トランスコンパイラ 歴史

トランスコンパイラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/05 02:07 UTC 版)

歴史

ここでは1980年前後以降の例を示す。

1981年にゲイリー・キルドールによって書かれたデジタルリサーチのXLT86がある。それはIntel 8080用の.ASMソースコードからIntel 8086用の.A86ソースコードに変換した。8080のレジスターを用いた全体的なデータフロー解析を用い、出力されるコードサイズを最適化し、CP/M-80MP/M-80英語版のプログラムが自動的にCP/M-86MP/M-86に移行できるよう呼び出しを処理した。XLT86自体はPL/I-80でかかれ、CP/M-80環境のみならず、DEC VMS (for VAX 11/750 or 11/780)でも動くようになっていた[5]

似たような、しかしもっと洗練されていないプログラムは1980年86-DOSの一部としてティム・パターソンによって書かれたTRANS.COMがある。それは、いくつかのZ80アセンブラのソースコードを8086用の.ASMソースコードに変換した。しかし、これは制御コードレジスタ、モードのサブセットのみをサポートしており、かなりの手動変換や手直しを必要とした。それはレジスタやジャンプ最適化を行わなかった[6][7]

言語実装

いくつかの言語実装は当初トランスコンパイラとして開発され、それらの言語実装の中には2016年現在もトランスコンパイラのものもある。以下の表に加え、CoffeeScriptのメンテナがJavascriptに変換できる言語の一覧を提供している[8]

コード変換

開発者が、既存コードの大部分を別の言語に変換する場合、すべてを手動変換するよりもトランスコンパイラを使用するほうがよい場合が多い。「機械的」に変換が可能なのであれば、手動変換するのは単に手数を掛けるだけ無駄なばかりではなく、手作業にはミスがつきものだからである。一方で機械的な変換が不可能な場合もまたあり、ソース言語と目的の言語の組み合わせや、実際のコード次第でもあるがケースバイケースであって、一般論としては何も決定的なことは言えない。


  1. ^ Types of compilers”. compilers.net (1997–2005). 2010年10月28日閲覧。
  2. ^ Fowler, Martin (2013年2月12日). “Transparent Compilation”. 2013年2月13日閲覧。
  3. ^ Henson, Valerie (2009年1月20日). “Semantic patching with Coccinelle”. lwn.net. 2010年10月28日閲覧。
  4. ^ HTML5 Epic Citadel”. 2016年10月20日閲覧。
  5. ^ Digital Research (1981): XLT86 - 8080 to 8086 Assembly Language Translator - User's Guide. Digital Research Inc, Pacific Grove ([1]).
  6. ^ Seattle Computer Products (1980): 86-DOS - Disk Operating System for the 8086. User's manual, version 0.3 - Preliminary. Seattle Computer Products, Seattle ([2]).
  7. ^ Microsoft DOS V1.1 and V2.0: Z80 to 8086 Translator version 2.21 /msdos/v11source/TRANS.ASM”. Computer History Museum, マイクロソフト (2013年12月19日). 2014年3月25日閲覧。 (NB. While the publishers claim this would be MS-DOS 1.1 and 2.0, it actually is SCP MS-DOS 1.25 and TeleVideo PC DOS 2.11.)
  8. ^ List of languages that compile to JS”. 2014年12月15日閲覧。
  9. ^ Peter van Eerten. “BaCon - A free BAsic CONverter for Unix, BSD and MacOSX”. Basic-converter.org. 2014年7月8日閲覧。
  10. ^ Script# by nikhilk”. Scriptsharp.com. 2013年8月2日閲覧。
  11. ^ Smart Mobile Studio”. SmartMobileStudio.com. 2014年3月9日閲覧。
  12. ^ Babel · The compiler for writing next generation JavaScript”. babeljs.io. 2016年4月10日閲覧。
  13. ^ Traceur is a JavaScript.next-to-JavaScript-of-today compiler”. github.com. 2014年7月2日閲覧。
  14. ^ j2objc - Java to iOS Objective-C translation tool and runtime.”. j2objc.org (2014年2月13日). 2015年8月18日閲覧。
  15. ^ java2c-transcompiler - A simple source-to-source from Java to C - Google Project Hosting”. 2014年10月8日閲覧。
  16. ^ IntelLabs/julia”. GitHub. 2016年10月20日閲覧。
  17. ^ Google Groups”. google.com. 2016年10月20日閲覧。
  18. ^ MoonScript, a language that compiles to Lua”. 2016年9月21日閲覧。
  19. ^ Shed Skin, An experimental (restricted-Python)-to-C++ compiler”. 2014年10月1日閲覧。
  20. ^ Maptastic Maple (3.3.9). “Sass: Syntactically Awesome Style Sheets”. Sass-lang.com. 2014年7月8日閲覧。
  21. ^ Xtend, modernized Java”. Eclipse project. 2014年10月1日閲覧。
  22. ^ Js_of_ocaml”. 2014年10月8日閲覧。
  23. ^ J2Eif Research Page - Chair of Software Engineering”. Se.inf.ethz.ch. doi:10.1007/978-3-642-21952-8_4. 2014年7月8日閲覧。
  24. ^ C2Eif Research Page - Chair of Software Engineering”. Se.inf.ethz.ch. 2014年7月8日閲覧。


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