ドラえもん のび太の大魔境 ドラえもん のび太の大魔境の概要

ドラえもん のび太の大魔境

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 13:38 UTC 版)

同時上映は『怪物くん デーモンの剣』『忍者ハットリくん・ニンニン忍法絵日記の巻』。

また、2014年に本作のリメイク作品である、『ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』が公開された。

概要

アフリカのジャングル、河、サバンナ、谷、そして秘境にある犬の王国「バウワンコ王国」を舞台に、ドラえもん、のび太らの冒険と活躍を描いた作品。犬の王国が舞台ということで、本作ではペコたち犬の亜人類が登場する。大長編ドラえもんの題材として、地球において人間のいる地上とは隔絶された地域で異進化を遂げた人類とその世界での冒険が何度か取り上げられるが、その観点で作られた大長編作品は本作が初。作中では犬の進化について進化論を基にした科学的な説明がなされている。作中の季節は漫画では夏だが、映画では春。

大長編および映画としては出木杉が初登場する。出木杉は冒険に参加することはないものの、本作の冒頭部分でヘビー・スモーカーズ・フォレストについてドラえもんとのび太に解説。以降の登場作品でも、出木杉は冒頭部分でのび太達や読者・視聴者に知識を解説する役割を果たす。漫画連載当時はアメリカ合衆国ソビエト連邦冷戦の最中であり、出木杉は「アメリカとソ連が人工衛星を打ち上げまくってる」と話をしている。

のちにジャイアンは「映画版になるといじめっ子からいい奴に変化する」とファンから評されるようになったが、本作においては我の強さを発揮して一行を危機に晒し意固地になって孤立してしまう[注 1]シーンが描かれており、戦いの中でみんなと和解し団結して危機に立ち向かうという筋運びで丁寧に掘り下げられている。

本作品以降ドラえもんが帽子を被ることがある。本作品ではキャンピングハット、次作『のび太の海底鬼岩城』ではカメレオン帽子、次々作『のび太の魔界大冒険』では魔法ぼうしと、3作連続で帽子を被る。

ドラえもん のび太の大魔境(連載)
漫画
作者 藤子不二雄
出版社 小学館
掲載誌 月刊コロコロコミック
発表期間 1981年8月 - 1982年1月
話数 6
その他 全170頁(扉6頁を含む)
テンプレート - ノート

漫画(連載)

月刊コロコロコミック1981年昭和56年)9月号から1982年(昭和57年)2月号に連載された。全6回。計170頁(各回の扉含む)。

連載第4回が掲載された12月号にて映画化が発表され、本連載の扉に「映画化決定!!」と記載された。

本作は全編書き下ろしだが、関連した内容の短編が存在する。『ドラえもん』の短編『のび太救出決死探検隊』(1980年11月。てんとう虫コミックス22巻収録)には、スネ夫が冒険について熱く語る場面など、本作と重なる要素が複数含まれている。

本作は連載終了後、3度の加筆・修正が行われており、計4種類のバージョンが存在する(後述)。

ドラえもん
のび太の大魔境
Doraemon:
Nobita and the Haunts of Evil
監督 西牧秀夫
脚本 藤子不二雄
原作 藤子不二雄
出演者 レギュラー
大山のぶ代
小原乃梨子
野村道子
たてかべ和也
肝付兼太
ゲスト
清水マリ
杉山佳寿子
村瀬正彦
滝口順平
柴田秀勝
永井一郎
音楽 菊池俊輔
主題歌 岩渕まことだからみんなで
撮影 小池彰、鈴木明子
編集 井上和夫、坂本雅紀
制作会社 シンエイ動画
製作会社 シンエイ動画
テレビ朝日
小学館
配給 東宝
公開 1982年3月13日
上映時間 91分
製作国 日本
言語 日本語
配給収入 12億2000万円[1]
前作 ドラえもん のび太の宇宙開拓史
次作 ドラえもん のび太の海底鬼岩城
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映画

1982年3月13日に公開された。

本作品はしずかがのび太、ジャイアン、スネ夫の3人を君付けで呼ぶ劇場版としては最後の作品である。次回作の『のび太の海底鬼岩城』以降は、さん付けで呼んでいる。

藤本は「作品の出来はいい」としたものの、「私の世界を理解していない。監督を変えてほしい」とシンエイ動画楠部三吉郎に指示し、次作より監督が芝山努に変更された[2]

本作品の製作は遅れ気味だったようで、3月初めにヤクルトホールで開催予定だった特別試写会は、開催当日にフィルムが間に合わず、既に観客が会場入りしている時間帯に中止となった[3]

この作品からオープニングテーマが「ドラえもんのうた」になり、バージョンを変えながら『のび太のワンニャン時空伝』まで使用された。コロコロコミック創刊5周年記念作品。また、この作品からエンディング曲が「ポケットの中に」ではなくなった。

漫画(カラーコミックス)

1982年4月に発売されたカラーコミックスにて加筆・修正が行われ、全体の頁数は1頁増加した。頁数の増加こそわずかだが、巨神像の衛星写真で周囲に茂っていた植物がなくなるなど、多数のコマが描き換えられた。ママのバッグを探すペコがジャンプするコマは削除された。セリフも多く書き換えられた。

漫画(映画大全集1000)

1985年2月に発売された『ドラえもん映画大全集1000』に収録された際に2度目の加筆・修正が行われ、全体の頁数はさらに9頁増加した。冒頭のカラーだった頁が1色で描き直されるなど、多数のコマが描き換えられた。「全艦隊火炎放射」の場面は火の勢いが髪がなびくほどの強さになり危険度が大いに高くなった。

ドラえもん のび太の大魔境
(大長編単行本)
漫画
作者 藤子不二雄
出版社 小学館
レーベル てんとう虫コミックス
発売日 1985年8月28日
その他 全187頁[注 2]
テンプレート - ノート

漫画(単行本)

1985年9月に単行本(てんとう虫コミックス)が発売された際に3度目の加筆・修正が行われ、全体の頁数はさらに12頁増加した。重力ペンキで崖を下りる場面など、多くの名場面のコマが大きなものに描き換えられた。

あらすじ

※漫画(小学館コロコロ文庫)をもとに記述。 ジャイアンとスネ夫の依頼でのび太とドラえもんは「自家用衛星」を使い魔境を探す。その折、のび太は空き地で野良犬と出会い、ペコと名付け飼うことになる。

コンゴ盆地に巨神像があることを知ったドラえもんたちは、ペコを連れ探検に出発。ところが初日にジャイアンが機嫌を損ね、探検は中止となる。その夜ジャイアンは、自室で巨神像の映像に冒険を諦めたことを叱責され、地図を与えられたことにより、再び冒険に赴くことになる。その際ジャイアンは、タケコプターをはじめとするドラえもんのいくつかの道具を日本に置いて行ってしまう。さらにジャイアンの判断ミスや、空き地に置いたどこでもドアが近所住民に焼かれ日本に帰れなくなるなどのドラブルが発生。やむなくキャンプをすることになる。ジャイアンは謝ることができず癇癪を起こし、孤立する。

途中で目的地に王国があることを知ったドラえもんたちは、道具でピンチを凌ぎながら、王国近くまで到達。ペコは突然日本語を話し二足歩行をする。ペコの正体は進化した犬の王国のクンタック王子。父王の大臣、ダブランダーは世界征服の野心により王を暗殺、王子は生き埋めにされるところ、棺桶ごと湖に落ち、川を流れ外の世界に出たのであった。

王子が帰国したことを知ったダブランダーは王子を偽者とし、ドラえもんたちをおたずね者にする。ドラえもんたちは王の親衛隊長であったブルススを救出。古い言い伝えをヒントに、巨神像を目指すドラえもんたちだったが、ダブランダーの兵士たちに待ち伏せされピンチを迎える。そこへもう1組のドラえもんたち5人が登場。しずかが「先取り約束機」で約束し呼び寄せたのだった。ドラえもんたちは巨神像に侵入。巨神像は巨大ロボットのごとく自律して動き、ダブランダーの兵器を次々と破壊。ダブランダーの野心は打ち砕かれた。無事に日本に戻ったのび太たちは「先取り約束機」の約束を守るため、タイムマシンで再び王国に向かうのだった。


注釈

  1. ^ その代わりに、ジャイアンとペコの結びつきが強くなっている。
  2. ^ 扉1頁+本編186頁。
  3. ^ なお、アフリカ大陸の地図が作中に登場し、ザイールを含めて2021年現在では存在しない北イエメンや、オートボルタ(現・ブルキナファソ)などが映り込むシーンがある。
  4. ^ 漫画及び映画版(第1期)では、棺に閉じ込められ生き埋めにされかけたが、川に転落して外の世界へ流れ出た。映画版(第2期)では、川に転落する描写は同じだが転落に至る経緯を変更(棺が落下→サベール隊長と対決中に川に転落)している。
  5. ^ しかし、劇中ではドラえもんやのび太たちもほんやくコンニャクを使用することなくバウワンコ王国の言葉を理解し、王国の住民たちとも普通に会話をしている。もっとも、ドラえもんやのび太たちがほんやくコンニャクを使用することなく異種族の人々と会話ができるのは、本編に限らず大長編ドラえもんシリーズの中では当たり前のことになっている。なお、映画版(第2期)では、ペコが日本語を覚えた経緯については触れられていない。

出典

  1. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)410頁
  2. ^ 楠部三吉郎『「ドラえもん」への感謝状』小学館、2014年、pp.107 - 108
  3. ^ 大山のぶ代『ぼく、ドラえもんでした。 -涙と笑いの26年うちあけ話-』小学館、2006年、pp.92 - 94
  4. ^ Amazon_co_jp 映画ドラえもん のび太の魔界大冒険


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