マッターホルン・ゴッタルド鉄道HGe4/4 II形/ツェントラル鉄道HGe101形電気機関車 運行

マッターホルン・ゴッタルド鉄道HGe4/4 II形/ツェントラル鉄道HGe101形電気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/29 19:08 UTC 版)

運行

HGe4/4II形が牽引する冬季の 氷河急行
氷河急行専用客車GEX 2006を牽引
ブリエンツ湖畔のインターレギオ、HGe101形が牽引

マッターホルン・ゴッタルド鉄道

  • 旧フルカ・オーバーアルプ鉄道線の本線は全長96.9km、最急勾配40/110パーミル(粘着/ラック区間)で、レーティッシュ鉄道[14]のディセンティス/ミュンスターとスイス国鉄、旧ブリーク-フィスプ-ツェルマット鉄道のブリークを結ぶ路線である。なお、全長3.7km、最急勾配181パーミルで本線のアンデルマットとスイス国鉄のゲシェネンを結ぶシェレネン線では本機は運行されていない。同線では試作機の導入後HGe4/4I形と共通で運行されていたが、順次同形式を置き換え、量産機の導入後はHGe4/4I形は季節列車などで運行されるのみとなっている。本形式は、氷河急行やその他ローカル列車の客車列車や貨物列車の牽引に使用され、通常長いもので6両編成程度となる。なお、レーティッシュ鉄道内で12-13両編成で運行されている一部の氷河急行はマッターホルン・ゴッタルド鉄道線内では続行運転で運行されている。
  • 全長15.4kmでフルカ峠を迂回するフルカベーストンネルの両端のレアルプとオバーワルド間[15]の列車フェリーは通常はGe4/4形電気機関車が牽引しているが、金-月曜日は2機運用で同機の保有数は2機のみであるため、検査等の際には本機が予備として使用される。この列車はBDt 4361-4263形制御客車と、SKl-v 4801-4807形ランプ車およびSKl-tv4811-4827形車運車で構成され、機関車+ランプ車2両+車運車最大8両程度+ランプ車1-2両+制御客車の編成で最高速度90km/hでプッシュプル運転される。車運車は屋根付きで総重量16t、全高3.05m、全幅2.50mまでの車両を、ランプ車は屋根無で大型車用の車運車を兼ねており、総重量20 t、全高3.62m、全幅2.50mまでの車両を搭載可能であり[16]、このほかバイクおよび自転車での利用も可能となっている。
  • マッターホルン・ゴッタルド鉄道の旧ブリーク-フィスプ-ツェルマット鉄道区間では、氷河急行やその他ローカル列車の客車列車の牽引に使用され、通常長いもので6-8両編成程度であり、編成端に制御客車を連結したシャトルトレインとしても運行されている。
  • 旧ブリーク-フィスプ-ツェルマット線は全長44.0km、高度差855m、最急勾配25/125パーミル(粘着/ラック区間)で、スイス国鉄と旧フルカ・オーバーアルプ鉄道のブリークからゴルナーグラート鉄道ツェルマットを結ぶ路線である。
  • 2007年12月4日には旧フルカ・オーバーアルプ鉄道線のブリーク付近を路線変更し、もともとはローヌ川上流側から来た路線が一旦下流側に回り込んでからブリーク駅へ進入し、スイッチバックをして旧ブリーク-フィスプ-ツェルマット鉄道線へ向かっていたものを、上流側から直接ブリーク駅へ進入してそのまま下流側のフィスプ方向へ向かうように変更となり、HGe4/4II形が牽引する氷河急行もブリークでの機関車付替えをせずにそのまま直通する運行となっており、現在ではローカル列車も旧フルカ・オーバーアルプ鉄道機と旧BVZ鉄道機は共通で運用されている。
  • 貨物列車に関しては旧フルカ・オーバーアルプ線では前述のフルカベーストンネルの列車フェリーと後述するゴッタルドベーストンネル建設線のほか、オーバーアルプ峠を越える、アンデルマット - セドルン間の乗用車輸送貨車数両と客車による列車フェリーが運行されており、Deh4/4II形などとともに本形式もその牽引に使用されているが、一般的な貨物列車はほとんど運行されていない。一方、旧BVZ線では2010年代においても週約40便、年間40000t程度の貨物輸送があり、本形式がフィスプ-ツェルマット間の貨物列車を牽引している。また、アルプトランジット計画の一環である全長57kmのゴッタルドベーストンネル建設は両端を含め5箇所から掘削が進められているが、そのうちの1箇所であるセドルンの建設基地への一般貨物輸送用に2.2kmの貨物路線が1998年に建設されており、本形式がこの貨物路線から旧フルカ・オーバーアルプ鉄道本線を経由してレーティッシュ鉄道へ連絡するディゼンティス/ミュンスターまでの9.9kmを運行する不定期貨物列車5往復を牽引している。

ツェントラル鉄道

  • ツェントラル鉄道のブリューニック線は全長74.0km、高度差566m、最急勾配128パーミルでルツェルン-インターラーケン・オスト間を結ぶ山岳路線で、ブリューニック線とBLS AG[17]のインターラーケン・オスト - ツヴァイジンメン間、モントルー・オーベルラン・ベルノワ鉄道[18]のツヴァイジンメン - モントルー間を合わせてゴールデンパス・ラインを構成しており、かつてはスイス国鉄の唯一の1m軌間の路線であった。
  • 試作機であるHGe4/4II形1951-1952号機は導入後各種試験を実施したほか、1985年末からは運用に入って主にルツェルンからラック区間でブリューニック峠を超えてスイッチバック式のマイリンゲン間で運行されている。例えば1988年のダイヤでは以下の2運用で使用され、重連総括制御はできないもののDeh4/6形やHGe4/4I形との重連も設定されていた。
    • 362運行:マイリンゲン(出庫) - ギスヴィール - マイリンゲン -(Deh4/6形もしくはHGe4/4I形と重連)- ギスヴィール -(Deh4/6形もしくはHGe4/4I形と重連)- マイリンゲン - ルツェルン - マイリンゲン - ギスヴィール -(ギスヴィール - ブリューニック・ハスリベルク間はDeh4/6形もしくはHGe4/4I形と重連)- マイリンゲン - ルツェルン(入庫):231km
    • 363運行:ルツェルン(出庫) - ギスヴィール - ルツェルン - マイリンゲン - ルツェルン - マイリンゲン - ルツェルン - マイリンゲン(入庫):283km
  • その後ブリューニック線では旧Deh4/6形から称号改正されたDeh120形荷物電車とそれを粘着区間専用機に改造したDe110形荷物電車と共に主力として使用され、量産機の製造に伴ってHGe100形(旧HGe4/4I形)を置換えており、同形式は1996年までに廃車となったほか、Deh120形についても歴史的車両として動態保存されている機体と予備機を除いて粘着区間専用のDe110形に改造されるか廃車となっている。
  • 量産機導入後は、ブリューニック線のラック区間では本形式のみが通常の営業列車を牽引できる機体となったため、ルツェルン - インターラーケン・オスト間のインターレギオを中心に運行されており、そのうち数往復は食堂車とパノラマ車を連結したゴールデンパス・パノラミックとなっている。また、2010年12月に旧ルツェルン-シュタンス-エンゲルベルク鉄道線のエンゲルベルクトンネルが開通して同線の最急勾配が250パーミルから105パーミルに緩和されたため、本機は更新改造を実施した従来型軽量客車最大4両程度、ABt 941-943形連接、低床式制御客車と編成を組んでルツェルン - エンゲルベルク間のインターレギオとしても運行されるようになってBDeh140形電車が牽引する列車の一部を置き換えており、逆にこの運行に充当する機体を捻出するため、ブリューニック線のインターレギオのメイリンゲン - インターラーケン・オスト間はDe110形による牽引に変更となっている。
  • 2012-13年には主に旧式化した客車の置き換えのために部分低床式で、粘着区間では最高速度120km/hを発揮可能な新しいラック式電車であるABeh150形(7両編成)4編成およびABeh160形(3両編成)6編成が導入され、ルツェルン - インターラーケン・オスト間で主力として運行される予定であるが、それに伴い本形式は主要な運行区間をルツェルン - エンゲルベルク間に移してBDeh140形を完全に置き換えることとなっている。
  • ブリューニック線では旧来より貨物輸送はあまり多くなく、現在では3線軌条もしくは4線軌条のルツェルン - ボロウ間で標準軌貨車による貨物列車が運行されるほか、2006年までは粘着区間でロールワーゲンによる標準軌貨車輸送が行われていたが、ツェントラル鉄道では工事列車用以外の通常の貨車は保有していない。本形式もあまり貨物列車の運用にはついておらず、近年の短編成の貨物列車もしくは工事列車はDeh120形/De110形やHGm104形電気式ディーゼル機関車による牽引が中心となっており、本形式は粘着区間専用で3車体連接のABe130形電車がラック区間用を超えて回送される際の牽引などで使用されている。

  1. ^ Schweizerische Bundesbahnen(SBB)
  2. ^ Furka-Oberalp-Bahn(FO)
  3. ^ スイスの鉄道車両製造メーカーでラック式の鉄道車両を多く手がけていたSLMのラック式車両製造部門は、ヨーロッパにおける鉄道車両製造メーカーの再編の一連の流れの中で、2005年に同じくスイスの新興メーカーであったシュタッドラー・レール社に台車製造部門とともに移っている
  4. ^ 車軸配置Bo'2zz'Bo'で中間台車にラック区間専用の主電動機と駆動装置を装備する方式
  5. ^ Luzern-Stans-Engelberg-Bahn(LSE)
  6. ^ Brig-Visp-Zermatt-Bahn(BVZ)
  7. ^ Bundesamt für Verkehr
  8. ^ Schweizerische Lokomotiv- und Maschinenfablik, Winterthur
  9. ^ Brown, Boveri & Cie / Asea Brown Boveri AG, Baden、量産機製造時点ではスウェーデンのアセア社と合併してABBとなる
  10. ^ BVZ Zermatt-Bahn、ブリーク-フィスプ-ツェルマット鉄道(Brig-Visp-Zermatt-Bahn(BVZ))が2002年に改称
  11. ^ 富士急行でも1200形電車1編成をマッターホルン・ゴッタルド鉄道塗装として運行している
  12. ^ Georg Fisher/Sechéron
  13. ^ Sécheron-Hasler AG
  14. ^ Rhätische Bahn(RhB)
  15. ^ 同区間は全長17.7kmでそのうち15.4kmがフルカベーストンネルである。トンネル内は最急勾配17.5パーミル、トンネル外に短距離ながら29.2パーミルの勾配があり、高度差は172mである
  16. ^ レーティッシュ鉄道のフェライナトンネルでのGe4/4III電気機関車による列車フェリーでは車両限界が拡大されており、より大形の総重量28t、全幅2.5m、全高4.0mまでの車の輸送が可能となっている
  17. ^ 1996年に BLSグループのBLS(Bern-Lötschberg-Simplon-Bahn(BLS))とギュルベタル-ベルン-シュヴァルツェンブルク鉄道(Gürbetal-Bern-Schwarzenburg-Bahn(GBS))、シュピーツ-エルレンバッハ-ツヴァイジメン鉄道(Spiez- Erlenbach-Zweisimmen-Bahnn(SEZ))、ベルン-ノイエンブルク鉄道(Bern-Neuenburg-Bahn(BN))が統合してBLSレッチュベルク鉄道(BLS LötschbergBahn(BLS))となり、さらに2006年にはミッテルランド地域交通(Regionalverkehr Mittelland(RM))と統合してBLS AGとなる
  18. ^ Montreux-Berner Oberland-Bahn(MOB)






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