フマル酸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/02 08:14 UTC 版)
食品
毒性を持たないため、1946年から食品の酸性化剤として使用されている。普通、純度の高さが求められる飲料やベーキングパウダーに用いられる。一般的に酒石酸の、時にクエン酸の代替物として使われ、同じ味を出すためには1.36 gのクエン酸に対して0.91 gのフマル酸を用いる。
フマル酸エステル
フマル酸の2つのカルボキシ基がエステルとなったフマル酸ジエステル(DRF)は前述の通り乾癬の治療に用いられるほか、高分子の材料(モノマー)としても利用される。
従来、フマル酸エステルはその立体障害によりラジカル単独重合性を持たず、共重合性のみを持つと考えられていた。しかし、1980年代に大阪市立大学(当時)の大津隆行らの研究により、フマル酸ジイソプロピル(DiPF)やフマル酸ジ-tert-ブチル(DtBF)、フマル酸ジシクロヘキシル(DCHF)のようにかさ高いエステルを有する場合では高い単独重合性を示すことが見い出された[1]。この特異な性質は、エステル基の嵩高さによって成長ラジカル同士の2分子停止反応が抑制され、低速ではあるが重合が進行するためと説明される。
関連項目
- ^ Toyoda, Naoyuki; Otsu, Takayuki (2007). “Polymers from 1,2-Disubstituted Ethylenic Monomers. IX. Radical High Polymerization of Methyl-tert-butyl Fumarate”. Journal of Macromolecular Science: Part A - Chemistry 19 (7): 1011–1021. doi:10.1080/00222338308081081.
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