サンゴ礁 分類

サンゴ礁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/05 07:15 UTC 版)

分類

サンゴ礁はその形態により、大まかに裾礁、堡礁、環礁の3つに分けることができる。

海岸部に接して発達したサンゴ礁を裾礁(きょしょう)という。外礁(サンゴ礁の縁)に囲まれた礁の内部は浅い礁池(しょうち)となり、上空から見ると水色に見える。現在の日本のサンゴ礁のほとんどが裾礁である。

外礁が防波堤のように環状に島を取り囲み、礁と島の間にやや深い礁湖(しょうこ・ラグーン)があるものを堡礁(ほしょう)という。チューク島(トラック諸島)などが例として挙げられる。堡礁は、中央の島を取り囲んでいるもの以外に、大陸を取り囲んでいるものもいう。大陸を中心に取り囲んでいるので有名なのがオーストラリアグレート・バリア・リーフ(大堡礁)である。

礁の中央に島がなく、環状の外礁と礁湖のみがあるものを環礁(かんしょう)という。ムルロア環礁沖ノ鳥島などが例として挙げられる。

サンゴ礁形成と裾礁-堡礁-環礁の移行を示すアニメーション

このようなサンゴ礁の形態の違いは、島の沈降もしくは海面の上昇によると考えられている。堡礁や環礁の形成過程については、裾礁を抱える島が地殻変動侵食により沈降し堡礁や環礁に変化したとする沈降説と、最終氷期海水準変動によって生じた裾礁が海面の上昇により堡礁や環礁に変化したとする氷河制約説とがあり、共に一定の評価を得ている。特に沈降説は、チャールズ・ダーウィンによるもので、現在ではプレートテクトニクスと連動している。

サンゴ礁が隆起や海面降下により島となる場合もある。宮古島沖永良部島などがその例で、島が全体的に平坦な形となるのが特徴である。また、北大東島南大東島は島の中央が凹んでおり、周囲を囲むように高い部分がある。これは、隆起した環礁であると考えられている。

また、パラオなどはサンゴ礁内に大きな鍾乳洞があるが、鍾乳洞は陸上でなければ形成されないので、かつてそこは陸上だったことになる。これはサンゴ礁が海面の降下で海面上に現れ、侵食を受けて鍾乳洞ができ、再び海面が上昇したときに海底となったもので、現在島となっている部分は侵食されずに残った部分である。

サンゴ礁の構成と化石

サンゴ礁を形成するのは、必ずしも造礁サンゴだけではない。他にも石灰質の骨格を大きく発達させるものがあれば、サンゴ礁を形成する要素となり得る。現在のサンゴ礁では、紅藻類である石灰藻が優占する場所もある。また、必ずしもサンゴ礁の形成には関わらないものの、石灰質の殻を作るため、サンゴ礁での石灰質の蓄積に関わるものとして、二枚貝類であるシャコガイや、大型の有孔虫であるゼニイシホシズナが多数生息している。ホシズナはサンゴ礁の砂浜の構成要素となり、場所によってはほとんどホシズナだけの砂浜が見つかる。化石としてもサンゴ礁の化石古生代以降、たびたび出現している。具体的には、造礁サンゴの化石を含む石灰岩の形を取る。

現在のサンゴ礁は熱帯を中心とする、温暖で透明度が高く、浅い海域にのみ出現する。この理由は、造礁サンゴが褐虫藻という単細胞藻類を共生させているからである。これは単なる偶然や、栄養上の必要性だけではなく、褐虫藻の光合成があってこそ、サンゴの石灰質の骨格が、これだけの成長速度を維持できるらしいと考えられている。ちなみに、シャコガイやホシズナも褐虫藻を共生させている。このことから、過去のサンゴ礁でも似たような状況があったものと考えられる。そこで、サンゴ礁の化石が出た場合、その時代のその場所は、熱帯か亜熱帯の、温暖で浅い海域であったと判断することができる。このように、その化石の発見によって、その時代のその場所の環境が判断できる場合、そのような化石を示相化石とよんでいる。

ただし、サンゴ礁の形成は沈降説にも述べられているように、島の沈降と海洋プレートの移動が大きく関わっている。サンゴ礁の形成される海域と、化石となって発見される地点が大きく変わる可能性や、他の地層の中に取り込まれて出現する可能性も考えなければならない。


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  16. ^ モニタリングサイト1000
  17. ^ 今度の『私の青空』環境貢献活動は サンゴ礁の再生!〜沖縄県・恩納村との官民共同で美ら海を蘇らせます〜
  18. ^ サンゴ礁保全プロジェクト
  19. ^ 社会貢献事業「サンゴ礁保全プロジェクト」について
  20. ^ 雪肌精「SAVE the BLUE」キャンペーン2年目 化粧水・乳液購入でボトルの底面積分、サンゴの森を広げます





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