ヒツジ 生産

ヒツジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/08 19:40 UTC 版)

生産

アルゼンチン、パタゴニアでの牧羊
2008年の羊の頭数
(単位は百万頭)
中国 136.4
オーストラリア 79.0
インド 65.0
イラン 53.8
スーダン 51.1
ニュージーランド 34.1
ナイジェリア 33.9
イギリス 33.1
世界総計 1,078.2
出典: FAO [15]

ヒツジは羊毛や肉(ラム、マトン)を目的として世界中で広く飼育され、2008年には全世界で10億頭を超えるヒツジが飼育されていた。世界で最もヒツジを多く飼育しているのは中国で、1億3000万頭以上に上る。飼育頭数は漸増傾向にあったが、2006年からは減少に転じている。2位はインドで、1992年から2010年までに飼育頭数が約1.5倍となり、現在も漸増傾向が続く。次いで飼育頭数が多いのはオーストラリアである。かつては長らく世界最大のヒツジ生産国であり、1992年には1億4800万頭以上のヒツジが飼育されていたが、飼育頭数は急激に減少しており、1996年には中国に抜かれて第2位となり、2010年にはインドにも抜かれて3位となった。2010年の飼育頭数は約6800万頭であり、1992年の半分以下にまで減少している。オーストラリアのヒツジはメリノ種が主であり、羊毛を主目的としていたが、近年では食肉種も盛んに飼育されるようになった。4位はイランであり、1992年の4600万頭から2010年の5400万頭と微増している。5位はスーダンであり、1992年から2010年までに飼育頭数は倍増した[15]。6位のニュージーランドは古くからのヒツジの大生産国であり、1834年にヒツジが本格導入されてからすぐに羊毛の大輸出国となり、さらに1882年冷凍船が導入されてからは羊肉も輸出できるようになって、産業革命期にあったイギリスを主要市場として発展していった。ニュージーランドではオーストラリアとは違い、羊肉・羊毛兼用種が主に飼育されている[16]

日本のヒツジ飼育頭数は2010年に1万2000頭であり、世界では第158位である[17]都道府県別では北海道での飼育数が飛び抜けて多く、他は秋田県岩手県福島県などの東北地方栃木県千葉県などの関東地方で飼育されている。東日本ではある程度飼育されているが、西日本ではほとんど羊の飼育は行われていない[18]


注釈

  1. ^ ウリアルはアジアムフロンの亜種とする説もある。
  2. ^ なおこれとは別に、紀元前11000年ごろのイラクや紀元前7000-5000年頃のインドの遺跡からも小さい羊の骨や痕跡が出土しているが、単に子羊の骨であるなど、家畜化の証拠としては疑問がもたれている。
  3. ^ 紀元前の中国、ドイツ、北アジアにその痕跡があるが、はっきりしたことはよく分かっていない。
  4. ^ 一般的には「バビロン」は“神の門”を意味するとか、創世記に登場するバベルの塔の逸話に因む“混乱”の意であるとかといった説が主流であるが、最古期の語源は言語が解読されておらず不明とされている。

出典

  1. ^ http://jlta.lin.gr.jp/report/detail_project/pdf/150.PDF めん羊の採食特性を活用した草地の造成と維持管理に関する調査
  2. ^ 毛が伸び放題のヒツジを救出、30キロ分刈り取る 豪州”. CNN. 2021年2月25日閲覧。
  3. ^ ナショジオ シロサイと仲良くなったヒツジ( ナショジオ 〜) - YouTube ナショナルジオグラフィック
  4. ^ a b c [https://hal.science/hal-03759454/document Broad maternal geographic origin of domestic sheep in Anatolia and the Zagros]
  5. ^ 「品種改良の世界史」,2010,正田陽一編,悠書館,ISBN 978-4-903487-40-3
  6. ^ 「オセアニアを知る事典」平凡社 p279 1990年8月21日初版第1刷
  7. ^ a b c d e 賀来(2015)、p.106
  8. ^ a b 日本のめん羊事情”. 公益社団法人 畜産技術協会 (1991年12月). 2020年11月28日閲覧。
  9. ^ a b 賀来(2015)、p.115
  10. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』16 - 18頁。
  11. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』20 - 21頁。
  12. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』24頁。
  13. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』31- 32頁。
  14. ^ 小林忠太郎「民営牧羊経営の成立と崩壊」、『日本畜産の経済構造』32- 36頁。
  15. ^ a b FAO Brouse date production-Live animals-sheep”. Fao.org. 2012年12月30日閲覧。
  16. ^ 「オセアニアを知る事典」平凡社 p240 1990年8月21日初版第1刷
  17. ^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/sheep.html キッズ外務省:羊の頭数の多い国 日本国外務省 2012年12月30日閲覧
  18. ^ 日本のめん羊事情”. 公益社団法人畜産技術協会 (1991年12月). 2014年3月22日閲覧。
  19. ^ a b http://www.nytimes.com/2006/03/29/dining/29mutt.html Apple Jr., R.W. . "Much Ado About Mutton, but Not in These Parts". ニューヨーク・タイムズ、(2006年3月29日)2012年12月30日閲覧
  20. ^ a b 『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典2 主要食物:栽培作物と飼養動物』 三輪睿太郎監訳 朝倉書店  2004年9月10日 第2版第1刷 p.666
  21. ^ コトバンク
  22. ^ 「メッカ」p157 野町和嘉 岩波書店 2002年9月20日第1刷
  23. ^ Asa-Jo「羊が一匹、羊が二匹…」日本人が羊を数えても眠れない理由が判明した!
  24. ^ トレイルズ 「道」と歩くことの哲学 著者:ROBERT MOOR
  25. ^ Bellwether species 掲載サイト:Encyclopedia.com
  26. ^ 羊一頭、史上最高額の5200万円で落札 英国”. CNN. 2020年9月3日閲覧。





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