ドントレル・ウィリス ドントレル・ウィリスの概要

ドントレル・ウィリス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/20 08:23 UTC 版)

ドントレル・ウィリス
Dontrelle Willis
シンシナティ・レッズ時代
(2011年3月17日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州オークランド
生年月日 (1982-01-12) 1982年1月12日(41歳)
身長
体重
6' 4" =約193 cm
225 lb =約102.1 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2000年 MLBドラフト8巡目
初出場 2003年5月29日
最終出場 2011年9月25日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国
WBC 2006年

愛称はDトレイン(D-Train)。右足を極端に高く蹴り上げ、上体を大きくひねって投球する独特のハイキック投法で知られた。

経歴

プロ入り前

1981年1月12日にカリフォルニア州オークランドで生まれ、母子家庭で育った[1]。母は溶接工で休日はソフトボールの捕手を務め、地元球団オークランド・アスレチックスのエースヴァイダ・ブルーのファンで、ウィリスにブルーのハイキック投法を投げるように教えた[1]。そしてウィリスはブルーそっくりな投手になった[1]2000年ドラフト8巡目(全体223位)指名でシカゴ・カブスに入団した。

マーリンズ時代

フロリダ・マーリンズ時代
(2007年6月5日)

2002年3月27日にフロリダ・マーリンズトレードで移籍。

2003年マイナーリーグAA級カロライナで6試合に先発して4勝0敗・防御率1.49の好成績を挙げると、5月9日にジョシュ・ベケット故障者リスト入りし、AAA級を飛び越してにメジャーに昇格し、同日の対コロラド・ロッキーズ戦でにデビュー[2]。デビュー戦から3回目の登板まで1勝1敗、防御率7.07だったが、その後7月13日までの10回の登板で8連勝をマークし、防御率は1.05[2]。6月にはナリーグ新人選手としては野茂英雄(1995年6月)以来となるピッチャー・オブ・ザ・マンスを受賞した[2]。7月12日に行われたMLBオールスターゲームにも選出され、ナリーグの投手として1985年ドワイト・グッデン以来の若さでの選出となった[2]。ウィリスの登場は、ブラッド・ペニーカール・パバーノら伸び悩んでいた他の投手にも刺激をもたらし[3]、その結果マーリンズはワールドシリーズを制覇。シーズン終了後、ウィリスは球団史上初[4]新人王を受賞した。

2004年は開幕から3試合連続で自責点0で3連勝。4月25日のブレーブス戦の初回で自責点を記録し、昨年の9月23日からの連続無自責点が27.1回で途切れた[5]。しかし、その後は低迷し、負け越した上に防御率を0.7近く悪化させるなど2年目のジンクスにはまったが、カール・パバーノに次ぐチーム2番目の勝数(10)、奪三振(139)を記録した[5]

2005年は開幕から2戦連続で完封勝利。その後は連勝を伸ばして7戦7勝を記録し、球団史上リバン・ヘルナンデスの開幕から9戦9勝に次ぐ好調なスタートを切った[6]。最終的に22勝で最多勝のタイトルを獲得し、球団史上初の20勝投手となった[7]サイ・ヤング賞投票ではクリス・カーペンターに次ぐ票を集めた[8]

2006年は、3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)アメリカ合衆国代表として出場し、ロジャー・クレメンスジェイク・ピービーと先発ローテーションを形成。前年の2005年に行われたWBC開催発表記者会見に出席するなど意欲的だったが、調整不足からコントロールを乱し[9]、カナダ戦、韓国戦と2試合に登板して2敗・防御率12.71[10]と散々な成績だった。その後のMLBレギュラーシーズンでも安定せず[11]、12勝12敗・防御率3.87と前年から成績を落とした。

2007年は成績がさらに悪化した。選手層が薄いマーリンズにおいてローテーション落ちこそなかったが、敗戦数・防御率・失点・自責点WHIPで自己最悪の数字を記録、特に失点・自責点はリーグワーストだった。2003年からの5年間マーリンズ在籍中に勝数(68)、奪三振(757)、先発登板数(162)を記録し、球団記録を更新した[12]

タイガース時代

デトロイト・タイガース時代
(2009年5月29日)

シーズン終了後の12月4日に、年俸総額の削減を進めていたマーリンズは、主砲のミゲル・カブレラとともにウィリスをデトロイト・タイガースにトレードし、その後2010年まで3年総額2,900万ドルで契約を結んだ[13]

2008年は前年の不調を引きずったのか、ストライクがほとんど入らないまでに制球が悪化し、故障もあったためシーズンの大半をマイナーで過ごすなどチームの期待を大きく裏切った。

2009年は開幕から不安障害故障者リスト入りし、7先発後に同じ病気で離脱しシーズンを終えた。

タイガース退団後

アリゾナ・ダイヤモンドバックス時代
(2010年6月18日)

2010年6月1日にトレードでアリゾナ・ダイヤモンドバックスへ移籍[14]。7月6日に放出された。7月14日にサンフランシスコ・ジャイアンツと契約。11月6日にFAとなった。11月23日にシンシナティ・レッズとマイナー契約を結んだ。

2011年10月30日にFAとなった。12月15日にフィラデルフィア・フィリーズとノン・ギャランティーで単年契約を結んだ[15]

2012年、契約が確定する前日の3月15日に違約金を支払われて契約を解消された。3月20日にボルチモア・オリオールズとマイナー契約を結んだ。同年7月2日に現役引退を表明し[16]、10月16日に契約を解除された。

2013年1月3日に引退を撤回し、シカゴ・カブスとマイナー契約を結んだが、3月30日に放出された。4月5日に独立リーグ・アトランティックリーグロングアイランド・ダックスと契約。8月4日にロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムとマイナー契約を結んだ。11月5日にFAとなった。

2014年1月10日にジャイアンツと再びマイナー契約を結んだ[17]。4月に解雇され、7月5日にアトランティックリーグのブリッジポート・ブルーフィッシュと契約。

2015年1月21日にミルウォーキー・ブルワーズとマイナー契約を結んだが、スプリングトレーニングでも登板することなく3月13日に二度目の現役引退を表明した。

引退後

FOXスポーツのキャスターに就任した。

プレースタイル・人物

投球時に右足を極端に高く蹴り上げ、体を大きくひねってサイドスロー気味にリリースする独特のハイキック投法から投げる。バランス向上のため、年々右足の上げ幅を小さくしている他、カウントと打者の左右に合わせてスリークォーターからサイドスローまで腕の角度を変えることによって、打者にリリースポイントを判断させづらくしている[18]

手元で小さくスライドするツーシーム、大きなスラーブ、右打者から鋭く遠ざかるチェンジアップを主な武器とし、コントロール(ストライクを取る能力)にやや課題を残すものの、コマンド(狙ったスポットに投げる能力)に優れていた[18]。しかし2006年からは制球に苦しむようになり、2008年はストライクがほとんど入らないまでに制球が悪化し、シーズンの大半をマイナーで過ごした。


  1. ^ a b c 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2008』廣済堂出版、2008年、131頁頁。ISBN 978-4-331-51300-2 
  2. ^ a b c d Dontrelle Willis 2003 Career Highlights” (英語). 2008年5月23日閲覧。
  3. ^ 「30球団レギュラー・シーズン回顧 フロリダ・マーリンズ 監督交代と好補強が奏功して'97年以来のWカード」 『月刊メジャー・リーグ』2003年11月号、ベースボール・マガジン社、2003年、雑誌08625-11、55頁。
  4. ^ "History: MLB Awards," The Official Site of Major League Baseball. 2008年1月11日閲覧。
  5. ^ a b Dontrelle Willis 2004 Career Highlights” (英語). 2008年5月23日閲覧。
  6. ^ Dontrelle Willis 2005 Career Highlights” (英語). 2008年5月23日閲覧。
  7. ^ "Florida Marlins Pitching Leaders," Baseball-Reference.com. 2008年1月11日閲覧。
  8. ^ "Baseball Awards Voting for 2005," Baseball-Reference.com. 2008年1月11日閲覧。
  9. ^ 岡田弘太郎 「WBC米国代表はなぜ負けたのか」 『スポーツナビ』、2006年3月17日。2008年3月16日閲覧。
  10. ^ "Statistics," World Baseball Classic. 2008年1月11日閲覧。
  11. ^ 杉浦大介 「30チーム・レポート&全選手シーズン最終成績 フロリダ・マーリンズ/FLA 何があろうとマウンドに立つ」 『月刊スラッガー』2006年12月号、日本スポーツ企画出版社、2006年、雑誌15509-12、79頁。
  12. ^ Dontrelle Willis 2007 Career Highlights” (英語). 2008年5月23日閲覧。
  13. ^ Tigers, Willis agree to extension Southpaw sticking around through 2010 for $29 million” (英語). 2008年5月23日閲覧。
  14. ^ D-backs acquire Willis in trade with Tigers”. MLB.com Diamondbacks Press Release (2010年6月1日). 2014年1月10日閲覧。
  15. ^ Phillies sign Willis”. MLB.com Phillies Press Release (2011年12月15日). 2014年1月10日閲覧。
  16. ^ 05年最多勝左腕 ウィリスが現役引退”. スポニチ Sponichi Annex (2012年7月3日). 2012年7月4日閲覧。
  17. ^ Chris Haft (2014年1月10日). “Willis gets Minor League deal from Giants”. MLB.com. 2014年1月10日閲覧。
  18. ^ a b 現役スカウト部長による“本物”のスカウティング・レポート『月刊スラッガー』2005年8月号、日本スポーツ企画出版社、雑誌15509-8、38-41頁。


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