コンデンサ コンデンサのように振舞うもの

コンデンサ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/17 06:21 UTC 版)

コンデンサのように振舞うもの

これらのふるまいについて、容量性がある、と言ったりする。以下の項目のうち、プリント基板と電界効果トランジスタについては、寄生容量も参照されたい。

プリント基板
多層基板において、隣接する層の同じ場所にプリント配線が通るとき、両配線間に比較的大きな安定した容量が形成される。プリント基板設計において、基板の未使用の領域を銅箔で埋めて接地点あるいは電源ラインの配線に用いる(グランドプレーンなど)、電源配線を信号線より広くすると言った処理は習慣的に行なわれている。
電界効果トランジスタ
電界効果トランジスタのゲートのインピーダンスは非常に高く、構造的にもコンデンサがソース・ドレイン間に接続されているとみなせる。単体のトランジスタでもゲート・ソース間電圧を意図的にプルアッププルダウンしないと、ゲートが入力端子から切り離されたままではゲート電圧がホールドされてしまう。特に、MOSFETは接合型FETと比べて必然的に、ゲート・ソース間、ゲート・ドレイン間、ドレイン・ソース間に寄生容量を内包する構造である。MOSFETの集積回路においては、ゲートの静電容量に周波数と電圧の二乗をかけた値に比例して、信号の交流成分がゲートからソース・ドレインに流れ、これが結果として集積回路の消費電力の一部となる。CMOSがまだ珍しかった頃は、CMOSを採用した機器(ポケットコンピュータなど)では、低消費電力を狙ってあえてクロック周波数を抑える例が見られた。近年はマイクロプロセッサの高クロック化に伴う消費電力の増大及び発熱が顕著であり、この問題を回避する為にコア数を増やすなど、クロック当りの性能を向上させるのが現在のトレンドとなっている。
バリキャップ
ダイオードは、逆電圧を加えた状態では直流電流はほとんど流れず、非常に高い直流抵抗値を示す。このとき、ダイオード内部には空乏層とよばれる絶縁領域が形成されており、これを誘電体としてコンデンサとしての振る舞いを見せる。この空乏層の厚さはかかっている逆電圧の高さによって変動するため、厚さに反比例して容量も変動する。容量はダイオードごとに異なるが、一般に大電流を扱うものほど容量も大きくなる。ダイオードの持つこの物理的性質を積極的に応用し、電圧に応じて制御できる電子的な容量可変コンデンサとして使えるように特に設計されたものを、バリキャップという。バリキャップは、わずかな電圧の変化で大きく容量を変えることができ、また電圧に反比例し容量が変化するため共振回路に使うと同調周波数が直線的になる、という特性がある(回転角に対しそのような容量変化をするバリコンは一般に特殊品である)。
スタブ
高周波回路において、他端の短絡した1/4波長より短い伝送路、あるいは、他端が解放になっている1/4波長より短い伝送路は容量性の負荷にみえる。アンテナの整合を取る場合に用いられることがある。
電気的に短いアンテナ
モノポール、ダイポールその他のタイプのアンテナで、電気的な長さが1/4波長より短いものは、駆動回路(無線機など)から見た場合、容量性の負荷にみえる。整合を取るため小さな容量の可変インダクタが挿入されることがある。
人体
静電気の研究において、人体は10pFのコンデンサと1MΩ抵抗を並列に接続したものとしてモデル化される。
コンデンサマイク
コンデンサの電極のうち一方を振動板(ダイアフラム)としたもの。空気の振動により電極間の間隔が変化するため、電極間に形成される容量も変化し、一定の電荷を蓄積した状態ならば端子間の電圧も変化する。これを電気信号として取りだすことでマイクとして利用する。また、素子に一定の電荷を与えるために電源が必要であるが、テフロンなどの誘電体の高い電界を与える(特に、溶融した誘電体を冷却固化する際)と電荷を半永久的に保持する性質を利用し、電荷を保持した薄膜(エレクトレットと呼ぶ)を電極に張りつけることで素子への給電を不用としたものをエレクトレット・コンデンサマイクと呼ぶ。更にエレクトレットを振動板側に張りつけたフロントエレクトレットあるいは膜エレクトレットと、固定電極側に張りつけたバックエレクトレットに分れる。構造上出力インピーダンスの高い素子となるため、信号線にノイズが混入しやすく、これを防ぐため、素子直下にFETを用いた増幅回路を組み込んだ素子もよく用いられる。
電線間
電線と電線の間にもわずかながら容量があり、長距離になればなるほど問題になってくる。
対地容量
電線などと地面との間にも容量がある。

注釈

  1. ^ リード線が持っているものとみなして「リード・インダクタンス」等と呼ばれる。
  2. ^ 理想的な場合、直列抵抗はゼロ、並列抵抗は無限大である。
  3. ^ マイラ(マイラフィルム・マイラシート)はポリエチレンテレフタレートを二軸延伸加工したフィルムである。
  4. ^ 比較的古い家電ではコンデンサの品質に問題があるために膨張・破裂するケースも少なくない。詳しくは不良電解コンデンサ問題を参照。
  5. ^ 三洋電機株式会社の登録商標。

出典

  1. ^ コンデンサーとは - コトバンク
  2. ^ Henry Smith Williams (1999年3月). “A History of Science Volume II, Part VI: The Leyden Jar Discovered”. 2013年1月17日閲覧。
  3. ^ Houston, Edwin J. (1905). Electricity in Every-day Life. P. F. Collier & Son. https://books.google.co.jp/books?id=ko9BAAAAIAAJ&pg=PA71&dq=jar+%22von+Kleist%22&redir_esc=y&hl=ja 
  4. ^ Isaacson, Walter (2003). Benjamin Franklin. Simon and Schuster. p. 136. ISBN 0684807610, 9780684807614. https://books.google.co.jp/books?id=oIW915dDMBwC&lpg=PA135&dq=%22benjamin+franklin%22+leyden+jar&pg=PA136&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q= 
  5. ^ Franklin, Benjamin (1749年4月29日). “Experiments & Observations on Electricity: Letter IV to Peter Collinson” (PDF). pp. (page 28). 2009年8月9日閲覧。
  6. ^ Morse, Robert A., Ph.D. (2004年9月). “Franklin and Electrostatics—Ben Franklin as my Lab Partner” (PDF). Wright Center for Science Education. Tufts University. pp. (page 23). 2009年8月10日閲覧。 “After Volta’s discovery of the electrochemical cell in 1800, the term was then applied to a group of electrochemical cells”
  7. ^ “Sketch of Alessandro Volta”. The Popular Science Monthly (New York): pp. 118–119. (May–Oct 1892). https://books.google.co.jp/books?id=eCADAAAAMBAJ&pg=PA117&source=gbs_toc_r&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false 
  8. ^ http://www.ttc-cmc.net/~fme/captance.html
  9. ^ セラミックコンデンサのFAQ なぜ、セラミックコンデンサは音鳴きが発生するのでしょうか?”. 村田製作所. 2016年3月7日閲覧。
  10. ^ トランジスタ技術 2004年9月号 p108, p111 - p114
  11. ^ スーパーキャパシタートラム完成、30秒充電で5キロ走行 中車株洲電力機車”. www.afpbb.com. 2021年8月28日閲覧。
  12. ^ プレスリリース 高速デジタル回路を安定動作させる低インピーダンス線路素子の開発について”. NEC (2003年10月20日). 2015年4月20日閲覧。
  13. ^ 品番の読み方”. 村田製作所( http://www.murata.co.jp/ ). 2016年11月3日閲覧。






コンデンサと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「コンデンサ」の関連用語

コンデンサのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



コンデンサのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのコンデンサ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS