ハプト藻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 15:45 UTC 版)
生活環と分類上の問題点
一部のハプト藻では、核相の違いによって異なった細胞形態を示すことが報告されている。特に円石藻においては、単相(n)の世代と複相(2n)の世代とで異なった円石を付ける例が頻繁にあり、既に別個に命名され記載された属や種が多い。これは、近年になってハプト藻の培養技術が発達し、その生活環が明らかになるにつれ浮上した問題である。原則として学名は一つの生物に対して一つしか認められない為、各世代が別の学名を持つ現状は憂慮すべき事態である。今後こうした命名の重複が明らかになるにつれ、属名あるいは種名の統廃合が進むと予想される。
分類と各目の特徴
- Division Haptophyta ハプト植物門(Prymnesiophyta プリムネシウム植物門)
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- Class Haptophyceae ハプト藻綱(Prymnesiophyceae プリムネシウム藻綱)
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- Subclass Pavlovophycidae パブロバ亜綱
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- Order Pavlovales パブロバ目
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- Diacronema、Exanthemachrysis、Pavlova、Rebecca
- パブロバ亜綱は以下の点でプリムネシウム亜綱と異なる。
- 細胞分裂時に核膜が残存する
- 鞭毛が明瞭に不等長である
- 鞭毛に鱗片を持つ
- 眼点を持つ
- パラミロン様の顆粒を持つ
- Subclass Prymnesiophycidae プリムネシウム亜綱
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- Order Phaeocystidales ファエオキスチス目
- 数少ない群体性のハプト藻。出現自体は頻繁で、東京湾にも見られる。射出装置の一種であるトリコシスト(毛胞、trichocyst)は、展開すると星型のパターンを示す。
- Phaeocystis
- Order Prymnesiales プリムネシウム目
- ハプトネマや鞭毛が発達し、それに伴い遊泳や捕食に長けたグループである。未整理の Chrysochromulina 属が巨大属で、系統的には Chrysochromulina sensu stricto と呼ばれる狭義の Chrysochromulina グループと、Prymnesium 属+Chrysochromulina 属混成のグループとに大別される。有毒の赤潮構成種として注意すべき属を含む。
- Chrysochromulina、Platychrysis、Prymnesium
- Order Isochrysidales イソクリシス目
- 円石藻3属を含む目。円石藻の代名詞とも言うべき Emiliania huxleyi は円石藻目ではなくこちらに含まれる。北大西洋を中心に大発生するE. huxleyi であるが、日本近海では Gephyrocapsa 属が優占する傾向にある。Reticulofenestra は唯一寄生性のハプト藻で、宿主は中心目の珪藻である。
- Isochrysis、Imantonia
- Emiliania、Gephyrocapsa、Reticulofenestra(円石藻)
- Order Coccolithales 円石藻目
- 名前の通り、全て円石藻から成る目。現生種の記載も多いが、それを遥かに上回る数の化石種を含む。
- Calcidiscus、Coccolithus、Syracosphaera、Umbilicosphaera
関連項目
固有名詞の分類
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