バトルテック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 02:31 UTC 版)
概要
バトルテックシリーズはFASA社が1984年に発表したボードゲーム型のウォー・シミュレーションゲーム『バトルテック』を元祖とし、様々な追加ルール集やデータ集が発売された他、『メックウォーリアシリーズ』などのロボットアクションゲームやSF小説シリーズ、TVアニメーションが発表された。ボードゲームやコンピュータゲーム、ミニチュアゲーム、テーブルトークRPGの『メックウォリアー』などは日本語版も制作され、日本でも展開されている。
シリーズの元祖であるボードゲーム『バトルテック』は、1984年の初版発売時は『バトルドロイド』 (BattleDroids)のタイトルで発売され、ゲーム中に登場する人型ロボット兵器の総称もゲーム名と同じ「バトルドロイド」だった。しかし、「ドロイド」はジョージ・ルーカスとルーカスフィルムの登録商標であり、第2版からゲームタイトルを『バトルテック』に、機体の総称を「バトルメック」(メック)に変更した。
FASA社は2001年に解散し、BattletechのライセンスがWizKids社、FanPro LLCに移管。WizKids社はミニチュアゲームとしてMechWarrior:DARK AGEを展開し、ホビージャパンが国内で販売を行った。
デザインの無断使用
『バトルテック』の初期の版では、日本のテレビアニメ『超時空要塞マクロス』のバトロイド、デストロイドや『太陽の牙ダグラム』のコンバットアーマー、劇場版「クラッシャージョウ」のハンターメカのメカニックデザインや設定などを無断使用しており、その点で非常に注目を集めた。
特にバトロイドは、宇宙でも使用可能な気圏戦闘機に変形することができる高性能メック、『Land-Air 'Mech』(LAM)というそのままな設定とされ、『Aerotech』なる空戦用サプリメントに掲載された。なお、これは主に宇宙空間からの降下、戦闘機による近接航空支援や戦闘機同士の空中戦も扱ったサプリメントであり、LAMの扱いはそれほど大きくない。
当時は米国内で日本製アニメーション作品への注目度が上がってきた時期であり、他方日本はまだこの時代、これらアニメーション作品の海外輸出を真面目に考えておらず捨て売りしていた。そのため、この盗用に関して目立った問題とは見なされていなかった部分もある。
この盗用の件で、米国にてこれらの日本製アニメーションのライセンスを取得して再構成したアニメーション作品『Robotech(ロボテック)』を製作していたハーモニーゴールド USAからデザインの使用停止を求められた。訴えは認められ、旧デザインのメックは「なかったこと」にして独自デザインのものだけが「メック」として残ることになる。アメリカ人デザイナーによる新デザインはカートゥーンアニメを思わせるデザインに無骨なテクスチャとなっており、この骨太なデザインセンスが「日本ロボットアニメのパクリ」というかつての悪名を払拭するくらいのインパクトと個性を出すことに成功しているともいえる。 その後、『MechWarrior Online』などを手がけるPiranha Gamesとハーモニーゴールド USAとの間で和解が成立し、ハーモニーゴールドUSAが版権を持つ日本のアニメのメカをモチーフとした機体については、少なくとも、『MechWarrior Online』では使用が継続されることとあんった[1]。また、原作ボードゲーム「バトルテック」を展開するCatalyst Game Labsに対する訴訟も和解となった一方、『BATTLETECH』を手がけたHarebrained Schemesへの訴訟は棄却となった[1]。
1992年に富士見書房より日本語版が発売されたボードゲーム『バトルテック』では、米国で書き直された新デザインのイラストは一切使用せず、『マクロス』のメカデザイナーである河森正治による新規オリジナルデザインが使用された。これらのメカデザインは、もともと河森がデザインしたデストロイド等の盗用されていた元祖のデザインとは似ても似つかぬ"日本風"に変更されて普及に一役買った。なお、元のデザインがそれとなく判るように意図的に似せているメックもあった。なお一部マニアは米国版の新デザインをかたどったソフビ製のフィギュアユニットを米国から購入、使用する風景も見られた。
注釈
出典
- ^ a b “『バトルテック』関連作品の機体デザイン訴訟が和解へ―既存機体デザインは継続使用可能”. GameBusiness.jp (2018年7月2日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ 清松みゆき『バトルテックがよくわかる本』(富士見書房 ISBN 4-8291-4267-7)63頁参照
- ^ Inc, Aetas. “Access Accepted第225回:あのメックが帰ってくる?”. 4Gamer.net. 2022年5月5日閲覧。
- ^ “ゲームソフトインプレッション”. pc.watch.impress.co.jp (1999年6月25日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ a b Iwahama (2003年7月7日). “「メックフェスティバル 2003」盛況のうちに終了”. 4Gamer.net. Aetas. 2022年5月5日閲覧。
- ^ “メックウォリア2 | ソフトウェアカタログ | プレイステーション® オフィシャルサイト”. www.jp.playstation.com. 2022年5月5日閲覧。
- ^ Seal (2003年7月24日). “【レビュー】マイクロソフト メックウォーリア4 マーシナリーズ 日本語版”. www.4gamer.net. 2022年5月5日閲覧。
- ^ 電撃オンライン. “【おすすめDLゲーム】『BATTLETECH(バトルテック)』のリアリティを感じるゲーム性がロボ好きの心を揺さぶる”. 電撃オンライン. 2022年5月5日閲覧。
- ^ a b “あの「メックウォーリア」のナンバリング最新作「MechWarrior 5: Mercenaries」の発売日が2019年9月10日に決定”. 4Gamer.net. Aetas (2018年12月4日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ “PS向けにも大復活!巨大ロボシム『MechWarrior 5』PS4/PS5版が海外で9月23日発売決定”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト. 2022年5月5日閲覧。
- ^ a b バトルテック始動 - ゲームマシン1992年9月15日
- ^ Attention Louisiana and East Texas:MechCorps will be in Lake Charles, Louisiana, THIS WEEKEND at @cyphacon !... - (Instagram 2024年4月4日)
- ^ a b シグマ運営の都市型複合AMビルに新型VRゲーム バトルテック日本初登場 - アミューズメント産業1992年10月号
- ^ 新会社設立 - アミューズメント産業1993年2月号
- ^ ザップ、日本バトルテック協会設立 - アミューズメント産業1993年9月号
- ^ バトルテック日米決戦大会開催 - アミューズメント産業1994年5月号
- ^ “どうしてロボットゲーは流行らないのか? タニタのツインスティックがイイ感じだったので勝手に「ロボゲーについて語る会」をやりました”. ねとらぼ. 2022年5月5日閲覧。
- ^ ザップ、バトルテックをバーチャルワールドとして新展開 - アミューズメント産業1994年11月号
- ^ 銀座に競馬場!?シグマのロンゴロンゴ銀座 - アミューズメント産業1995年6月号
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