ヒツジ 形態

ヒツジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/15 17:19 UTC 版)

形態

螺旋を描いて伸びるラセン角(ハンガリーのラツカ羊ハンガリー語:Racka
渦巻き状のアモン角(フィニッシュ・ランドレース種(en))

ヒツジは反芻動物としては比較的体は小さく、側頭部のらせん形の角と、羊毛と呼ばれる縮れた毛をもつ。

原始的な品種では、短い尾など、野生種の特徴を残すものもある。

家畜のヒツジは54本の染色体をもつが、野生種は58-54本の染色体を有し、交雑可能である。自然状態の雑種の中には55本や57本の染色体をもつ個体も存する。

品種によってまったくをもたないもの、雄雌両方にあるもの、雄だけが角を持つものがある。螺旋を巻きながら直状に伸びた角をラセン角、渦巻き状に丸く成長する角をアモン角と称する。角のある品種のほとんどは左右に1対1だが、古品種にはヤギのように後方に湾曲しながら伸びる2-3対(4-6本)の角をもつものもいる。

野生のヒツジの上毛の色合いには幅広いバリエーションがあり、黒、赤、赤褐色、赤黄色、褐色などがある。毛用のヒツジは主に染色に適した白い羊毛を産するように改良が加えられているが、ほかにも純白から黒色まであり、斑模様などもある。白いヒツジの群れのなかに有色の個体が現れることもある。

ヒツジの体長や体重は品種により大きく異なり、雌の体重はおよそ45–100kg、雄はより大きくて45–160kgである。

成熟したヒツジは32本の歯を持つ。ほかの反芻動物と同じように、下顎に8本の門歯がある一方、上あごには歯がなく、硬い歯茎がある。犬歯はなく、門歯と臼歯との間に大きな隙間がある。

4歳になるまで(歯が生え揃うまで)は、前歯は年に2本ずつ生えるため、ヒツジの年齢を前歯の数で知ることができる。ヒツジの平均寿命は10年から12年であるが、20年生きるものもいる。

前歯は齢を重ねるにつれ失われ、食べるのが難しくなり、健康を妨げる。このため、通常放牧されているヒツジは4歳を過ぎると徐々に数が減っていく。


注釈

  1. ^ これとは別に、紀元前11000年ごろのイラクや紀元前7000-5000年頃のインドの遺跡からも小さい羊の骨や痕跡が出土しているが、単に子羊の骨であるなど、家畜化の証拠としては疑問がもたれている。
  2. ^ ウリアルはアジアムフロンの亜種とする説もある。
  3. ^ 紀元前の中国、ドイツ、北アジアにその痕跡があるが、はっきりしたことはよく分かっていない。
  4. ^ 一般的には「バビロン」は“神の門”を意味するとか、創世記に登場するバベルの塔の逸話に因む“混乱”の意であるとかといった説が主流であるが、最古期の語源は言語が解読されておらず不明とされている。

出典

  1. ^ http://jlta.lin.gr.jp/report/detail_project/pdf/150.PDF めん羊の採食特性を活用した草地の造成と維持管理に関する調査
  2. ^ 毛が伸び放題のヒツジを救出、30キロ分刈り取る 豪州”. CNN. 2021年2月25日閲覧。
  3. ^ シロサイと仲良くなったヒツジ - YouTube ナショナルジオグラフィック
  4. ^ 「品種改良の世界史」,2010,正田陽一編,悠書館,ISBN 978-4-903487-40-3
  5. ^ 「オセアニアを知る事典」平凡社 p279 1990年8月21日初版第1刷
  6. ^ a b c d e 賀来(2015)、p.106
  7. ^ a b 日本のめん羊事情”. 公益社団法人 畜産技術協会 (1991年12月). 2020年11月28日閲覧。
  8. ^ a b 賀来(2015)、p.115
  9. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』16 - 18頁。
  10. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』20 - 21頁。
  11. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』24頁。
  12. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』31- 32頁。
  13. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』32- 36頁。
  14. ^ a b FAO Brouse date production-Live animals-sheep”. Fao.org. 2012年12月30日閲覧。
  15. ^ 「オセアニアを知る事典」平凡社 p240 1990年8月21日初版第1刷
  16. ^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/sheep.html キッズ外務省:羊の頭数の多い国 日本国外務省 2012年12月30日閲覧
  17. ^ 日本のめん羊事情”. 公益社団法人畜産技術協会 (1991年12月). 2014年3月22日閲覧。
  18. ^ a b http://www.nytimes.com/2006/03/29/dining/29mutt.html Apple Jr., R.W. . "Much Ado About Mutton, but Not in These Parts". ニューヨーク・タイムズ、(2006年3月29日)2012年12月30日閲覧
  19. ^ a b 『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典2 主要食物:栽培作物と飼養動物』 三輪睿太郎監訳 朝倉書店  2004年9月10日 第2版第1刷 p.666
  20. ^ コトバンク
  21. ^ 「メッカ」p157 野町和嘉 岩波書店 2002年9月20日第1刷
  22. ^ Asa-Jo「羊が一匹、羊が二匹…」日本人が羊を数えても眠れない理由が判明した!
  23. ^ トレイルズ 「道」と歩くことの哲学 著者:ROBERT MOOR
  24. ^ Bellwether species 掲載サイト:Encyclopedia.com
  25. ^ 羊一頭、史上最高額の5200万円で落札 英国”. CNN. 2020年9月3日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ヒツジ」の関連用語

ヒツジのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ヒツジのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのヒツジ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS