい駅とリニューアルした古い駅では車椅子で利用できるエレベーターや、弱視の人に対応した大きな標識などが備えられている。
- 5号線以外の狭小断面路線は全てもともとはプラットホーム長60 mであった。1号線が最初に90 mに延長された一方で、3号線は2000年代になるまで延長されなかった。3号線は近年の南方のビジャベルデまでの延長に際して、1年ほど完全に閉鎖されてリニューアルされた。これにより、それまで地下鉄網の中で列車と設備の観点で最も遅れていた路線が、狭小断面の路線の中ではもっとも綺麗になり、また最新のCAF3000系が投入された。
- 編成構成の記号は、M - 制御電動車(Motor)、R - 付随車(Remolque)、S - 中間電動車(motor Sin cabina)を意味する。記号間のドットとダッシュは、編成の基本ユニットの接続点を示しており、ドットは車両間を乗客が通行可能、ダッシュは通行不可能である。記号間にドットもダッシュもないものは、ユニット内で貫通路を乗客が通行可能であることを示している。
- アルストム Citadis 302は5車体連節構造で、1両が電動車、1両は両端の車両に吊り下げられており、その次の1両が台車を備えているがモーターはなし、1両が吊り下げで、最後の1両がまた電動車である。
- ^ “Metro de Madrid Figures”. Metro de Madrid. 2019年7月30日閲覧。
- ^ “Informe corporativo 2018 - Metro de Madrid”. Metro de Madrid. 2019年7月30日閲覧。
- ^ 谷川 一巳 『地下鉄のフシギ!?』 p.195、p.196 山海堂 1999年6月10日発行 ISBN 4-381-10335-1
- ^ プラットホームが90 メートルの路線では6両、60 メートルの路線では4両編成で構成されている。このため実際の列車数は88から132までの間で変化する。
- ^ CAFの2000-A系説明ページ タイトルでは2000Bと言っているが実際には2000Aである
- ^ CAFの2000-B系説明ページ タイトルでは2000と言っているが実際には2000Bである
- ^ Andén 1 - Historia del Metro Archived 2007年11月14日, at the Wayback Machine.
- ^ CAFの5000系説明ページ - 販売情報と写真は5500番台のもの
- ^ CAFの6000系説明ページ
- ^ CAFの8000系説明ページ
- ^ 2008年現在、スペイン政府が高速鉄道であるAVEの全国網整備に注力しているため、同じような状況がセルカニアス通勤列車網で起きている。
固有名詞の分類
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